トヨタ・デュアルブーストハイブリッドシステム
デュアルブーストハイブリッドシステム(Dual Boost HV System、DBHS)は、トヨタ自動車が2022年に新開発した、1モーター式ハイブリッドシステム[1]。
概要
[編集]2022年8月発売の16代目クラウンにて初搭載。「パワフルかつリニアな加速フィーリング」と謳うシステムとして開発された。従来トヨタが採用してきた、2モーター構造で「シリーズパラレル式(スプリット式)」に分類されるトヨタシリーズパラレルハイブリッド(以下THS2)とは異なり、本システムは1モーター構造で「パラレル式」に分類される。トヨタがパラレル式を採用するのは、第一世代THSの2001~2003年のクラウン(S17型)が用いていた「THS-M」以来となる。
エンジンはダイナミックフォースエンジンとして新開発された直噴ターボエンジン「T24A-FTS」をトヨタのハイブリッドとして初めて採用した他、トランスミッションはTHS-Mを採用した11代目クラウンぶりとなる有段AT「Direct-Shift-6AT」を搭載している。これにより、エンジンのダイレクト感を重視した制御となり、これまでのTHS2から大きく走りを向上させる。電動機系統では、出力密度の向上を図ったバイポーラ型ニッケル水素電池を採用し、後輪の軸にはモーターとトランスミッション、そしてインバータを一体化した新技術「eAxle」を採用[2]。これを高出力を余すことなく伝えるFFベースのAWD「E-Four Advanced」と組み合わせたことにより、クラウンのフロントモーターの最高出力は82.9PS、リアモーターは80.2PSとなり、出力272PS、トルク460Nmのエンジンと合わせたシステムの最高出力は、2.4Lエンジンながら349PSと3.5Lエンジン並のパワーを実現している[3]。
この技術は、すでに当初レクサスが5代目RXに搭載予定の新技術「2.4L-T HEV+DIRECT4」としてこのシステムの技術を公表していたが、実際の採用はクラウンが先となり、レクサスは11月にRX500hに採用する形となった。
Direct-Shift-6AT
[編集]1つで駆動と回生を両方行えるモーターを内蔵しており、トルクコンバータ部がモーターとなる。つまり、従来のトルクコンバータを必要としていない。多板クラッチでエンジンを接続することができ、切り離した場合はモーターのみでEV走行も可能。THS2は、動力分割機構を利用してエンジンの力を発電と駆動で分割しているのに対し、こちらは動力分割機構を撤廃してエンジンの動力を駆動のみにフル活用する方式のため、エンジンがモーターをアシストするTHS2と打って変わって、(フロント)モーターがエンジンをアシストするシステムとなっている[注釈 1]。よって、モーターは発進時のアシストはもちろん、有段トランスミッション特有の変則時のトルクの不連続感やターボエンジンの弱点と言えるターボラグを緩和することを実現している[4]。
搭載車種
[編集]関連項目
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 後輪は後述のeAxleでモーターのみ駆動するため、エンジンの動力はフロントにのみ出力される。
出典
[編集]- ^ トヨタ クラウン|機能・性能=走行性能 - トヨタ自動車
- ^ 【5分でわかる】電動車のコア部品eAxle (eアクスル)とは? - AiThink
- ^ 新型クラウンのデュアルブーストハイブリッドシステムってどういうこと - GAZOO 2022.07.21
- ^ 新型クラウンに新搭載の「デュアルブーストハイブリッドシステム」 エンジン直結でアクセルダイレクトな加速を実現 - Car Watch 2022.07.22