セイリング (クリストファー・クロスの曲)
「セイリング」 | ||||
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クリストファー・クロス の シングル | ||||
初出アルバム『南から来た男』 | ||||
B面 | 哀れなシャーリー | |||
リリース | ||||
録音 | 1979年 | |||
ジャンル |
ソフトロック[1] ヨット・ロック[2] | |||
時間 | ||||
レーベル | ワーナー・ブラザース | |||
作詞・作曲 | クリストファー・クロス | |||
プロデュース | マイケル・オマーティアン | |||
クリストファー・クロス シングル 年表 | ||||
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「セイリング」(Sailing) は、アメリカ合衆国のアーティスト、クリストファー・クロスが書いて、録音し、1980年に発表されたソフトロックの楽曲。1980年6月に、クロスのデビュー・アルバム『南から来た男 (Christopher Cross)』(1979年:原題ではセルフタイトル)からの2枚目のシングルとしてリリースされた。この曲は合衆国でヒットし、Billboard Hot 100 のチャートで、1980年8月30日付の1週間だけではあったが、首位に立った[3][4]。この曲は、グラミー賞で最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞、最優秀編曲賞を受賞し、クロスが最優秀新人賞を獲得する一助となった[5]。VH1は、「セイリング」を史上最も「ソフトセーショナルなソフトロック (softsational soft rock)」の楽曲だと評した[6]。
この曲は、1979年に3Mのデジタル録音システムを用いて録音されたものであり、チャート入りを果たした最初期のデジタル録音の楽曲のひとつであった[7]。グラミー賞の受賞スピーチの中で、クロスは「セイリング」いついて、アルバムの中でもお気に入りの1曲であるとした上で、もともとはシングル化する意図がなかったと語った[8]。この曲は後に、いわゆるヨット・ロックの原型となったと評されることになったが[9]、クロス自身や他の同じような音楽を手がけるアーティストたちは、同時代的にはこうしたスタイルを「ウェスト・コースト・サウンド (the West Coast sound)」と称していた[10]。
背景
[編集]クロスは、インタビューの中で、この曲の着想について、高校時代からの年長の友人であったアル・グラスコック (Al Glasscock) に、十代の頃からティーンエージャーとしての諸々の試練や苦しみから逃れるためだけにセーリング(船の帆走)にしばしば連れて行ってもらった経験があったことを語っている[11]。グラスコックは、クロスが感情面で苦しんでいた時期に、兄代わりの存在となっていた[12]。クロスは、グラスコックと長らく連絡が取れなくなっていたが、1995年4月にラジオ番組『The Howard Stern Show』が28年ぶりに二人を再会させた。この番組の中でも、クロスは、グラスコックとのセーリングがこの曲の着想にあることを改めて語った。この再会の後、クロスはグラスコックに、500万枚を売り上げた「セイリング」のプラチナディスクの複製を贈った[12]。
パーソネル
[編集]- クリストファー・クロス - リードボーカル、エレクトリック・ギター、アコースティック・ギター、バックグラウンドボーカル、編曲
- アンディ・サルモン (Andy Salmon) - ベース
- ヴィクター・フェルドマン - パーカッション
- トミー・テイラー - ドラムス
- マイケル・オマーティアン - 編曲、アコースティック・ピアノ
- ロブ・ミューラー (Rob Meurer) - 編曲、エレクトリック・ピアノ、シンセサイザー
カバーとサンプリング
[編集]この曲は発表されて以来、様々なアーティストたちによってカバーされており、アヴァント、レスリー・ゴーア、バリー・マニロウ(2007年のアルバム『The Greatest Songs of the Seventies』に収録)、グリーンキーパーズ、イン・シンク[13](1997年のアルバム『'N Sync』に所収)、ジョージ・ベンソン、ファジャ、パトリック・ヤンドールや、モヤ・ブレナンとコーマック・デ・バラのデュオ[14]、ロドニー・フランクリンによるもの[15]などがある。
パフ・ダディは、1999年のアルバム『Forever』に収録した「Best Friend」に、この曲をサンプリングして使っている。
The 1975は、2020年のアルバム『仮定形に関する注釈(Notes on a Conditional Form)』に収録した「Bagsy Not in Net」に、この曲をサンプリングして使っている。
映画、テレビ
[編集]- 1980年、クロスのバージョンが『かっとび放送局WKRP (WKRP in Cincinnati)』シーズン3エピソード5「Hotel Oceanview」で使用された[16]。
- この曲は、現代自動車の2016年のテレビ・コマーシャルにフィーチャーされた。
- また、この曲は、2006年の映画『マウス・タウン ロディとリタの大冒険 (Flushed Away)』でも、短い場面ながら取り上げられた[17]。
- この曲は、『ファミリー・ガイ (Family Guy)』シーズン12エピソード1「Finders Keepers」でも用いられており、町中が宝探しに参加する場面でブルースと恋人がウィンフォサーフィンする場面で流れる[18]。
チャート
[編集]チャート(1980年-1981年) | 最高位 |
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オーストラリア(ケント・ミュージック・レポート) | 46 |
ベルギー(ウルトラトップ:フランデレン)[19] | 38 |
カナダ Canadian Adult Contemporary(RPM) | 1 |
カナダ Canadian Top Singles(RPM)[20] | 1 |
