ダイアー・ストレイツ
ダイアー・ストレイツ | |
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ノルウェー・ドラメン公演の様子(1985年10月22日) | |
基本情報 | |
出身地 | イングランド ロンドン |
ジャンル | |
活動期間 | |
レーベル | |
旧メンバー |
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ダイアー・ストレイツ(Dire Straits)は、イギリスのロックバンド。1970年代末から90年代初頭に掛けて、ポップシーンにありながらも流行とは一線を画した音楽で世界的な人気を誇ったグループである[4]。1983年に来日。
結成
[編集]1976年ロンドンにて結成される。オリジナル・メンバーは、マーク・ノップラー(リードギター&ボーカル)と弟のデヴィッド・ノップラー(リズムギター)、ジョン・イルズリー(ベース)、ピック・ウィザース(ドラム)の4人構成で、当初のグループ名は「カフェ・レーサーズ(Cafe Racers)」。当時、音楽で生計を立てていたのはセッションマンのウィザースのみで、マークは成人教育カレッジの講師、デヴィッドは民生委員、ジョンは大学に通う傍ら銀行に勤めて収入を得て、それをそっくり音楽活動に注ぎ込んでいた。ウィザースの友人が万年金欠状態のメンバーをからかって叩いた軽口を拝借して、「Dire Straits」("dire"は「ひどい、無残な、差し迫った」、"strait"は「断崖、苦境、困窮」の意)の名称に落ち着く。ようやく1977年に、ヴァーティゴ・レコードと契約したバンドは、1978年にトーキング・ヘッズのイギリス・ツアーでオープニングアクトを務めた後、マフ・ウィンウッド(元スペンサー・デイヴィス・グループのベーシストで、スティーヴ・ウィンウッドの兄)のプロデュースで、ファースト・アルバムの録音に入った[5]。また、同年にはワーナー・ブラザース・レコードと米国及びカナダの北米地区における契約を得ている[5]。
略歴
[編集]1978年にファースト・アルバム『悲しきサルタン』をリリースする。ルーツ・ミュージックに独自の解釈を施した音楽に高い評価を付ける向きもあったものの、当時のトレンドである音楽ジャンルとは異質であり、直ちにチャート・アクションには反映されなかった。しかし、オランダのVPROラジオでファースト・シングルの「悲しきサルタン」がヘヴィー・ローテーションされた頃から風向きが変わり[6]チャートを上昇、その後ヨーロッパとアメリカに飛び火した人気が本国も刺激し、ツアーの効果もあってアルバムは全米で2位、全英で8位を記録し、全世界で1,500万枚を売り上げる。また、ロサンゼルスでダイアー・ストレイツのライヴを観たボブ・ディランは、ノップラーとウィザースをアルバム『スロー・トレイン・カミング』のレコーディング・メンバーに起用した[7]。
1979年にはセカンド・アルバム『コミュニケ』も成功を収めるが、1980年、アルバム『メイキング・ムーヴィーズ』制作中にデヴィッド・ノップラーが脱退し、Eストリート・バンドのロイ・ビタンが代役を務める[8]。その後ハル・リンデスとアラン・クラークが加入し、バンドは5人編成となった。
1982年、アルバム『ラヴ・オーヴァー・ゴールド』が全英アルバムチャートで1位を獲得し、同作からの先行シングル「哀しみのダイアリー」がイギリスやオランダ等で大ヒットするが、同アルバムを最後にピック・ウィザースが脱退し、元ロックパイルのテリー・ウィリアムズが加入[8]。1983年には、最初で最後の日本公演も行った。同年にはノップラーとクラークがボブ・ディランのアルバム『インフィデル』のレコーディングに参加し、ノップラーは共同プロデューサーも務めた。その後ハル・リンデスが脱退しガイ・フレッチャーが加入。
1985年に発表したアルバム『ブラザーズ・イン・アームス』では、スティングをフィーチャーしたシングル曲「マネー・フォー・ナッシング」の3DCG(当時としては最新鋭の技術であった)を取り入れたミュージック・ビデオが、MTVで大量にオンエアされた(ちなみに、元々はMTVに対する不満などを述べた曲なのだが、MTVによってヒットしたという皮肉な結果に終わっている)効果で全米1位を3週連続でキープする爆発的なヒットを記録。イギリス国内だけでも390万枚以上を売り上げるセールスを達成し、英国内での歴代アルバムセールスランキングでも、クイーンの『グレイテスト・ヒッツ』、ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』、ABBAの『アバ・ゴールド』、オアシスの『モーニング・グローリー』、アデルの『21』、マイケル・ジャクソンの『スリラー』に次ぐ歴代7位を記録(2012年5月時点)[9]。また、並行して敢行された2度のワールド・ツアーの効果も相まって、最終的に全世界で3,000万枚を超えるセールスを上げる。なお、このアルバムはLPからCDへの移行期にあたり、大ヒットしたアルバムということもあり、売り上げ内訳で、LPよりもCDが売れたことでも話題になった。
1988年9月、マーク・ノップラーはダイアー・ストレイツの解散を発表し[10]、10月にベスト・アルバム『マネー・フォー・ナッシング』が発表される。ノップラーとガイ・フレッチャーはノッティング・ヒルビリーズのメンバーとして活動。
1991年にはノップラー、イルズリー、クラーク、フレッチャーが再結集し、ジェフ・ポーカロやマヌ・カチェ等のセッション・ミュージシャンを迎えて制作したアルバム『オン・エヴリー・ストリート』をリリース。更に、同アルバム発表後のライヴを収録した『オン・ザ・ナイト〜ダイアー・ストレイツ・ライヴ』と、過去のスタジオ・ライヴ音源を発掘した『ライヴ・アット・ザ・BBC』をリリースするが、世界的グループとして大規模な公演を行うことに疲れを感じたマーク・ノップラーの判断で、1995年に再び解散が発表された。2018年度『ロックの殿堂』入り。
