コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

ニンニクカズラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ニンニクカズラ
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類
core eudicots
階級なし : キク類 asterids
階級なし : シソ類 lamiids
: シソ目 Lamiales
: ノウゼンカズラ科 Bignoniaceae
: Bignonieae
: ニンニクカズラ属マンソア属Mansoa
: ニンニクカズラ M. alliacea
学名
Mansoa alliacea
(Lam.) A.H.Gentry
シノニム
  • Pseudocalymma alliaceum (Lam.) Sandwith
  • Pseudocalymma alliaceum var. macrocalyx Sandwith
和名
ニンニクカズラ
英名
garlic vine
ニンニクカズラの植栽
(2024年6月 沖縄県石垣市)

ニンニクカズラ(別名ガーリックカズラ、学名:Mansoa alliacea)はノウゼンカズラ科ニンニクカズラ属[1]またはマンソア属[2]つる性常緑樹。学名については、以前の図鑑やYList[3]ではPseudocalymma alliaceumとし、POWO[4]ではM. alliaceaを標準、P. alliaceumをシノニムとしている。本項ではPOWOおよび最近の図鑑[2][5][1]に従い、学名をM. alliaceaと表記する。

特徴

[編集]

地植えでは4–5 mに伸び、よく分枝する。葉は2小葉からなり、対生する。小葉間に巻きひげが出ることがあり、物に巻きつく。小葉は卵形で革質、全縁で厚く、長さ6–10 cm。花序は葉腋から出て10輪ほどの花を房状につける。花は紅紫色で咲いたあと淡桃色に変わり、濃淡が混じる。花冠は直径4 cm、長さ5 cmの漏斗状で、先は5つに裂ける。年1–2回開花し(5–7月と9–12月)、花つきは初夏より秋が多く、盛花期には樹冠一面が花で覆われ、葉が見えないこともある。実は長さ20 cm前後。和名と種小名は、葉や花を揉むとニンニク臭がすることに由来する[6][7][8][9][10][11][2][1]

分布

[編集]

原産地に関する記述は文献により異なり、アルゼンチン[6][12][8][10][11]、南アメリカ[2][1]、西インド諸島・中南米[7]、ギアナ・ブラジル[9]、熱帯アメリカ[5]原産とされ、POWO[4]ではコロンビア~ボリビアの南米北部原産でアルゼンチンは記録無し、西インド諸島は移入としている。沖縄へは戦後に導入された。

利用

[編集]

公園樹のほか、民家の生け垣や庭木、棚作りに用いられる[12][11][2][1]。性質は強く、どこでも生育するが、日当たりと排水が良く肥沃な場所で生長が早い。耐潮・耐風性は強いが乾燥にはやや弱い。剪定は枝を間引く程度とし、新芽を摘み側芽発生を促す。病虫害は少ない。繁殖は種子、挿し木や取り木による[7][8][10]

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e (林 & 名嘉 2022, p. 57)
  2. ^ a b c d e (大川 & 林 2016, p. 424)
  3. ^ ニンニクカズラ Pseudocalymma alliaceum (Lam.) Sandwith”. YList. 2024年9月15日閲覧。
  4. ^ a b Mansoa alliacea (Lam.) A.H.Gentry”. POWO. 2024年9月15日閲覧。
  5. ^ a b (沖田原 2021, p. 404)
  6. ^ a b (池原 1979, p. 97)
  7. ^ a b c (白井 1980, p. 71)
  8. ^ a b c (海洋博記念公園管理財団 1997, p. 59)
  9. ^ a b (Gentry 1997, p. 137)
  10. ^ a b c (屋比久 2006, p. 122)
  11. ^ a b c (平良ほか 2009, p. 125)
  12. ^ a b (天野 1982, p. 172)

参考文献

[編集]
  • 池原直樹『沖縄植物野外活用図鑑 第2巻 栽培植物』新星図書出版、1979年。  ※ 学名をPseudocalymma alliaceum var. microcalyxとしている
  • 白井祥平『沖縄園芸植物大図鑑』 4巻《熱帯花木》、沖縄教育出版、那覇市、1980年。  ※ 学名をPseudocalymma alliaceumとしている
  • 天野鉄夫『琉球列島有用樹木誌』琉球列島有用樹木誌刊行会、1982年。  ※ 学名をPseudocalymma alliaceum var. microcalyxとしている
  • 海洋博記念公園管理財団『沖縄の都市緑化植物図鑑』新星出版、那覇市、1997年。ISBN 9784902193732  ※ 学名をPseudocalymma alliaceum var. microcalyxとしている
  • GentryA.H.「プセウドカリマ・アリアケウム」『朝日百科 植物の世界』 2巻、朝日新聞社、東京、1997年、137頁。ISBN 9784023800106  ※ 学名をPseudocalyma alliaceumとしている
  • 屋比久壮実『花ごよみ 亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画、2006年。ISBN 4990191730  ※ 学名をPseudocalymma alliaceumとしている
  • 平良一男; 新里隆一・仲村康和・松田正則「ニンニクカズラ」『沖縄 花めぐり』沖縄都市環境研究会、2009年。  ※ 属名をPseudocalymmaとしている
  • 大川智史; 林将之『ネイチャーガイド 琉球の樹木 奄美・沖縄~八重山の亜熱帯植物図鑑』文一総合出版、東京都新宿区、2016年。ISBN 9784829984024 
  • 沖田原耕作「ニンニクカズラ」『おきなわの園芸図鑑 園芸植物とその名前』新星出版、那覇市、2021年。ISBN 9784909366832 
  • 林将之; 名嘉初美『沖縄の身近な植物図鑑』ボーダーインク、2022年。ISBN 9784899824350 

外部リンク

[編集]