アイルランド (IRMA)[21] | 21 |
イタリア(FIMI)[22] | 12 |
オランダ(ネーダラントス・トップ40)[23] | 18 |
ニュージーランド(ニュージーランド・レコード産業協会)[24] | 8 |
スペイン(AFYVE)[25] | 24 |
イギリス(全英シングルチャート:Official Charts Company) | 48 |
アメリカ合衆国(ビルボード Billboard Hot 100)[4] | 1 |
アメリカ合衆国(ビルボード Adult Contemporary) | 10 |
年間チャート
[編集]チャート(1980年) | 順位 |
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カナダ Top Singles[26] | 24 |
アメリカ合衆国 Billboard Hot 100[27] | 32 |
脚注
[編集]- ^ Lecaro, Lina (November 19, 2016). “This Monthly Club Is a Non-Ironic Celebration of Rock's Softer Side”. LA Weekly
- ^ “Top 10 Yacht Rock Songs of All Time”. IGN. IGN Entertainment, Inc.. June 14, 2012時点のオリジナルよりアーカイブ。30 June 2017閲覧。
- ^ Whitburn, Joel (2010). The Billboard Book of Top 40 Hits (rev. and expanded 9th ed.). New York: Billboard Books. pp. 162, 889. ISBN 9780823085545
- ^ a b Sailing - Chart History Billboard. Retrieved 8 June 2020.
- ^ Best New Artists Who Also Won Album Of The Year|GRAMMY.com
- ^ VH1′s 40 Most Softsational Soft-Rock Songs, stereogum.com
- ^ Jim McCullaugh (November 1, 1980), “Digital the Major Topic For N.Y. AES Parley”, Billboard "The Christopher Cross LP, at number 32, uses the 3M digital technology"
- ^ 映像 - YouTube
- ^ Kamp, Jon (October 11, 2015). “Can You Sail to It? Then It Must Be 'Yacht Rock'”. The Wall Street Journal. 2021年3月31日閲覧。
- ^ Cross, Christopher (February 22, 2014). “Hall & Oates Are Genuine Rock Stars in My Book”. The Huffington Post
- ^ https://www.timesonline.com/entertainmentlife/20180401/ride-like-wind-to-see-christopher-cross-in-warrendale
- ^ a b https://texashistory.unt.edu/ark:/67531/metapth576361/m2/1/high_res_d/transportation_news_v21_n09.pdf
- ^ Sailing by *NSYNC on YouTube
- ^ Moya Brennan and Cormac De Barra - Sailing - YouTube
- ^ Rodney Franklin – Learning To Love - Discogs (発売一覧)
- ^ “Christopher Cross - IMDb”. IMDb.com, Inc.. 1 November 2019閲覧。
- ^ Flushed Away (2006)-Soundtracks-IMDB
- ^ "Family Guy" Finders Keepers (TV Episode 2013)-Soundtracks-IMDB
- ^ "Ultratop.be – Christopher Cross – Sailing" (in Dutch). Ultratop 50.
- ^ “100 Singles”. RPM. (11 October 1980) 8 June 2020閲覧。.
- ^ “Irish Singles Chart – Search for song”. Irish Recorded Music Association. July 6, 2011閲覧。
- ^ “Hit Parade Italia – Indice per Interprete: C”. Hit Parade Italia. July 6, 2012閲覧。
- ^ "Nederlandse Top 40 – Christopher Cross" (in Dutch). Dutch Top 40.
- ^ "Charts.nz – Christopher Cross – Sailing". Top 40 Singles.
- ^ Salaverri, Fernando (September 2005). Sólo éxitos: año a año, 1959–2002 (1st ed.). Spain: Fundación Autor-SGAE. ISBN 84-8048-639-2
- ^ “Top 100 Singles (1980)”. RPM. 2016年4月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年7月21日閲覧。
- ^ "Pop Singles" Billboard December 20, 1980: TIA-10