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タラス・ブーリバ (ヤナーチェク)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

狂詩曲タラス・ブーリバ』は、レオシュ・ヤナーチェク1918年に作曲した管弦楽曲ニコライ・ゴーゴリの小説『タラス・ブーリバ(隊長ブーリバ)』に基づく標題音楽であり、ヤナーチェクの最も表現力に富んだ作品に数えられる[1]。「国民を防衛するわれらが軍に」献呈された[2]

概要

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初稿は1915年7月2日に作曲したが、その後ヤナーチェクは改訂して抜本的な変更を加えた。ほぼ現行版に近づいた第2稿は、1918年3月29日に完成され、1921年10月9日ブルノの国民劇場における演奏会で、フランティシェク・ノイマンの指揮により初演された。1924年に、ブジェティスラフ・バカラの編曲による4手ピアノ版が出版された。総譜はさらなる改訂を施され、1927年に出版された。

楽器編成

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ピッコロ1、フルート2、オーボエ2、コーラングレー1、クラリネット2(第1クラリネットは変ホ管と持替え)、ファゴット2、コントラファゴット1、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、チューバ1、ティンパニースネアドラムサスペンデッド・シンバルトライアングルチューブラーベルハープ1、オルガン弦楽五部

楽章構成

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以下の3つの楽章から成り、それぞれは小説の登場人物とその死を描いている。

  1. アンドレイの死
  2. オスタップの死
  3. タラス・ブーリバの予言と死

第1曲「アンドレイの死」

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アンドレイは、コサックの首領タラス・ブーリバの次男でありながら、ポーランド人の将軍令嬢と恋に落ちる。冒頭のコーラングレーオーボエヴァイオリンによる情熱的な旋律は、恋人同士のロマンティックな情感を示唆している。いたるところで影を孕んだ楽曲は、徐々に不穏になっていき、ポーランド軍とコサック軍との戦闘を描写する。怒れるトロンボーンは咆え、鐘は鳴り、トランペットは勝ち誇って叫ぶ。アンドレイはポーランド軍に加担するが、自分の寝返りを知った父親と接戦し、投降するとその手にかかる。曲末で愛の場面の音楽が短く回想される。

第2曲「オスタップの死」

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タラス・ブーリバの長男は、弟アンドレイの死に悲嘆に暮れているうちに、戦場でポーランド軍の捕虜となり、ワルシャワに連行され、拷問の末に処刑される。タラス・ブーリバは変装してワルシャワに潜入するが、息子の最期を目の当たりにし、自分の居場所を忘れて息子に向かって呼び掛けてしまう。

曲のほとんどは無感情で不恰好な行進曲である。曲末での猛々しいマズルカは、ポーランドの勝利を示唆する。タラス・ブーリバは暗いトロンボーンの音色によって演じられ、オスタップの断末魔は甲高いクラリネットによって再現される(後者の表現は、ベルリオーズの《幻想交響曲》やリヒャルト・シュトラウスの《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》の断頭台の場面に比すべきものである)。

第3曲「タラス・ブーリバの予言と死」

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コサック軍は、オスタップの仇討ちのために死に物狂いでポーランド中で転戦する。とうとうタラス・ブーリバがドニエプル河畔で捕らえられるが、ポーランド軍によって火炙りにされる前に挑発的な予言を口走る。曰く、「コサックがこの世に恐れるものなどあるものか。待ちやがれ。ロシア人の信仰心がどんなものか思い知る日が来るだろうよ。とっくにあちこちの人間が承知しているさ。ロシアの地からツァーリが立てば、それを脅かすような力は起こりやしないってことを。」

開始の音楽は軍楽や、(再びトロンボーンによる)タラス・ブーリバの雄叫びの声にあふれているが、静かなパッセージになってブーリバの捕縛を描写する。予言そのものは金管楽器とオルガンの煽情的なパッセージで描写され、鳴り響く鐘と誇らしげなエピローグによってクライマックスに至る。

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  1. ^ Sleeve note of the Supraphon CD (SU 3667-2911) [1]
  2. ^ Score, p. VI

参考資料

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  • Leoš Janáček: Taras Bulba. Rapsodia per orchestra. Partitura. (Score) Prague: Editio Supraphon, 1980. H 3616p

外部リンク

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