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テクノスケープ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

テクノスケープ(technoscape)とは、テクノロジーのシステムによって人間が構築した構造物がつくり出す景観[1]。産業景観と呼ばれても居たが、近年「テクノスケープ」と呼ばれるようになった。

工場・コンビナート等の建築物による「工場景観」が代表的なものであるが[2]、そのほか、鉄塔水門橋梁ダム等の土木構造物から列車航空機等の大型のりもの機械や各種発電所(特に風力発電)など、現役と退役問わず様々な産業的要素で空間が構成される。テクノスケープは各種産業のための構築物が織り成し、こんにち景観資源として捕らえられている。

これまで風景観は17世紀に確立した古典的な風景観があるが、そうした風景観が失効したという前提に立つ新しい風景観は新風景として捉えられていた。そのうちのひとつに「情報化時代の風景」[3]が提示されていた。

もともと工場の煙突や建物その他設備、クレーン、高架高速道路ガスタンクといった工作物が作る景観は工業景観と呼称され、それらは実質的機能を追求して建設されている。それにもかかわらず、それらが時としてその形やデザインから、芸術性を感じ取ることが試みられても居た。そうした設計者・建設者の意図とは別に、工業発展の過程で、その機能を支える構成自体の見事さ[4]などが評価される過程で偶発的に生まれ[5]見るものを魅了していく。テクノスケープが織り成す景観の価値は、作り手ではなく「見る人がその価値を決める」という考え方が生じて誕生した[6]

テクノスケープはコンバージョンによる活用も多く試みられている。代表的なものにワシントン大学リチャード・ハーグが計画・設計した米国シアトル市の「ガスワークパーク」、ドイツの「IBAエムシャーパーク」やフランスのエコミュゼ(エコミュージアム)である「エコミュゼ・ダルザス」などが知られる。

脚注

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参考文献

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  • 岡田昌彰(2003)『テクノスケープ-同化と異化の景観論』 (景観学研究叢書) 鹿島出版会
  • 山本敏也「テクノスケープによる成熟都市のリデザイン : 新しいコンバーションの提案とその応用可能性」『産開研論集』第24号、大阪府商工労働部 (大阪産業経済リサーチセンター)、2012年3月、21-32頁、ISSN 0915-082XNAID 40019308686 
  • 岡田昌彰(2018)美しい英国の産業景観(テクノスケープ) Fascinating Industrial Landscape in Britain 創元社
  • 岡田昌彰「産業廃墟景観論・試論」『ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌』第64巻第5号、日本造園学会、2001年3月、765-768頁、doi:10.5632/jila.64.765ISSN 13408984NAID 110004305242 
  • 岡田昌彰「テクノスケープ・レトリック論としての単純反復景観に関する研究」『ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌』第63巻第5号、日本造園学会、2000年3月、603-606頁、doi:10.5632/jila.63.603ISSN 13408984NAID 110004305097 
  • 中村良夫「ランドスケープ:その軌跡と展望」『土と基礎』第43巻第1号、地盤工学会、1995年1月、1-5頁、ISSN 00413798NAID 110003968101 

関連項目

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