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セパラーゼ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
セパレースから転送)
Separase
識別子
EC番号 3.4.22.49
CAS登録番号 351527-77-0
データベース
IntEnz IntEnz view
BRENDA BRENDA entry
ExPASy NiceZyme view
KEGG KEGG entry
MetaCyc metabolic pathway
PRIAM profile
PDB構造 RCSB PDB PDBj PDBe PDBsum
検索
PMC articles
PubMed articles
NCBI proteins
テンプレートを表示
ESPL1
識別子
記号ESPL1, ESP1, SEPA, EPAS1, Separase, extra spindle pole bodies like 1, separase
外部IDOMIM: 604143 MGI: 2146156 HomoloGene: 32151 GeneCards: ESPL1
遺伝子の位置 (ヒト)
12番染色体 (ヒト)
染色体12番染色体 (ヒト)[1]
12番染色体 (ヒト)
ESPL1遺伝子の位置
ESPL1遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点53,268,299 bp[1]
終点53,293,638 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
15番染色体 (マウス)
染色体15番染色体 (マウス)[2]
15番染色体 (マウス)
ESPL1遺伝子の位置
ESPL1遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点102,204,701 bp[2]
終点102,232,792 bp[2]
RNA発現パターン
さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能 cysteine-type peptidase activity
ペプチダーゼ活性
触媒活性
血漿タンパク結合
cysteine-type endopeptidase activity
加水分解酵素活性
細胞の構成要素 細胞質
細胞質基質
中心体
mitotic spindle
細胞核
生物学的プロセス negative regulation of sister chromatid cohesion
染色体分離
homologous chromosome segregation
タンパク質分解
positive regulation of mitotic metaphase/anaphase transition
meiotic chromosome separation
meiotic spindle organization
meiosis I
mitotic sister chromatid segregation
establishment of mitotic spindle localization
アポトーシス
体細胞分裂
mitotic cytokinesis
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_012291

NM_001014976
NM_001356312

RefSeq
(タンパク質)

NP_036423

NP_001014976
NP_001343241

場所
(UCSC)
Chr 12: 53.27 – 53.29 MbChr 12: 102.2 – 102.23 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス

セパラーゼまたはセパレース: separase)は、コヒーシン加水分解することで有糸分裂後期の開始を担うシステインプロテアーゼである。コヒーシンは後期の初期段階で姉妹染色分体の結合を担っているタンパク質である[5]。セパラーゼは、ヒトではESPL1遺伝子にコードされる[6]セパリン: separin)とも呼ばれる。

発見

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出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeでは、セパラーゼはesp1遺伝子によってコードされる。Esp1は1998年にKim Nasmythらによって発見された[7][8]

機能

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Yeast cohesin complex
酵母のコヒーシン複合体はScc1を含む特殊なタンパク質から構成される[9]

後期以前には姉妹染色分体間は安定に接着し、そして後期の間に適切に分離することは、細胞分裂と染色体の遺伝に重要である。

出芽酵母では、セパラーゼEsp1はセキュリンPds1によって調節される。2つの姉妹染色分体は後期の開始まではコヒーシン複合体によって結び付けられているが、後期には紡錘体が2つの染色分体を引き離し、2つの娘細胞には等しい数の姉妹染色分体が残される。2つの姉妹染色分体に結合し、姉妹染色分体の早期分離を防ぐタンパク質は、コヒーシンタンパク質ファミリーを構成する。こうした姉妹染色分体間の接着に重要なコヒーシンタンパク質の1つがScc1である。Esp1はコヒーシンのサブユニットScc1を切断し、後期の開始時点で姉妹染色分体の分離を可能にする[8]

脊椎動物では、姉妹染色分体間の接着は異なる機構による2段階で解除される。最初の段階はコヒーシン複合体のSTAG1またはSTAG2リン酸化が関わるものである。2段階目はセパラーゼによるコヒーシンサブユニットSCC1(RAD21)の切断が関わるものであり、姉妹染色分体の最終的な分離が開始される[10]

