タイミンガサ
タイミンガサ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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分類(APG IV) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Parasenecio peltifolius (Makino) H.Koyama (1995) 'peltifolia'[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
タイミンガサ(大明傘)[4] |
タイミンガサ(大明傘、学名:Parasenecio peltifolius)は、キク科コウモリソウ属の大型の多年草[5][6][7]。
特徴
[編集]根茎は短く分枝する。茎は直立し、基部の径4cm、高さ1-2mになり、上部に褐色の多細胞の縮毛が生える。茎につく葉はふつう3個が互生する。茎の下部につく葉の葉身は円形で、径35-55cmになり、掌状に9-14中裂し、縁に不ぞろいな鋸歯がある。葉質は軟らかく、葉の表面は黒緑色で縮毛があり、裏面は淡緑色で葉脈に沿って短毛が生えるかほとんど無毛。葉柄は長さ30-65cmになり、翼はなく、葉身に対して楯着[注釈 1]し、基部は閉じた葉鞘になる。茎の中部につく葉は、下部のものより小さくなり、径は25-30cm、10-13中裂し、葉柄は楯着し、基部は抱茎してごく小さい耳があって、葉鞘は円筒形になる[5][6][7]。
花期は9-10月。頭状花序は多数が大型の円錐状について、下向きに咲き、花柄は長さ9-15mmになる。頭花は6個の筒状花で構成されており、花冠は帯白色のあとに暗褐色になり、長さは10-11mmになる。総苞は黄緑色で縮毛があり、筒状で長さ9-11mm、総苞片は1列で5個あり、総苞の基部に線形の小さな苞がある。果実は痩果で、円柱形から紡錘形でやや扁平、長さ6-8mm、幅1mmになり、無毛。冠毛は白褐色で長さ8mmになる。染色体数2n=58[5][6][7]。
分布と生育環境
[編集]日本固有種[9]。本州の新潟県から兵庫県までの日本海側に分布し、深山の谷間などのやや湿った夏緑林の林床に生育する[5][6][7]。日本海要素の植物である[6]。ややめずらしい植物とされる[7]。
名前の由来
[編集]和名タイミンガサは、「大明傘」の意。大型の楯状の傘に似た葉をつけたようすが、どこか外国を思わすようなエキゾチックな感があるので「大明」の名があるとされる[7]が、1928年に牧野富太郎が種として記載する前からこの名はあり、1856年(安政3年)に出版された飯沼慾斎の『草木図説』前編20巻中第16巻に「タイミンガサ」がある[10]。
種小名(種形容語)peltifolius は、「楯状の葉の」の意味[11]。
種の保全状況評価
[編集]国(環境省)のレッドデータブック、レッドリストでの選定はない。都道府県のレッドデータ、レッドリストの選定状況は次の通り[12]。新潟県-地域個体群(LP)、三重県-絶滅危惧II類(VU)、滋賀県-希少種、京都府-絶滅危惧種、岡山県-準絶滅危惧。
ギャラリー
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頭花は多数が大型の円錐状について、下向きに咲く。
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花冠は帯白色のあとに暗褐色になる。総苞は黄緑色で縮毛があり、筒状。総苞片は1列で5個あり、総苞の基部に線形の小さな苞がある。
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茎の下部につく葉の葉身は円形で、掌状に9-14中裂し、縁に不ぞろいな鋸歯がある。葉の表面は黒緑色で縮毛が生える。
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右に伸びるのが茎の下部につく葉の葉柄。左に伸びるのは茎。葉柄の基部は完全に閉じた葉鞘になる。
分類
[編集]コウモリソウ属内および近縁の属に、葉身が円形で掌状に切れ込むものに、本種、ヤマタイミンガサ Parasenecio yatabei、オオモミジガサ Miricacalia makinoana、ヤブレガサ Syneilesis palmata などがある。本種は、高さ1-2mの大型になり、葉柄は葉身に対して楯着し、頭花は下向きに咲いて、花冠は帯白色になる。同属のヤマタイミンガサは、高さ60-90cmになり、葉の基部が深い心形になり、葉柄は葉の基部につき、頭花は上向きに咲き、花冠は白色になる。両種ともに、花期には根出葉は生存しない。一方、オオモミジガサはオオモミジガサ属に属し、高さ55-80cmになり、葉の基部が深い心形になり、葉柄は葉身に対して楯着し、頭花は下向きに咲き、花冠は黄色になり、総苞の基部に萼片状の苞があることが異なる。また、ヤブレガサはヤブレガサ属に属し、高さ70-120cmになり、葉柄は葉身に対して楯着し、頭花は上向きに咲き、花冠は白色になり、花時にも根出葉が生存することが異なる。本種の茎葉の下部の葉身は径30-65cm、9-14中裂し、ヤマタイミンガサの茎葉の下部の葉身は径17-24cm、9-10中裂する。また、オオモミジガサの茎葉の下部の葉身は径25-33cm、9-11中裂し、ヤブレガサの茎葉の下部の葉身は径35-40cm、7-9深裂する[13]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ タイミンガサ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ タイミンガサ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ タイミンガサ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.507
- ^ a b c d 北村四郎 (1981) 「キク科コウモリソウ属」『日本の野生植物 草本III合弁花類』p.180
- ^ a b c d e 門田裕一 (2017) 「キク科キオン連」『改訂新版 日本の野生植物 5』pp.302-303
- ^ a b c d e f 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1155
- ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1435
- ^ 『日本の固有植物』p.144
- ^ 飯沼慾斎 草木図説前編20巻(16)、タイミンガサ、コマ番号15/68、国立国会図書館デジタルコレクション-2022年11月22日閲覧
- ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1507
- ^ タイミンガサ、日本のレッドデータ検索システム、2022年11月22日閲覧
- ^ 門田裕一 (2017) 「キク科キオン連」『改訂新版 日本の野生植物 5』pp.300-311
参考文献
[編集]- 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本III合弁花類』、1981年、平凡社
- 加藤雅啓・海老原淳編著『日本の固有植物』、2011年、東海大学出版会
- 門田裕一監修、永田芳男写真、畔上能力編『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』、2013年、山と溪谷社
- 牧野富太郎原著、邑田仁・米倉浩司編集『新分類 牧野日本植物図鑑』、2017年、北隆館
- 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 5』、2017年、平凡社
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- 日本のレッドデータ検索システム
- 飯沼慾斎 草木図説前編20巻(16)、タイミンガサ、コマ番号15/68、国立国会図書館デジタルコレクション
外部リンク
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