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テンス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
テンス
テンス
テンス Iniistius dea
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : ベラ亜目 Labroidei
: ベラ科 Labridae
亜科 : モチノウオ亜科 Cheilininae
: テンス属 Iniistius
T. N. Gill, 1862
: テンス I.dea
学名
Iniistius dea
(Temminck et. Schlegel1845)
シノニム
和名
テンス
ほか地方名多数
英名
Goddes razorfish[1]

テンス(天須[2]Iniistius dea)は、ベラ科テンス属に属するの一種。背鰭の前2棘が長いことが特徴である[3][4]。 別名はテンスダイなど(下記参照)。

分布

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太平洋西部からインド洋[1]東部(東インド諸島[3][4])の温暖な地域に分布[2]。 日本近海では、南日本[1][5]、特に太平洋側では東京湾以南[4]日本海側では島根県以南[4]東シナ海[1][5]に分布。

形態

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テンスの背鰭。4棘11-13軟条である。

全長約35[1][2][3][4]-40[5]cm)。体はとても高く側扁で[1][3]は大きい[3]。背鰭と臀鰭基底に鱗鞘(: scale sheath、鰭の外面を覆う鱗の集合体[6]。)はない[1]。頭部背縁は隆起線をなす[1]。口角から前鰓蓋にかけて細く狭い溝がある[1][3][4][5]。両顎歯は1列に並び、先端に2対の犬歯がある[1]。前鰓蓋骨縁に鋸歯はない[1]。眼の下に1-2列の小さな鱗がある[1]

背鰭は4棘11-13軟条、臀鰭は3棘11-13軟条[1]。背鰭の1-2棘が長く、背鰭第2-3棘条間は離れるが、低い鰭膜で連続する[1][3][4]。(同属のホシテンスは第2-3棘条間が鰭膜でつながっておらず[4]、完全に分離する[3]。)背鰭の起部は眼の後縁上方にある[5]

体色は赤褐色[2]-紫紅色[1]。雌の体色は雄より鮮やかである[2]。体側に不明瞭な3条[2]または幅広い4条の濃赤色横帯が走る[1]胸鰭上方の体側に通常1個の青黒色斑がある[1]。但しこの眼状斑は個体差があり、斑がないもの[4]や、複数あるものもいる[2]

幼魚の体色は淡褐色もしくは黒褐色であり[4]、背鰭の棘がさらに長く、先端に旗のような鰭膜がつく[2]

生態

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水深30m以上のやや深い砂泥底に生息する[4]。砂底で底生動物などを食べる[2][4]。夜、休息するときや危急時は砂中に潜る[4]

人間との関わり

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地方名

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アマダイ[1]串本[3]、イソジイラ[1]、エビスダイ[2]、エベスダイ(白崎[3]、センキュウ(直江津[3]、テス[1][2]関西四国[3]、テニスダイ[1]三崎[3]、テンスダイ[1]、ニゴイラ[1][2]田辺[3]、ノギス[1]、ヒゴイラ[1]、ベロ[1]、モクズ(富山県四方[3]、モハミ[1]鹿児島[3]など多数ある。

利用

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食用となり、味は良いとされる[5]。数は多くないが、南日本では総菜魚として食されている[2]。煮付けや唐揚げにて食すと美味とされる[4]

分類

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Randall, J.E. and J.L.Earle (2002) Review of Hawaiian razorfishes of the genus Iniistius (Perciformes: Labridae) によるとインド太平洋に産するXyrichtys属(旧テンス属)魚類がIniistius属に変更された[7]大西洋あるいは東太平洋に分布するXyrichtys属ベラ類は従来のままXyrichtys属とされた[7]。ただし、ホシテンスはインド洋から東太平洋までにも分布しているが、例外[7]

しかしKuiter(2015)ではテンス属の学名にXyrichtysが使用され、Iniistiusは使用していない。

テンス属

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同属の近縁種ホシテンスの幼魚。
テンス属の一種。軟条部に眼状斑が2個あるためホシテンスの若魚である可能性が高い。第1-2棘が長い。

テンス属Iniistius(参考にした出典にはXyrichtysとして記載)の魚は日本で10種を産する[3]。体高が著しく高く、側扁する、背鰭第1,2棘は柔軟で3棘と離れるなどの特徴を持っている[4]

日本産テンス属は以下の通りである[7]。学名順。

脚注・出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa 阿部,1987,p.731(No.2924)
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 木村,2000,p183
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 蒲原・岡村,1985,p.73(No.359,Plate.72)
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 岡村・尼岡,1997,p.516-517
  5. ^ a b c d e f 小西,2011,p.234
  6. ^ 阿部,1987,p.44
  7. ^ a b c d ワークショップ 2「紛らわしい魚達」 日本産 Iniistius 属魚類”. 2014年7月28日閲覧。

参考文献

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  • 阿部宗明『原色魚類大圖鑑』(初版)北隆館、1987年11月25日、44,731頁。ISBN 4832600087 
  • 蒲原稔治・岡村収『原色日本海水魚類図鑑Ⅰ』保育社、1985年7月31日、73頁。ISBN 4586300728 
  • 岡村収・尼岡邦夫『山溪カラー名鑑 日本の海水魚』山と溪谷社、1997年8月20日、516-517頁。ISBN 9784635090278 
  • 木村義志『フィールドベスト図鑑7 日本の海水魚』(初版)GAKKEN、1998年8月4日、183頁。ISBN 4054011217 
  • 小西英人『釣魚1400種図鑑』(初版)エンターブレイン、2011年3月28日、234頁。ISBN 9784047271807 

関連項目

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