調節

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後期のスイッチ的活性化を導くフィードバックループからなるネットワーク[11]

細胞が分裂していないときには、セパラーゼによるコヒーシンの切断はセキュリンとの結合とサイクリン/CDK複合体によるリン酸化によって防がれており、コヒーシンの不適切な切断を防ぐ負の調節は2つの階層で行われている。またセパラーゼは、まずセキュリン-セパラーゼ複合体を形成しなければ機能できない。これは、セキュリンがセパラーゼが機能的なコンフォメーションへ正しくフォールディングするのを助けているためである。しかしながら、酵母ではセキュリンを欠失しても後期が開始されることから、機能的なセパラーゼの形成にセキュリンは必要ではないようである[9]

後期へのシグナルに際して、セキュリンはAPC-Cdc20複合体によってユビキチン化されて加水分解され、セパラーゼを放出する。その後、活性化されたセパラーゼはScc1を切断し、姉妹染色分体を解放する。

セパラーゼは後期の初期にCdc14の活性化を開始する[12]。Cdc14はセキュリンを脱リン酸化し、APCの基質としての分解効率を増大させる。このポジティブフィードバックループの存在によって、後期の開始によりスイッチ的な挙動がもたらされていると想定されている[11]

network diagram
セキュリンとセパラーゼが関与する、後期のスイッチ的活性化を導く想定ネットワーク

出典

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  1. ^ a b c GRCh38: Ensembl release 89: ENSG00000135476 - Ensembl, May 2017
  2. ^ a b c GRCm38: Ensembl release 89: ENSMUSG00000058290 - Ensembl, May 2017
  3. ^ Human PubMed Reference:
  4. ^ Mouse PubMed Reference:
  5. ^ ESPL1 - Separin - Homo sapiens (Human) - ESPL1 gene & protein”. Uniprot.org (2010年10月5日). 2016年5月14日閲覧。
  6. ^ “Prediction of the coding sequences of unidentified human genes. V. The coding sequences of 40 new genes (KIAA0161-KIAA0200) deduced by analysis of cDNA clones from human cell line KG-1”. DNA Res. 3 (1): 17–24. (February 1996). doi:10.1093/dnares/3.1.17. PMID 8724849. 
  7. ^ “An ESP1/PDS1 complex regulates loss of sister chromatid cohesion at the metaphase to anaphase transition in yeast”. Cell 93 (6): 1067–76. (June 1998). doi:10.1016/S0092-8674(00)81211-8. PMID 9635435. 
  8. ^ a b Uhlmann F; Lottspeich F; Nasmyth K (July 1999). “Sister-chromatid separation at anaphase onset is promoted by cleavage of the cohesin subunit Scc1”. Nature 400 (6739): 37–42. doi:10.1038/21831. PMID 10403247. 
  9. ^ a b Morgan, David O (2007). The cell cycle: principles of control. London: Published by New Science Press in association with Oxford University Press. ISBN 978-0-87893-508-6 
  10. ^ “Separase is recruited to mitotic chromosomes to dissolve sister chromatid cohesion in a DNA-dependent manner”. Cell 137 (1): 123–32. (April 2009). doi:10.1016/j.cell.2009.01.040. PMC 2673135. PMID 19345191. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2673135/. 
  11. ^ a b “Positive feedback sharpens the anaphase switch”. Nature 454 (7202): 353–7. (July 2008). doi:10.1038/nature07050. PMC 2636747. PMID 18552837. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2636747/. 
  12. ^ “Separase, polo kinase, the kinetochore protein Slk19, and Spo12 function in a network that controls Cdc14 localization during early anaphase”. Cell 108 (2): 207–20. (January 2002). doi:10.1016/S0092-8674(02)00618-9. PMID 11832211. 

関連文献

[編集]

外部リンク

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