スタートレックV 新たなる未知へ
スタートレックV 新たなる未知へ | |
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Star Trek V: The Final Frontier | |
監督 | ウィリアム・シャトナー |
脚本 | デイヴィッド・ローリー |
原作 |
ウィリアム・シャトナー ハーヴ・ベネット デイヴィッド・ローリー |
製作 | ハーヴ・ベネット |
製作総指揮 |
ジーン・ロッデンベリー ラルフ・ウィンター |
出演者 |
ウィリアム・シャトナー レナード・ニモイ デフォレスト・ケリー |
音楽 | ジェリー・ゴールドスミス |
撮影 | アンドリュー・ラズロ |
編集 | ピーター・E・バーガー |
配給 | パラマウント映画 |
公開 |
1989年6月9日 1989年6月24日 |
上映時間 | 107分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $27,800,000 (概算) |
興行収入 | $52,210,049[1] |
配給収入 | 2.6億円[2] |
前作 | スタートレックIV 故郷への長い道 |
次作 | スタートレックVI 未知の世界 |
『スタートレックV 新たなる未知へ』(スタートレックファイブ あらたなるみちへ、Star Trek V: The Final Frontier)は、1989年のアメリカ映画。『宇宙大作戦』のレギュラーを中心とした『スタートレック』映画(オリジナルシリーズ)全6作中5作目。劇場公開邦題は『スター・トレック5 新たなる未知へ』。
ストーリー
[編集]放置されていた入植地惑星:ニンバス3号星で謎のバルカン人サイボックが「神」に会うために人類未踏の地グレートバリアに向かうべく反乱を企てる。宇宙戦艦を手に入れるため地球人、ロミュラン人、クリンゴン人を人質に取り救出に訪れたエンタープライズ号を乗っ取ってしまう。彼はマインドコントロールによる精神的苦痛からの解放によって乗組員達を洗脳し次々に自分の仲間にしてゆくが、カーク、スポック、マッコイたちは辛うじてその誘惑を振り払う。不本意ではあるが、「最後の開拓地宇宙」その最大の謎を解明する航海に出たエンタープライズ号はやがて「神」のいる惑星「シャカリー」に到着する。
概要
[編集]本作はウィリアム・シャトナー初監督作品である。登場人物の心理的背景の描写等に重きを置いたストーリー展開も災いしてか、1989年のゴールデンラズベリー賞の最低作品賞・最低監督賞・最低主演男優賞を受賞することになった。
公開はテレビ番組『新スタートレック』の第2シーズン終盤が放映されている頃であり、最初は客足も良かったものの次第に落ち込み、結局売り上げは前作の半分以下になった。ビデオの売り上げによってようやく採算を取り戻したといわれる。
前作『スタートレックIV 故郷への長い道』が大成功を収めたが、その次回作である本作においてシャトナー監督が推すストーリーにパラマウントは難色を示し、製作費は前作から据え置きになった。一方で出演者のギャラがかなり増額することになり、本作では特殊撮影からILMを外すなどの予算削減措置が取られた。そのためSF映画の命とも言える特撮の質を落とす事にもなってしまった。
この作品は英語のサブタイトルのごとくシリーズ最後の作品と宣伝されたが、熱狂的ファンが抗議集会を開くなど不評であったこと、実際にラジー賞を複数受賞してしまったこと、北米での興行成績が前作比約1千万ドル減という結果に終わったことから、結局は6作目がオリジナルシリーズ最後の作品として製作されることになった。
映画4作目では、クリンゴン大使が会議で「カークあるかぎり宇宙に平和はない」と捨て台詞を吐き退場、惑星連邦とクリンゴン間の対立が決定的になった一方、同時期に放送開始されたテレビの『新スタートレック』では、1世紀後にクリンゴン人のウォーフがエンタープライズ号に乗艦している。よって、カーク・シリーズ完結編は、クリンゴンとの和解が描かれることが当初より判っていた。この5作目の終盤には、とってつけたようなクリンゴン人との和解が描かれていた。だが、6作目は本来の完結編だった5作目のリブートというべき作品で、5作目での和解は無かったこととされ、冒頭でカークのクリンゴン人に対する反感および、惑星連邦とクリンゴン間の対立構造が、いずれも4作目の時点に逆戻りしたように演出されている[3]。
禁断の地シャカリーのクライマックスでは、当初カークがロックマンというモンスターと対決する構想であった。そのため、特殊スーツの製作とテスト撮影が行われたが、本編では不採用になった。DVDとブルーレイにはそのテスト映像が収録されている[4][5][6]。
