テーボール
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テーボールは明治期の日本の灯台視察船(灯台補給船)[1]。工部省所有[1]。鉄製外車船で、715総トン、長さ64.0m、幅9.6m[1]。主機はオシレーティング汽機で、出力1200馬力、速力11ノットであった[1]。
前身は1853年に建造されたフランス、メサジュリ・アンメリアル社の客船「タボル (Thabor)」である[1]。「タボル」は地中海航路に就航し、1869年にはスエズ運河の開通式に参加した[1]。明治3年(1870年)、日本政府が洋銀9万ドルで購入した[1]。
「テーボール」には政府高官などがたびたび乗船した[1]。明治3年11月、三条実美、大久保利通、大隈重信、ハリー・パークスらが「テーボール」で品川から竣工式の行われる神子元島灯台へ向かった[2]。明治4年2月の大阪造幣寮開業の際は三条、大隈、伊達宗城、澤宣嘉やパークスらが「テーボール」で大阪へ向かった[3]。明治5年3月、大隈、山尾庸三らが「テーボール」で灯台を視察[3]。明治6年3月には三条、大隈、板垣退助、後藤象二郎、山尾らが「テーボール」で神子元島灯台を視察した[4]。
明治10年、西南戦争に参加[1]。「テーボール」のその後は不明である[1]。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 齋藤謙藏『燈臺船羅州丸』東晃社、1942年
- 山田廸生「名船発掘130 テーボール(タボル) 日本近代史の大物たちがたびたび乗船した豪華汽船」