ナガレホトケドジョウ
ナガレホトケドジョウ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
絶滅危惧IB類(環境省レッドリスト) | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Lefua torrentis Hosoya, Ito & Miyazaki, 2018[2] | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ナガレホトケドジョウ | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Stream eight barbeled loach Fluvial eight-barbel loach[1] |
ナガレホトケドジョウ(流仏泥鰌、Lefua torrentis)は、フクドジョウ科の淡水魚。日本固有種であり、長らく未記載種とされていたが、2018年に新種として記載された[2]。
分布
[編集]本州の和歌山県・奈良県西部・大阪府・滋賀県西部・京都府・福井県・兵庫県・岡山県北部・島根県東部、四国の徳島県北部・香川県、小豆島、淡路島[3]。愛媛県にも分布する可能性がある[4]。
形態
[編集]体長は5-7mm。鼻孔に1対、口部に3対の、計4対8本の口髭を有する。腹鰭基部は背鰭基部よりかなり前方[3]。尾鰭後縁はやや直線的で[3]、丸い[5]。眼は比較的小さく、体のやや側部に位置する。吻端から眼にかけて明瞭な縦条模様をもつ[3]。
生態
[編集]河川源流から上流部の、岩礫から砂礫底の流れのある、樹林に囲まれた、小規模な瀬と淵と淀みが連続する環境に生息する。繁殖期は5-7月で、夜間に植生のない岩の下などの狭い隙間において、1尾のメスに複数のオスが追尾して卵黄径が約1.4mmの卵をばら撒く。卵からふ化した仔魚は浮遊期を持たず、底生生活にすぐ入る。成熟には2-3年を要する。寿命は長く、15年程度生きることが知られている[3]。底生の小動物を食す雑食性[4]。
名称
[編集]1970年代から本種の存在は指摘されてきた。1980年代にホトケドジョウとは別種である可能性が高いとして「ナガレホトケドジョウ」という標準和名が提唱された。以下のような地方名がある[3]。
- 分布域全域:ホトケドジョウ(混称)
- 京都府:ヤマニラミ
- 奈良県:カワオメキ
- 和歌山県:ヂャリヂャメ
分類
[編集]同所的に分布することもあるホトケドジョウL. echigoniaとは、体色や暗色斑の有無で識別される[1]。本種と同様に2019年まで未記載種とされてきたトウカイナガレホトケドジョウL. tokaiensisは本種に酷似しているが、尾鰭基部や尾鰭後縁の形態で区別でき、分布域も異なる[1][5][6]。
下位分類
[編集]系統によって紀伊・四国集団、山陽集団、日本海集団に区別され[7]、形態から無斑型と斑紋型の2型に大別される[5]。2021年には、福井県九頭竜川水系から既知の集団とは形態・系統的に異なる嶺北集団が報告されている[5][8]。
系統と斑紋の斑紋の有無で以下の3型に分けられる。3型は分布域がどこまでなのかは詳しくわかっていない[3][4]。
- 山陽型
- 詳しいことはわかっていないが、他2型と明確に系統が別である。斑紋はない。
- 斑紋型
- 紀伊半島や、四国、淡路島、小豆島に広く分布する。体側や背鰭、尾鰭に、眼径より大きいシミのような暗色斑紋が不規則に散在する。
- 無斑型
- 兵庫県や京都府に分布する。斑紋型とは分布域が同じだがある程度分布地域に差がある。目立つ斑紋がない。
保全状況
[編集]砂防ダムなどの環境改変が影響し、非常に個体数が減少しており、絶滅危惧IB類に指定されている[3]。
絶滅危惧IB類 (EN)(環境省レッドリスト)
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ a b c d 青山茂・細谷和海「ナガレホトケドジョウ Lefua sp. 1」、環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室 編『レッドデータブック2014 4 汽水・淡水魚類』ぎょうせい、2015年、198-199頁。
- ^ a b Kazumi Hosoya, Taiki Ito and Jun-Ichi Miyazaki, “Lefua torrentis, a new species of loach from western Japan (Teleostei: Nemacheilidae),” Ichthyological Exploration of Freshwaters, Volume 28, Number 3, Verlag Dr. Friedrich Pfeil, 2018, Pages 193-201.
- ^ a b c d e f g h 中島亨 『LOACHES OF JAPAN 日本のドジョウ 形態・生態・文化と図鑑』 山と渓谷社 2017年 194-197頁 ISBN 4635062872
- ^ a b c 細谷和海 『増補改訂 日本の淡水魚』 山と渓谷社 210-211頁
- ^ a b c d 中島淳・西村俊明・井藤大樹・宮崎淳一・大井和之・平川周作「福井県嶺北地方で発見されたナガレホトケドジョウの新たな地域集団」『Ichthy, Natural History of Fishes of Japan』第6巻、鹿児島大学総合研究博物館、2021年、33-37頁。
- ^ Taiki Ito, Kazumi Hosoya & Jun-Ichi Miyazaki, “Lefua tokaiensis, a new species of nemacheilid loach from central Japan (Teleostei: Nemacheilidae),” Ichthyological Research, Volume 66, Ichthyological Society of Japan, 2019, Pages 479–487.
- ^ Jun-Ichi Miyazaki, Toshio Tamura, Seiya Hida and Takehiko Sakai, “Local Introgression of Mitochondrial DNA in Eight-Barbel Loaches of the Genus Lefua (Balitoridae, Cypriniformes),” Zoological Science, Volume 35, No. 2, Zoological Society of Japan, 2018, Pages 140-148.
- ^ 片山優太「ナガレホトケドジョウ嶺北集団の分布調査:福井市初記録」『福井市自然史博物館研究報告』第68号、福井市自然史博物館、2021年、53-56頁。