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トゥーレ (海防戦艦)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
改装前の「トゥーレ」
「トゥーレ」の進水式[1]

トゥーレ (Thule) はスウェーデン海軍海防戦艦スヴェア級。艦名は伝説の地トゥーレからとられている[2]

ストックホルムのベリスンス造船所で建造[3]。1891年起工[3]。1893年3月4日進水[3]艤装はカールスクルーナ海軍工廠で行われ、1893年12月1日に就役した[2]

基準排水量3150トン、満載排水量3305トン、全長83.66m、最大幅14.62m、計画吃水4.92m[3]。前2隻と異なり、衝角を有した[4]

主砲はアームストロング34口径25.4cmM/89B型後装施条砲2門で、連装砲塔に搭載した[5]。これは、「スヴェア」搭載のものより発射速度が上がっている[6]。副砲はボフォース34口径5.2cmM/89型砲を4門搭載[6]。他に、マキシム・ノルデンフェルト48口径57mmM/92型砲5門、パルムクランツ25mmM/77型機銃4挺およびノルデンフェルト25mmM/84型機銃2挺を搭載した[6]。2隻の艦載艇は25mmM/84型機銃1挺と外装水雷を搭載した[7]。水雷兵装は54.4M/89型cm水上魚雷発射管を2門搭載した[3]。衝角装備に伴い、前2隻にあった艦首の魚雷発射管はなくなった[6]

1900年以降スヴェア級3隻は順次近代化改装を受け、44口径21cm砲1門、44口径15.2cm砲7門、57mm砲11門となった[8]。他、水上魚雷発射管は撤去され、艦載艇の機銃がヴィッカース・マキシム39口径37mmM/98B型砲に換えられた[9]

主機は水平2気筒2段膨張式蒸気往復動機関2基、主缶は円缶6基で、出力4600指示馬力[3]。2軸推進で計画速力16ノット[3]。公試では5000馬力で16.9ノットを発揮した[6]。航続距離は10ノットで2400浬[3]

装甲鈑はフランスのシュネデール社製[6]。厚さは水線装甲帯が最大293mm、甲板25mm、シタデル268mm、司令塔268mm、主砲前楯293mm[6]。近代化改装後の砲塔は前楯190mm、側楯140mm[1]

1895年、「トゥーレ」は「イェータ」、砲艦「エッダ」とともにキール運河の開通式に参加した[2]。1917年、艦内で命令不服従が頻発し、ボリシェヴィキの指示を受けていたとして拘禁される者が出た[3]。1923年に宿泊艦となり、1928年8月17日に除籍[3]。標的として使用され、1933年に売却された[3]

脚注

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  1. ^ a b 『海防戦艦』111ページ
  2. ^ a b c 『海防戦艦』110ページ
  3. ^ a b c d e f g h i j k 『海防戦艦』113ページ
  4. ^ Conway's All the World's Fighting Ships 1860-1905, p. 361, "The Swedish Armoured Coastal Defence Ships", p. 12
  5. ^ 『海防戦艦』108、113ページ
  6. ^ a b c d e f g 『海防戦艦』108ページ
  7. ^ 『海防戦艦』108-109ページ
  8. ^ 『海防戦艦』111-112ページ、Conway's All the World's Fighting Ships 1860-1905, p. 361
  9. ^ 『海防戦艦』112ページ

参考文献

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  • 橋本若路『海防戦艦 設計・建造・運用 1872~1938』イカロス出版、2022年、ISBN 978-4-8022-1172-7
  • Conway's All the World's Fighting Ships 1860-1905, Conway Maritime Press. 1979, ISBN 0-8317-0302-4
  • Daniel G Harris, "The Swedish Armoured Coastal Defence Ships", Warship 1996, Conway Maritime Press, 1996, ISBN 0-85177-685-X, pp. 9-24