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音色

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

音色(おんしょく、ねいろ、英語: timbre)とは、の質を表現するために用いられる用語である。音高音圧が同じであっても音色の異なる音は異なる聞こえ方をする。専門的な場面では「おんしょく」と読まれる。一般語としては「ねいろ」の読みも見られる。

概説

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JISでは「聴覚に関する音の属性の一つで、物理的に異なる二つの音が、たとえ同じ音の大きさ及び高さであっても異なった感じに聞こえるとき、その相違に対応する属性」[1]と定義されている。

音響学的には、音の波形の違いが音色である。

一般に、音は、たとえ1つの音であってもさまざまな周波数の音を含んでおり、それらが合成された振動となっている。このような音の波形を分解(フーリエ変換)すると、音を構成している周波数成分に分けることができる(このようにして分けたものを、音のスペクトルという)。各周波数成分のうち、最も周波数の低いものを基音、それ以外を上音という。このうち、通常は基音の周波数がその音の「高さ」として聞こえ(例外については後述)、上音にどのような周波数の音がどのくらいの強さで含まれているか、が音色の違いとして聞こえる。

上音の周波数が基音の周波数の倍数であればそれを倍音と呼ぶ。音楽に多く使われる人声弦楽器管楽器の音は主に基音と倍音から成り立っている(このような音を楽音と呼ぶ)ので、そのような場合には、倍音のそれぞれの強度の比が音色を決定するということができる。

逆に、意図的に人声弦楽器管楽器の音に倍音以外の上音を混ぜ込むことによって、独特の音色を出すこともある。日本人にとって身近な例としては、三味線のサワリといわれる仕組みを挙げることができる。

実際の音にあっては、同じ音の高さ、同じ音の強さ、同じ(音響学的な意味での)音色が持続するということはあまりない。打ったりはじいたりして音を出した場合(楽器であってもそうでなくても)、音の出た瞬間が強くてそのあとは減衰する。実際にはそれだけでなく、音の高さや音色も特に音の出た直後に急激に変化することがわかっている。擦弦楽器や管楽器のように音を持続させるように作られた楽器であっても、音の出た瞬間には音が安定しないし、そもそも音が急速に強くなるという変化がある。

ヒトの聴覚は実際にはこういった変化も、音色の一部として聞き取っている。このような変化、特に音の強さの変化をエンベロープと呼び、電子楽器で音色を作るときの、重要な要素となっている。

また、ビブラートや、トレモロ装飾音などは、このことを実際の演奏に古くから応用させたものと言うことができるだろう。

声楽にあっては、歌詞による発音の違いも音色の違いに当たる。したがって、歌詞による音色の変化を作曲者が利用しようとした場合、歌詞を翻訳すると、その意図を十分に実現できないことが起こりうる。

なお、基音は、どのような場合にも音の支配的な周波数(高さとしてとらえられる周波数)であるというわけではない。支配的な周波数は最も強く聞こえる周波数であり、それが基音の倍音である場合も多い(フルートのD5以上の音など)。

脚注

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  1. ^ JIS Z 8106:2000 音響用語

外部リンク

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