ブリッジセット等、スタートレック4撮影時に使用されて保管されていたものをリファインし再使用するためスタジオの外に出しておいたところ、当日の深夜の暴風雨により水浸しになってしまい、ほぼ使えなくなってしまったため、ほぼ作り直されることになった。
作り直される前はカーペットが敷かれていたり、全体的に暖色系のカラーが使用されている等、エンタープライズDのブリッジの雰囲気に近いものであった。
登場人物
[編集]ゲストキャラクター
[編集]- サイボック
- スポックの異母兄。バルカンを追放されていた。
- コード
- クリンゴン将軍。かつての名指揮官だが、ニンバス3号星に隠居している。
キャスト
[編集]役名 | テレビ版での役名 (日本) |
俳優 | 日本語版 | |
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機内上映版 | ソフト版 | |||
ジェームズ・カーク | カーク船長 | ウィリアム・シャトナー | 筈見純 | 矢島正明 |
スポック | Mr.スポック | レナード・ニモイ | 仁内建之 | 菅生隆之 |
レナード・マッコイ | Dr.マッコイ | ディフォレスト・ケリー | 嶋俊介 | 小島敏彦 |
モンゴメリー・スコット | チャーリー | ジェームズ・ドゥーアン | 島香裕 | 小林修 |
ウフーラ | ウラ | ニシェル・ニコルズ | 竹口安芸子 | 朴璐美 |
ヒカル・スールー | 加藤 | ジョージ・タケイ | 牛山茂 | 坂東尚樹 |
パベル・チェコフ | チェコフ | ウォルター・ケーニッグ | 西村知道 | 樫井笙人 |
サイボック | ローレンス・ラッキンビル | 大木民夫 | 小林勝彦 | |
ジョン・タルボット | デイヴィッド・ワーナー | 吉水慶 | 手塚秀彰 | |
ケイスリン・ダー | シンシア・ゴウ | 小宮和枝 | 渡辺美佐 | |
神 | ジョージ・マードック | 藤本譲 | 大平透 | |
コード | チャールズ・クーパー | 小関一 | 松井範雄 | |
クラー | トッド・ブライアント | 大塚明夫 | 斎藤志郎 | |
ヴィクシス | スパイス・ウィリアムズ | 火野カチコ | 藤生聖子 | |
ジョン | レックス・ホルマン | 広瀬正志 | ||
その他声の出演 | 村松康雄 多田野曜平 根本泰彦 落合弘治 吉川亜紀子 石井隆夫 戸部順子 小池浩司 濱野基彦 山崎祐輔 | |||
日本語版制作スタッフ | ||||
演出 | 伊達康将 | 佐藤敏夫 | ||
翻訳 | 岡枝慎二(劇場用字幕) 木原たけし(ソフト用字幕) |
島伸三 | ||
調整 | 上村利秋 | |||
制作 | スタジオ・エコー | |||
ソフト収録 | LD・DVD[7]収録 | DVD[8]・BD収録 |
- 機内上映版:クリンゴン語のセリフも全て日本語に吹替られている。キャラクターの呼称は原音に倣ったスコット、ウーラ、スルになっている。(ステレオ音声)
- ソフト版:クリンゴン語のセリフは原音流用。キャラクターの呼称は従来の吹替版を踏襲したチャーリー、ウラ、加藤になっている。(5.1chサラウンド音声)
スタッフ
[編集]- 監督:ウィリアム・シャトナー
- 製作:ハーブ・ベネット
- 音楽:ジェリー・ゴールドスミス
- SFX:ブラン・フェレン
- 創作 顧問:ジーン・ロッデンベリー
受賞
[編集]- 第10回ゴールデンラズベリー賞(1989年)
- 受賞:最低作品賞
- 受賞:最低主演男優賞 - ウィリアム・シャトナー
- 受賞:最低監督賞 - ウィリアム・シャトナー
- ノミネート:最低脚本賞
- ノミネート:最低助演男優賞 - デフォレスト・ケリー
- ノミネート:1980年代最低作品賞
出典
[編集]- ^ “Star Trek V: The Final Frontier (1989)” (英語). Box Office Mojo. 2011年2月6日閲覧。
- ^ キネマ旬報1990年2月下旬号
- ^ 『ロッキー』シリーズの5作目と6作目も、これと非常によく似た経緯がある。
- ^ 20_Facts_About_Star_Trek_V:_The_Final_Frontier_–_TrekMovie.com
- ^ スタートレック5:新たなる未知へ | Memory Alpha | Fandom
- ^ BBC - Films - Star Trek V: The Final Frontier Special Edition DVD
- ^ 通常版
- ^ スペシャル・コレクターズ・エディション、オリジナル・クルー劇場版BOX