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セオドア・ツォー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Theodore Y. Ts'o
生誕 1968年(55 - 56歳)
パロアルト
住居 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国マサチューセッツ州メドフォード
別名 Ted
出身校 マサチューセッツ工科大学
著名な実績 FLOSSプロジェクト多数への貢献
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セオドア・Y.・ツォー(Theodore Y. "Ted" Ts'o、1968年 - )は、ソフトウェア開発者である。彼はLinuxカーネル開発における古くからの貢献者であり(有名なタネンバウムとリーナスの論争[1]においても彼の名前が見られる)、主にファイルシステム周辺の改善で有名である。彼自身、またリーナスが語るところによれば、彼は北米地域における初のLinuxカーネル開発者である[2]

彼は1990年MIT計算機科学学位を得て卒業した。卒業後、彼はMITの情報システム部門(Department of Information Systems, IS)[3]1999年まで勤務していた。この間多くの業績を残しているが、なかんずく、彼はKerberosバージョン5の開発チームリーダーを務めた[4]。MITのISを離れた後、彼はVA Linux Systemsに採用され2年間勤務した。2001年12月からは、彼はIBMに雇用され、Linuxカーネルのパフォーマンス、スケーラビリティ向上を目指した。2007年12月には彼はLinux Foundation (LF)に勤務していた。

ツォーはここで、LFの最高プラットフォーム戦略担当者(Chief Platform Strategist)を務めた[5]2008年12月からは、彼はLFの最高技術責任者(CTO)に任命された。これはマルクス・レックス(Markus Rex)がノベルに復帰したことによるものである[6]

2010年1月からは、ツォーは、Googleに雇用された[7]。彼は「カーネル、ファイルシステム、ストレージに関して業務を行う」旨述べている[8]

彼は、ext2, ext3(現在はext4もサポートしている)各ファイルシステムの初期化などの管理用ユーザースペースユーティリティ、e2fsprogsの初期開発者・管理者であり、ext4ファイルシステムのメンテナである。

ツォーは2008年6月までUSENIXの会計も務めており、またLinux Kernel Developers Summitの議長も務めていた。

ツォーは2003年3月Debian開発者となっており、ほとんどがe2fsprogsを含むファイルシステム関連ではあるがいくつかのパッケージを管理している[9]

彼は、IETFのセキュリティ分野理事会(Security Area Directorate)メンバー、IPsecワーキンググループ(IPsec WG)の議長の一人であった。また、Free Standards Groupの創設委員の一人であり、現在は議長である。

1994年、彼は/dev/randomと関連するカーネルドライバを作成した。これらの成果はLinuxにおいて(そしてその他のUnix系OSにおいても)ユーザー空間プログラムに高品質の暗号論乱数を提供する最初のカーネル・インタフェースとなった[10]。/dev/randomはハードウェア乱数生成器へのアクセスができない場合でも動作し、またユーザー空間プログラムがハードウェア乱数生成器の存在を仮定している場合でも利用できるようになっている[11][12]rngdのような独自のデーモンはこのようなハードウェアから乱数を取得できると同時に/dev/random経由で乱数にアクセスできる[13]。この後、/dev/randomと/dev/urandomはLinux、BSDそしてMac OSシステムなどUnix系OSにおいて乱数生成の標準的インタフェースの地位を得ている[14]。こんにち、PGPとそのGNUプロジェクト版のGPGGUIDIPsecファイルシステムレベル暗号化英語版などの多くの有名なプログラムや機構は/dev/randomを利用している。

彼は、フリーソフトウェア財団から2006年Award for the Advancement of Free Softwareを授与された。

英語版ウィキペディアにおける本記事ノートに記載された彼(en:User:Tytso)自身の発言によると、彼の父母は香港より渡米し、彼の父はスタンフォード大学にて精神薬理学博士号を取得している。また彼の名前を敢えて中国語表記すると、「曹子徳」(曹子德 / 曹子德、そう・しとく、ツァオ・ツードェ、拼音: Cáo Zǐdé)となる[15]

脚注

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  1. ^ LINUX is obsolete”. groups.google.com (1992年1月29日). 2011年2月12日閲覧。
  2. ^ スタッフ | The Linux Foundation”. The Linux Foundation. 2011年2月12日閲覧。
  3. ^ MIT IS&T”. ist.mit.edu. 2011年2月16日閲覧。
  4. ^ The MIT Kerberos Team”. web.mit.edu. 2011年2月12日閲覧。
  5. ^ The Linux Foundation (2007年12月4日). “Linux Kernel Developer Ted Ts’o Joins Linux Foundation as Chief Platform Strategist”. 2007年12月20日閲覧。 “The Linux Foundation (LF), the nonprofit organization dedicated to accelerating the growth of Linux, today announced that Linux kernel filesystem maintainer Ted Ts’o is joining the organization as a Fellow and chief platform strategist.”
  6. ^ “Linux Foundation Appoints Ted Ts’o to Position of Chief Technology Officer”. The Linux Foundation. (2008年12月18日). http://linux-foundation.org/weblogs/press/2008/12/18/linux-foundation-appoints-ted-tso-to-position-of-chief-technology-officer/ 2008年12月21日閲覧。 
  7. ^ Ted T'so moves to Google”. 2010年1月14日閲覧。 “Theodore 'Ted' T'so has moved to Google, leaving his position as Linux Foundation's Chief Technology Officer.”
  8. ^ Proud to be a Googler” (2010年1月12日). 2010年1月14日閲覧。 “I’m going to be working on kernel, file system, and storage stuff. Ext4 will definitely be one of the first things I’ll be working on, see: http://lists.openwall.net/linux-ext4/2010/01/04/8彼によると(時期的には重なったが)今回の移籍はGoogleの中国からの撤退とは関係ないとのこと。
  9. ^ Debian Developer's Packages Overview”. Debian. 2011年2月11日閲覧。
  10. ^ Linux kernel source code for random.c”. git.kernel.org (2011年6月21日). 2011年6月22日閲覧。
  11. ^ Secure Programming for Linux and Unix HOWTO - 10.3. 乱数”. Linux JF Project. linuxjf.sourceforge.jp. 2011年6月22日閲覧。
  12. ^ Linux Security HOWTO: カーネルのセキュリティ - 6.3 カーネルデバイス”. Linux JF Project. linuxjf.sourceforge.jp. 2011年6月22日閲覧。
  13. ^ Randomness shouldn't be left to chance - Howto”. www.linuxcertified.com. 2011年6月22日閲覧。
  14. ^ How good is LavaRnd?: Detailed Description of Test Results and Conclusions”. LavaRnd. LavaRnd (2004年9月22日). 2011年6月21日閲覧。
  15. ^ Theodore Ts'o (2008年8月1日). “Re: [PATCH v3]Ext4: journal credits reservation fixes for DIO, fallocate and delalloc writepages”. 2011年2月12日閲覧。

外部リンク

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