バンドのアイデンティティのほぼすべてを、フロントマンのノップラーに負っており、彼が書いた楽曲以外の曲は、アルバムでもステージでもほとんど取り上げられていない(ごく例外的に、最初期のライヴではマークとデヴィッドが共作した What's The Matter, Baby? がセット・リストに入っていた)。
メンバー
[編集]- マーク・ノップラー - ボーカル、ギター(1977年 - 1995年)
- ジョン・イルズリー - ベース、バッキング・ボーカル(1977年 - 1995年)
- デヴィッド・ノップラー - リズムギター、キーボード、バッキング・ボーカル(1977年 - 1980年)
- ピック・ウィザース - ドラムス(1977年 - 1982年)
- アラン・クラーク - キーボード(1980年 - 1995年)
- ハル・リンデス - リズムギター、バッキング・ボーカル(1980年 - 1985年)
- テリー・ウィリアムズ - ドラムス(1982年 - 1989年)
- ガイ・フレッチャー - キーボード(1984年 - 1995年)
- ジャック・ソンニ - リズムギター(1985年 - 1988年、ツアーのみ)
ディスコグラフィ
[編集]スタジオ・アルバム
[編集]年 | タイトル | アルバム詳細 | チャート最高位 | 認定 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
UK [11] |
AUS [12] |
AUT [13] |
CAN [14] |
FRA [15] |
GER [16] |
NLD [17] |
NZ [18] |
SWI [19] |
US [20] | ||||
1978 | 悲しきサルタン Dire Straits |
|
5 | 1 | 17 | 2 | 1 | 3 | 3 | 2 | 7 | 2 | |
1979 | コミュニケ Communiqué |
|
5 | 5 | 7 | 14 | 3 | 1 | 3 | 1 | 2 | 11 | |
1980 | メイキング・ムーヴィーズ Making Movies |
|
4 | 6 | 15 | 21 | 6 | 7 | 6 | 3 | — | 19 | |
1982 | ラヴ・オーヴァー・ゴールド Love Over Gold |
|
1 | 1 | 1 | 6 | 2 | 4 | 1 | 1 | — | 19 | |
1985 | ブラザーズ・イン・アームス Brothers in Arms |
|
1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | |
1991 | オン・エヴリー・ストリート On Every Street |
|
1 | 1 | 1 | 3 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 12 | |
"—"は未発売またはチャート圏外を意味する。 |
ライブ・アルバム
[編集]- 『アルケミィ〜ダイアー・ストレイツ・ライヴ』 - Alchemy: Dire Straits Live (1984年) ※CD化の際に 「Love over Gold」を追加収録し、曲順変更も含む再編集。
- 『オン・ザ・ナイト〜ダイアー・ストレイツ・ライヴ』 - On The Night (1993年)
- 『ライヴ・アット・ザ・BBC』 - Live at the BBC (1995年)
コンピレーション・アルバム
[編集]年 | タイトル | アルバム詳細 | チャート最高位 | 認定 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
UK [11] |
AUS [12] |
AUT [13] |
CAN [36] |
FRA [15] |
GER [37] |
NLD [17] |
NZ [18] |
SWI [19] |
US [20] | ||||
1988 | マネー・フォー・ナッシング Money for Nothing |
|
1 | 3 | 3 | — | 1 | 2 | 4 | 2 | 1 | 62 | |
1998 | Sultans of Swing:The Very Best of Dire Straits |
|
6 | 4 | 5 | 60 | 1 | 6 | 6 | 6 | 3 | — | |
2005 | Private Investigations | 20 | 35 | 44 | — | 4 | 36 | 23 | 17 | 15 | — | ||
"—"は未発売またはチャート圏外を意味する。 |
日本公演
[編集]関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ Erlewine, Stephen Thomas. “Dire Straits Biography, Songs & Albums”. AllMusic. All Media Network. 2021年9月29日閲覧。
- ^ Abjorensen, Norman (2017). Historical Dictionary of Popular Music. Lanham, Maryland: Rowman & Littlefield. p. 141. ISBN 978-1-538-10215-2
- ^ Hoad, Catherine; Stahl, Geoff; Wilson, Oli, eds (2022). Mixing Pop and Politics: Political Dimensions of Popular Music in the 21st Century. Oxfordshire: Taylor & Francis. p. 145. ISBN 978-1-000-55665-0
- ^ 河崎直人 (2018年1月19日). “時代に媚びなかったがゆえに大ヒットしたダイアー・ストレイツのデビュー作『悲しきサルタン』”. OKMusic. JAPAN MUSIC NETWORK. 2018年5月30日閲覧。
