チヂミザサ属
チヂミザサ属 | |||||||||||||||||||||||||||
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チヂミザサ(2008年10月11日)
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分類(APG IV) | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Oplismenus P. Beauv. | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
チヂミザサ(縮み笹)属 |
チヂミザサ属 Oplismenus P. Beauv. はイネ科の植物の属の1つ。地表を這う草で葉はイネ科としては幅広い形をしている。小穂は卵形で芒があり、日本のものではここに粘りがあってくっつく。
特徴
[編集]這い回る一年草または多年草[1]。茎の基部は枝分かれしながら地表を這う。葉身は薄くて披針形をしている。
花序は横枝(総)を出し、この上に小穂を付ける。小穂はその枝の片側に列をなす[2]。小穂は卵形で短い柄がある。小穂には2つの小花が含まれるが、第1小花は退化して無性、第2小花は両性花で稔性がある。第1包頴は花軸の枝の反対側に着いており、膜質で3~5本の脈があり、先端は直立する芒になっている。第2包頴は第1包頴とほぼ同型ながら芒がないものが多い。ちなみに日本のものでは短い芒がある。第1小花の護頴は長くて5~7本の脈がある。第1小花には他に内頴と雄しべがある場合もあるが、ないものもある[3]。第2小花の護頴は卵形で芒はなく、革質となっている。
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地表に広がる茎と葉
チヂミザサ -
花序、開花中
同
分布と種
[編集]世界の暖帯域に5種ほどが知られ[4]、豊富に見られるものの変異が多い[5]。ニューギニアと台湾の両方で観察された種にエダウチチヂミザサ(Oplismenus compositus)、変種1種(O. undulatifolius var. )[6]がある[5]。日本の例では森林火災の後に、焼け残った部分で繁栄する種にOplismenus undulatifolius var. japonicus[7] が数えられる[8]。
上位分類
[編集]本属はイネ科のキビ亜科Subfam. Panicoideae に属し、小穂が腹背方向に扁平であること、含まれる小花は2個で、第1小花が退化的であること、包頴かあるいは第2小花の護頴が硬化しており、包頴を含む小穂全体が落下して散布されることなどの特徴を共有する。
日本のもの
[編集]日本には2種ないし3種があるが、いずれも変異が大きく、複数の変種が設定されており[9]、またそこには異説も多い[4]。以下、種のみを挙げておく。
- Oplismenus チヂミザサ属
ただしダイトンチヂミザサはエダウチチヂミザサに含まれるとの説もある[要出典]。
出典
[編集]- ^ 以下、主として大橋 2016, p. 90
- ^ 初島 1975, p. 685
- ^ 大井 & 北川 1983, p. 215
- ^ a b 大橋 他編 2016, p. 90
- ^ a b 大井 1942, pp. 1–13
- ^ 1940年に発表されたニューギニアの植物誌『The Kanehira-Hatusima 1940 Collection of New Guinea Plants. VI』(金平、初島)を大井が解説した。
- ^ Oplismenus undulatifolius var. japonicus (Steud.) Koidz., Bot. Mag. (Tokyo) 39: 302 (1925)
- ^ 後藤, 曲沢 & 森澤 1989, pp. 8–12
- ^ 丹田誠之助「9.チヂミザサ属(Oplismenus)の麦角病菌」『日本所産の麦角に関する菌学的研究』1991年(平成3年)12月20日、239頁。doi:10.11501/3073386。NDLJP:3073386。東京農業大学博士(農学 乙第514号)
- ^ 長田 2002, p. 546
参考文献
[編集]主な執筆者・編者の順。
- 大井次三郎「ニユーギニアノ植物研究 (VI)」『植物学雑誌』第56巻661{ref=CITEREF大井1942、1942年、1–13頁、doi:10.15281/jplantres1887.56.1。
- 大井次三郎、北川 政夫(改訂)『顕花篇』(改訂版)至文堂〈新日本植物誌〉、1983年。 NCID BN08425439。ISBN 4784301216。
- 長田武正「ダイトンチヂミザサ」『日本イネ科植物図譜』(増補第3刷、オンデマンド版)平凡社、2002年、546頁。全国書誌番号:22877039。ISBN 4-582-91067-X原本は1997年刊。別題『Illustrated grasses of Japan』英語併記。
- 大橋広好、門田裕一、邑田仁 ほか 編『イネ科~イラクサ科』(改訂新版)平凡社〈日本の野生植物 2〉、2016年。別題『Wild Flowers of Japan』。
- 後藤 義明、曲沢 修、森澤 猛「北関東における林野火災跡地の植生回復 再生初期段階の種組成および現存量」『日本緑化工学会誌』第15巻第1号、日本緑化工学会、1989年、8-12頁、doi:10.7211/jjsrt.15.8、ISSN 0916-7439。
- 初島住彦『琉球植物誌』(追加・訂正版)沖縄生物教育研究会、1975年。
外部リンク
[編集]ウィキスピーシーズには、チヂミザサ属に関する情報があります。 ウィキメディア・コモンズには、チヂミザサ属に関するカテゴリがあります。
- 求米草属 Oplismenus《中国植物誌》第10巻-1 (1990) 、241頁、PDF。