チュカロサウルス
チュカロサウルス | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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チュカロサウルスの骨格図
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Chucarosaurus Agnolin et al., 2023 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
タイプ種 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Chucarosaurus diripienda Agnolin et al., 2023 |
チュカロサウルス[1](学名:Chucarosaurus)は、アルゼンチンに分布する上部白亜系(中部セノマニアン階-下部チューロニアン階)のフインクル層から化石が産出した、絶滅したティタノサウルス類の恐竜の属。本属はモノタイプであり、様々な四肢の骨と骨盤の骨から知られるチュカロサウルス・ディリピエンダ(C. diripienda)1種のみを含む[2]。
発見と命名
[編集]チュカロサウルスのホロタイプ標本 MPCA PV 820 は、アルゼンチンのリオネグロ州にて、後期白亜紀の中期セノマニアン期から前期チューロニアン期にあたるフインクル層の堆積物中で発見された[2]。標本は完全な左上腕骨・部分的な左橈骨・完全な左第II中手骨・左坐骨・部分的な左大腿骨および腓骨・部分的な右脛骨・部分的な未同定の中手足骨からなり、これらは全て一個体に由来する[2]。化石は巨大であり、テレビ朝日の報道によれば発掘地から研究機関への運送中に車両が複数回横転したとされる[1]。
追加標本 MPCA PV 821 は左大腿骨および脛骨からなり、パラタイプ標本に指定された[2]。
2023年にAgnolin et al.はこれらの化石に基づき、ティタノサウルス類の新属新種としてChucarosaurus diripiendaを命名した[2]。ケチュア語で「硬く制御不能な動物」を意味する"chucaro"とラテン語で「爬虫類」を意味する"saurus"を組み合わせて属名"Chucarosaurus"が命名された[2]。種小名"diripienda"は「混ぜられた」を意味するラテン語の語に由来する[2]。
特徴
[編集]全長約30メートル、体重約50トンと推定される[1]。
チュカロサウルスは細長い四肢を持つ大型のティタノサウルス類であった。大腿骨長は約1.9メートルで、2.5メートルと推定されるアルゼンチノサウルスのものよりやや小型である。前肢は後肢よりも短く、上腕骨長は大腿骨長の78%で、ブラキオサウルス科のような基盤的ティタノサウルス型類よりもティタノサウルス類に典型的である。他のColossosauria (en) と同様に、上腕骨の三角筋稜は遠位側の半分で厚い。坐骨には他のティタノサウルス類よりも短く頑強な iliac peduncle が存在する[2]。
分類
[編集]Agnolin et al. (2023)はチュカロサウルスをティタノサウルス類のうちColossosauriaとし、Notocolossus (en) とロンコサウルス類からなる分岐群の姉妹群として位置づけた。系統解析の結果を以下のクラドグラムに示す[2]。
Colossosauria (en) |
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古環境
[編集]チュカロサウルスはアルゼンチンのリオネグロ州に分布する上部白亜系・フインクル層から化石が産出した。フインクル層から化石が産出して命名された恐竜には、同じくティタノサウルス類(アルゼンチノサウルスとChoconsaurus (en) )、レッバキサウルス科(Cathartesaura (en) とリメイサウルス)[3]、カルカロドントサウルス科(マプサウルス、メラクセス、Taurovenator (en) )、メガラプトル類(アオニラプトル)、アベリサウルス科(スコルピオヴェナトル、Tralkasaurus (en) 、イロケレシア)、ノアサウルス科(フインクルサウルス)[4]、原鳥類(オヴェロラプトル)、アヴェテロポーダ類のグアリコがいる[5][6]。また、ウネンラギア科やイグアノドン類といった恐竜の化石も知られている[2]。
出典
[編集]- ^ a b c ““新種の草食恐竜”世界最大級と判明 アルゼンチンで発見の化石から”. テレ朝news. テレビ朝日 (2023年5月19日). 2023年12月24日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j Agnolin, Federico L.; Gonzalez Riga, Bernardo J.; Aranciaga Rolando, Alexis M.; Rozadilla, Sebastián; Motta, Matías J.; Chimento, Nicolás R.; Novas, Fernando E. (2023-02-02). “A new giant titanosaur (Dinosauria, Sauropoda) from the Upper Cretaceous of Northwestern Patagonia, Argentina” (英語). Cretaceous Research: 105487. doi:10.1016/j.cretres.2023.105487. ISSN 0195-6671 .
- ^ Calvo, Jorge O.; Salgado, Leonardo (1995). “Rebbachisaurus tessonei sp. nov. a new Sauropoda from the Albian-Cenomanian of Argentina; new evidence on the origin of the Diplodocidae”. Gaia 11: 13–33. オリジナルの23 September 2021時点におけるアーカイブ。 .
- ^ Baiano, Mattia A.; Coria, Rodolfo A.; Cau, Andrea (June 2020). “A new abelisauroid (Dinosauria: Theropoda) from the Huincul Formation (lower Upper Cretaceous, Neuquén Basin) of Patagonia, Argentina”. Cretaceous Research 110: 104408. doi:10.1016/j.cretres.2020.104408.
- ^ Cerroni, M.A.; Motta, M.J.; Agnolín, F.L.; Aranciaga Rolando, A.M.; Brissón Egli, F.; Novas, F.E. (2020). “A new abelisaurid from the Huincul Formation (Cenomanian-Turonian; Upper Cretaceous) of Río Negro province, Argentina”. Journal of South American Earth Sciences 98: 102445. Bibcode: 2020JSAES..9802445C. doi:10.1016/j.jsames.2019.102445.
- ^ Matías J. Motta; Federico L. Agnolín; Federico Brissón Egli; Fernando E. Novas (2020). “New theropod dinosaur from the Upper Cretaceous of Patagonia sheds light on the paravian radiation in Gondwana”. The Science of Nature 107 (3): Article number 24. Bibcode: 2020SciNa.107...24M. doi:10.1007/s00114-020-01682-1. hdl:11336/135530. PMID 32468191.