ナイトタイムエコノミー
ナイトタイムエコノミーとは、一般に日没から日の出までの夜間の経済活動を指す[1]。午後6時から翌朝6時までの経済活動とも説明される[2]。また、日本語では夜間経済と記されることもある[3]。
概要
[編集]ナイトエコノミーの対象は飲食から宿泊、交通、「コト消費」まで幅広く、経済波及効果が大きいとされている[4]。飲食店やナイトクラブとは異なる「家族で楽しめるナイトエンタメ」や[5]、飲酒をしない人々を対象としたノンアルコール飲料を主に提供するバー、夜パフェ専門店などもナイトエコノミーとして紹介される[1]。
自治体がナイトエコノミーを推進することもあり、例えば千葉県千葉市はナイトタイムエコノミー推進支援事業を実施し、ビアフェスなどを補助しているほか[6]、大阪観光局と奈良県は2024年に、ナイトタイムエコノミーの推進などを盛り込んだ観光振興の連携協定を結んだ[7]。また、観光客の分散のためにナイトエコノミーに着目する自治体もあり、例えば京都市長の松井孝治は「寺社の早朝拝観やナイトタイムエコノミーの活性化で時間的な分散も図りたい」と語っている[8]。
評価
[編集]2024年にウスビ・サコはナイトタイムエコノミーについて「米国と英国が積極的に取り組んでおり、経済への影響も大きい」と指摘している[9]。同様に、東京商工会議所は、ナイトタイムエコノミーの経済規模はロンドンで約3.7兆円、ニューヨークで約2.1兆円の市場となっていて、雇用創出効果も期待できると指摘している[10]。また、ナイトタイムエコノミー推進協議会の梅澤高明理事も日本以外の事例について「美術館や公園を、昼間とは別の用途で夜間のイベントなどに使うケースもある」と紹介している[11]。一方、日本におけるナイトエコノミーについては、石飛大和が以下のように指摘している[2]。
大都市以外でもナイトタイムエコノミーは注目されており、例えば九州経済調査協会研究主査の渡辺隼矢は「ナイトタイムエコノミーは飲食店や娯楽の多い都市部が中心となりがちだが、星空は田舎こそ力を入れやすい観光資源だ。夜間だからこそ宿泊につなげやすく、経済効果を期待できる」と述べている[12]。また、2024年に足立佑太は『日本経済新聞』にて「全国でナイトタイムエコノミーを活性化させるための取り組みが広がっている」と指摘している[3]。
首都圏との近さゆえナイトエコノミーが発展しにくいと指摘される地域もある[13]。例えば加藤敦志は2024年に「宇都宮は東京駅と新幹線で2時間程度で往復でき、日帰りで気軽に観光できるのが強み。だが首都圏との近さが逆に長時間滞在を阻み、ナイトタイムエコノミーが発展しにくい側面がある」と述べている[13]。他にも沢隼が石巻市について「仙台駅から電車や高速バスで1時間半程度で、アクセスの良さがかえって宿泊者の少なさにつながっている。ナイトマーケットの開催など、宿泊客を増やすにはナイトタイムエコノミーの拡充が求められる」と指摘している[14]
脚注
[編集]- ^ a b 友部温、大沢友菜「Z世代、「飲み」より「ご飯」 夜のお出かけ変貌 夜パフェやノンアルカクテル」『日本経済新聞』2024年9月20日。
- ^ a b c 石飛大和「インバウンドはコト消費へ 欧米客増加で生じる新商機」『日本経済新聞』2024年1月28日。
- ^ a b 足立佑太「仕事帰りに関西「ナイトミュージアム」 夜間経済を活性化」『日本経済新聞』2024年9月11日。
- ^ 安部将隆「愛媛・大洲、夜間経済で消費後押し DMOなどイベント」『日本経済新聞』2024年8月15日。
- ^ 古田翔悟「阪神電鉄系、大阪で相撲のショーホール 訪日客に的」『日本経済新聞』2024年3月11日。
- ^ 「千葉市、夜の催し支援で6事業採択 ビアガーデンなど」『日本経済新聞』2024年7月11日。
- ^ 「大阪観光局と奈良県、過疎地域の誘客増へ協定締結」『日本経済新聞』2024年5月14日。
- ^ 足立佑太「京都市・松井市長「持続的な観光都市へ市民生活と両立」京都経済特集」『日本経済新聞』2024年7月29日。
- ^ 「南大阪活性化へ取り組み本格化 産学官組織が総括シンポ」『日本経済新聞』2024年12月13日。
- ^ 「訪日客の夜の観光、JTBが専用ツアー HISはカラオケ」『日本経済新聞』2024年2月18日。
- ^ 「Z世代、「飲み」より「ご飯」 夜のお出かけ変貌 夜パフェやノンアルカクテル」『日本経済新聞』2024年9月20日。
- ^ 「北九州は「星空の街」 カルスト台地、観測ツアーで誘客 データで読む地域再生 九州・沖縄」『日本経済新聞』2024年10月25日。
- ^ a b 加藤敦志「ギョーザだけじゃない 宇都宮市「カクテルの街」PR 日経グローカル ニュース&インサイド」『日本経済新聞』2024年8月12日。
- ^ 沢隼「宮城県石巻市、マンガで街おこし 水産業に次ぐ柱に 地域のチカラ 街のイノベーション」『日本経済新聞』2024年6月23日。