テリハボク
テリハボク | |||||||||||||||||||||
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テリハボク
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Calophyllum inophyllum L. |
テリハボク(照葉木; Calophyllum inophyllum)は、テリハボク科の常緑高木。方言名はヤラボ、ヤラブ、ヤナブ、タラブ(いずれも沖縄県)[1]、ドクギ(与論島)[2]など。
リンネの『植物の種』(1753年) で記載された植物の一つである[3]。
分布
[編集]太平洋諸島、オーストラリア、東南アジア、インド、マダガスカルなどの海岸近くに分布し、また世界の熱帯・亜熱帯で広く栽培される。日本では南西諸島(与論島、沖縄諸島、南大東島、先島諸島)と小笠原諸島に自生するが、これらは移入によるとの考えもある[4]。
性質
[編集]成長は遅いが、高さは10-20メートルほどになる。葉は対生し、楕円形、長さ10-15センチメートルほどで光沢があり(名の由来)、裏面は葉脈が目立つ。花は径2-3センチメートルで10個前後が総状花序につく。両性花で子房上位、花弁は白く4個、雄蕊は黄色く多数、芳香がある。果実は径4センチメートル程の球形の核果で、赤褐色に熟し、大きい種子を1個含む[5]。
利用
[編集]南西諸島では見かけのよく似たフクギとともに防風林・防潮林として植えられる。観賞用にも栽培されるほか、材は硬く強いので家屋、丸木舟や道具の材料に用いられる[1][2]。小笠原諸島では「タマナ」の名称で親しまれ、材を用いてカノー(アウトリガーカヌー)を造った。
種子から採れる油は、タマヌオイル(tamanu oil)と呼ばれ、食用にはならないが外用薬や化粧品原料に使われる。また灯火用にもされ[2]、現在はバイオディーゼル燃料に適するとして注目される[6]。
民間療法では、種子油を発疹性皮膚病に、樹皮を殺虫・駆虫に、根を打撲傷、リウマチ、月経不順、出血に用いる[2]。
近縁種
[編集]フクギ(Garcinia subelliptica)も植栽に利用され、外見がよく似ており混同されやすいが、テリハボクは葉に直線的な側脈が多数並ぶこと、樹皮に縦横の裂け目が目立つことで区別できる[7]。
脚注
[編集]- ^ a b “有用植物要覧 テリハボク”. 沖縄県 (2016年1月8日). 2018年12月19日閲覧。
- ^ a b c d “テリハボク”. 奄美群島生物資源Webデータベース. 奄美群島広域事務組合. 2018年12月19日閲覧。
- ^ Linnaeus, Carolus (1753) (ラテン語). Species Plantarum. Holmia[Stockholm]: Laurentius Salvius. p. 513
- ^ “テリハボク”. 琉球の植物データベース. 国立科学博物館. 2018年12月19日閲覧。
- ^ “テリハボク” (PDF). 林野庁 西表森林生態系保全センター. 2018年12月19日閲覧。
- ^ “タマヌオイル(テリハボク種子油)”. 途上国森林ビジネスデータベース. 公益財団法人 国際緑化推進センター. 2018年12月19日閲覧。
- ^ 大川智史・林将之 『ネイチャーガイド 琉球の樹木』 文一総合出版、2016年、226-227頁、ISBN 978-4-8299-8402-4