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スーパー公務員

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

スーパー公務員(スーパーこうむいん)とは、21世紀型の理想的な公務員像とされる存在の通称。竹中平蔵経済研究所(TRIgger Lab.)とスーパー公務員養成塾実行委員会主催による21世紀型公務員創出プロジェクト「スーパー公務員養成塾」が提唱した。

スーパー公務員養成塾

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「スーパー公務員養成塾」は経済産業省鈴木英敬(当時産業人材政策室課長補佐)の構想に竹中平蔵が賛同し、若手官僚らが実行委員会を作り、竹中平蔵経済研究所が協力する体制とした。2005年1月〜3月に若手公務員と学生が参加して、東京・大阪で開催、竹中自身が第1回目の講師を務めた。20世紀型の公務員は予算配分と行政指導を行ってきたが、「自ら考え、リスクも取りながら政策を立案する。調整型から立案型への転換が21世紀に求められる公務員像ではないか」[1]というのが鈴木の問題意識であったという。

なお、第2期(2005年9月〜2006年2月)は「ソーシャルアクションスクール」と改称し、公務員・学生の他、民間企業からも参加し、東京・大阪・松山・札幌(代表は松村康弘)で開催された。第3期(2007年9月〜12月、全国8か所)、第4期(2008年9月〜2009年2月)、第5期(2009年9月〜2010年2月)と開催されている。

人物

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  • 鈴木英敬(経済産業省職員、三重県知事)
  • 木村俊昭(小樽市、内閣府・内閣官房、農林水産省企画官、東京農業大学教授)
    小樽市役所職員であった木村は、ガラス工房を誘致しガラスの街としてのブランド化を進めるなど、まちづくりの実績を上げていた。2006年から5年間、内閣府、農林水産省などに出向し、地域活性化の政策立案に関わった。休日は各地で講演や現地アドバイス活動を行うほか、北陸先端科学技術大学院大学、早稲田大学大学院、東京農工大学、小樽商科大学ほかの非常勤講師などを務めた。こうした活動がマスコミにも注目され、スーパー公務員と評された[2]
  • 高野誠鮮(羽咋市職員)
    羽咋市コスモアイル羽咋(宇宙科学博物館)の開設に関わったほか、同市神子原(みこはら)地区の棚田で作られるコシヒカリを「神子原米」としてブランド化した取組みで知られる[3]
  • 寺本英仁(島根県邑南町職員)
    島根県邑南町の役場職員である寺本は、2004年の市町村合併時(邑南町は、旧石見町、旧瑞穂町、旧羽須美村が合併して誕生)に町内の道の駅を担当した後、2005年には行政が運営する地域の情報ポータルサイト&特産品ネットショップ「みずほスタイル」を立ち上げ、2008年には全国公募型の田舎の逸品おとりよせコンテスト「Oh!セレクション」を口コミポータルサイト「おとりよせネット」と実施するなど様々な地域振興策を行う。2011年から邑南町の「A級グルメのまちづくり」の構想と実行に携わっている。同年にその核となる町営のイタリアンレストラン「素材香房ajikura」(現在は民営「里山イタリアンAJIKURA」)を、2018年には「里山のからだにやさしい発酵レストラン香夢里」を立ち上げ、地域おこし協力隊を耕すシェフとして招き、研修後の起業を支援するなど、その活動は多岐にわたり、全国から視察者が絶えない。寺本、邑南町の取り組みは、現在マスコミからも注目されている[4]。これらのまちづくりの経緯を自身の著書『ビレッジプライド 「0円起業」の町をつくった公務員の物語』に綴っている。同本は、尾崎行雄記念財団(東京都)「咢堂(がくどう)ブックオブザイヤー2018」において地方部門大賞を受賞。また、食生活ジャーナリストの会が開催する第3回「食生活ジャーナリスト大賞」(2018年度)「食文化」部門において大賞を受賞。2019年5月より「にっぽんA級(永久)グルメ連合アドバイザー」に就任。2020年には、「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2020」[5]において、『地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員2020賞』、『特別協賛社賞-「電通CP塾賞」』を受賞。同年、一般社団法人at Will Work主催の『これからの日本をつくる100の“働く”をみつけよう「Work Story Award 2020」』」[6]においてイノベーション部門賞を受賞。また、藻谷浩介と共著の『東京脱出論』を出版[7]

脚注

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  1. ^ 「『公務員も変わらなきゃ』内なる改革へ、若手が立ち上げた養成塾」(日経ビジネス2005.2.28)
  2. ^ 2009年5月、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で取り上げられた。木村の著書に「『できない』を『できる!』に変える スーパー公務員・木村俊昭の人と地域を元気にする仕事術」(2010年1月、実務教育出版)などがある。Facebook
  3. ^ 2012年、カンブリア宮殿で取り上げられた。著書に『ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか』(2012年、講談社)
  4. ^ 2016年9月26日、NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」”答えは地域にある”(放送回)で取り上げられた。その他、中日新聞-あの人に迫る (2019年2月22日)朝日新聞-連載:ひと (2019年7月30日)など。 寺本の著書に『ビレッジプライド 「0円起業」の町をつくった公務員の物語』(2018年11月、ブックマン社)がある。
  5. ^ 「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2020」
  6. ^ at Will Work主催:これからの日本をつくる100の“働く”をみつけよう「Work Story Award 2020」
  7. ^ 『東京脱出論』 2020年11月23日、ブックマン社

外部リンク

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