テンス
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テンス Iniistius dea
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分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Iniistius dea (Temminck et. Schlegel, 1845) | ||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
テンス ほか地方名多数 | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Goddes razorfish[1] |
テンス(天須[2]、Iniistius dea)は、ベラ科テンス属に属する魚の一種。背鰭の前2棘が長いことが特徴である[3][4]。 別名はテンスダイなど(下記参照)。
分布
[編集]太平洋西部からインド洋[1]東部(東インド諸島[3][4])の温暖な地域に分布[2]。 日本近海では、南日本[1][5]、特に太平洋側では東京湾以南[4]、日本海側では島根県以南[4]、東シナ海[1][5]に分布。
形態
[編集]全長約35[1][2][3][4]-40[5]cm)。体はとても高く側扁で[1][3]、鱗は大きい[3]。背鰭と臀鰭基底に鱗鞘(英: scale sheath、鰭の外面を覆う鱗の集合体[6]。)はない[1]。頭部背縁は隆起線をなす[1]。口角から前鰓蓋にかけて細く狭い溝がある[1][3][4][5]。両顎歯は1列に並び、先端に2対の犬歯がある[1]。前鰓蓋骨縁に鋸歯はない[1]。眼の下に1-2列の小さな鱗がある[1]。
背鰭は4棘11-13軟条、臀鰭は3棘11-13軟条[1]。背鰭の1-2棘が長く、背鰭第2-3棘条間は離れるが、低い鰭膜で連続する[1][3][4]。(同属のホシテンスは第2-3棘条間が鰭膜でつながっておらず[4]、完全に分離する[3]。)背鰭の起部は眼の後縁上方にある[5]。
体色は赤褐色[2]-紫紅色[1]。雌の体色は雄より鮮やかである[2]。体側に不明瞭な3条[2]または幅広い4条の濃赤色横帯が走る[1]。胸鰭上方の体側に通常1個の青黒色斑がある[1]。但しこの眼状斑は個体差があり、斑がないもの[4]や、複数あるものもいる[2]。
幼魚の体色は淡褐色もしくは黒褐色であり[4]、背鰭の棘がさらに長く、先端に旗のような鰭膜がつく[2]。
生態
[編集]水深30m以上のやや深い砂泥底に生息する[4]。砂底で底生動物などを食べる[2][4]。夜、休息するときや危急時は砂中に潜る[4]。
人間との関わり
[編集]地方名
[編集]アマダイ[1](串本)[3]、イソジイラ[1]、エビスダイ[2]、エベスダイ(白崎)[3]、センキュウ(直江津)[3]、テス[1][2](関西・四国)[3]、テニスダイ[1](三崎)[3]、テンスダイ[1]、ニゴイラ[1][2](田辺)[3]、ノギス[1]、ヒゴイラ[1]、ベロ[1]、モクズ(富山県四方)[3]、モハミ[1](鹿児島)[3]など多数ある。
利用
[編集]食用となり、味は良いとされる[5]。数は多くないが、南日本では総菜魚として食されている[2]。煮付けや唐揚げにて食すと美味とされる[4]。
分類
[編集]Randall, J.E. and J.L.Earle (2002) Review of Hawaiian razorfishes of the genus Iniistius (Perciformes: Labridae) によるとインド太平洋に産するXyrichtys属(旧テンス属)魚類がIniistius属に変更された[7]。大西洋あるいは東太平洋に分布するXyrichtys属ベラ類は従来のままXyrichtys属とされた[7]。ただし、ホシテンスはインド洋から東太平洋までにも分布しているが、例外[7]。
しかしKuiter(2015)ではテンス属の学名にXyrichtysが使用され、Iniistiusは使用していない。
テンス属
[編集]テンス属Iniistius(参考にした出典にはXyrichtysとして記載)の魚は日本で10種を産する[3]。体高が著しく高く、側扁する、背鰭第1,2棘は柔軟で3棘と離れるなどの特徴を持っている[4]。
日本産テンス属は以下の通りである[7]。学名順。
- Iniistius aneitensis (Günther, 1862) - ハゲヒラベラ
- Iniistius celebicus (Bleeker, 1856) - ホウキボシテンス(2013年新称)
- Iniistius dea (Temminck et. Schlegel, 1845) - テンス
- Iniistius geisha (Araga & Yoshino, 1986) - クロブチテンス
- Iniistius melanopus (Bleeker, 1857) - モンヒラベラ
- Iniistius pavo (Valenciennes, 1840) - ホシテンス(syn. Iniistius niger)
- Iniistius pentadactylus (Linnaeus, 1758) - ヒラベラ
- Iniistius spilonotus (Bleeker, 1857) - ホシヒラベラ
- Iniistius twistii (Bleeker, 1856) - ヒノマルテンス
- Iniistius verrens (D. S. Jordan & Evermann, 1902) - バラヒラベラ
脚注・出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa 阿部,1987,p.731(No.2924)
- ^ a b c d e f g h i j k l m 木村,2000,p183
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 蒲原・岡村,1985,p.73(No.359,Plate.72)
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o 岡村・尼岡,1997,p.516-517
- ^ a b c d e f 小西,2011,p.234
- ^ 阿部,1987,p.44
- ^ a b c d “ワークショップ 2「紛らわしい魚達」 日本産 Iniistius 属魚類”. 2014年7月28日閲覧。
参考文献
[編集]- 阿部宗明『原色魚類大圖鑑』(初版)北隆館、1987年11月25日、44,731頁。ISBN 4832600087。
- 蒲原稔治・岡村収『原色日本海水魚類図鑑Ⅰ』保育社、1985年7月31日、73頁。ISBN 4586300728。
- 岡村収・尼岡邦夫『山溪カラー名鑑 日本の海水魚』山と溪谷社、1997年8月20日、516-517頁。ISBN 9784635090278。
- 木村義志『フィールドベスト図鑑7 日本の海水魚』(初版)GAKKEN、1998年8月4日、183頁。ISBN 4054011217。
- 小西英人『釣魚1400種図鑑』(初版)エンターブレイン、2011年3月28日、234頁。ISBN 9784047271807。