- ^ a b Dire Straits | Biography | AllMusic - Artist Biography by Stephen Thomas Erlewine
- ^ アルバム『悲しきサルタン』リマスターCD(UICY-25010)ライナーノーツ(チャーリー・ジレット、1996年)
- ^ Bob Dylan gets religion in the "gospel years" part 2 - Goldmine Magazine - 2014年7月30日閲覧
- ^ a b Dire Straits Biography | Rolling Stone - 2014年7月30日閲覧
- ^ Adele 21's outsells Michael Jackson's Thriller and Bad - 2012年6月19日閲覧
- ^ 25 Years Ago: Dire Straits Break Up - ultimateclassicrock - 2014年7月30日閲覧
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- Top 50 (ARIA Chart) peaks from 26 June 1988: “australian-charts.com > Dire Straits in Australian Charts”. Hung Medien. 3 November 2016閲覧。
- Top 100 (ARIA Chart) peaks from January 1990 to December 2010: Ryan, Gavin (2011). Australia's Music Charts 1988–2010. Mt. Martha, VIC, Australia: Moonlight Publishing
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- “Making Movies”. RPM. 18 October 2016閲覧。
- “Love over Gold”. RPM. 18 October 2016閲覧。
- “Brothers in Arms”. RPM. 18 October 2016閲覧。
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- “Communiqué” (German). Gfk. 18 October 2016閲覧。
- “Making Movies” (German). Gfk. 18 October 2016閲覧。
- “Love Over Gold” (German). Gfk. 18 October 2016閲覧。
- “Brothers in Arms” (German). Gfk. 18 October 2016閲覧。
- “On Every Street” (German). Gfk. 18 October 2016閲覧。
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- ^ a b c d e Australian (ARIA) certifications:
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- Sultans of Swing: The Very Best of Dire Straits: “ARIA Charts – Accreditations – 2015 Albums”. ARIA. 25 May 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。3 November 2016閲覧。
- Private Investigations (album): “ARIA Charts – Accreditations – 2013 Albums”. ARIA. 5 February 2014時点のオリジナルよりアーカイブ。3 November 2016閲覧。
- ^ a b c “Austrian Certifications”. IFPI Austria. 11 May 2011時点のオリジナルよりアーカイブ。19 October 2016閲覧。
- ^ “New Zealand Certification - Brothers In Arms”. Recorded Music NZ. 21 October 2016閲覧。
- ^ “New Zealand Certification - On Every Street”. Recorded Music NZ. 21 October 2016閲覧。
- ^ Canadian compilation albums:
- “Sultans of Swing: The Very Best of Dire Straits”. RPM. 19 October 2016閲覧。
- ^ German compilation albums:
- “Money for Nothing” (German). GfK Entertainment Charts. 18 October 2016閲覧。
- “Sultans of Swing - The Very Best of” (German). Gfk. 18 October 2016閲覧。
- “Private Investigations” (German). Gfk. 18 October 2016閲覧。
- ^ “New Zealand Certification - Money for Nothing”. Recorded Music NZ. 21 October 2016閲覧。
- ^ “New Zealand Certification - Sultans of Swing”. Recorded Music NZ. 21 October 2016閲覧。
- ^ “New Zealand Certification - Private Investigations”. Recorded Music NZ. 21 October 2016閲覧。