スターウィザード
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『スターウィザード』は、丘野ゆうじのライトノベルシリーズ。集英社スーパーファンタジー文庫刊で、全七巻。イラストは四位広猫。
概要
[編集]超一流の魔術師星海優人が、相棒の猫ディアンと共に、日本各地で起こる心霊現象を解決していく物語。ストーリーには現代社会が抱える歪み(社会問題や教育問題)を風刺した物が多い。
一巻で一話が完結する構成になっており、一話ごとに舞台・登場人物が変わる。一つの話で主役になったキャラは次の巻からは基本的に出てこず、複数の話にまたがって登場するのは、後述する四人だけである。
主な登場人物
[編集]- 星海優人(ほしみ・ゆうと)
- 主人公。様々な心霊現象を解決する「聖なる狩人(ホーリーハンター)」。アーサー王伝説に登場する大魔術師マーリンの末裔であり、生まれつき強力な魔力を持つ魔術師のサラブレッド。年は若いが、魔術師協会の中でも指折りの実力者である。五芒星のペンダントを所持しており、それを媒体として様々な魔術を使う。
- イギリス人の父親を持つハーフだが、英語は全く話せない。非常に容姿端麗で、業界関係者に会うたびに芸能界入りを勧められているが、その闇を知っているため忌避している。年齢は十代ということ以外は不明で、本人は「中三~大学生程度。あとは企業秘密」と言っている。学校への潜入操作の場合は、魔術で印象操作をし年齢を誤魔化しているらしい。年齢相応にスケベで、一巻ごとに必ずといっていいほどエロ本やエロビデオなどに没頭する姿が描かれる。
- 自身の祖先であるマーリンには全く敬意を払わず、「マーガリンじじい」と呼んでいる。
- ディアン
- 優人の使い魔。青く美しい毛並みを持つ雄猫。いちおう優人の相棒だが、実際はお目付け役的な役目に回ることが多い。優人のスケベぶりに頭を痛めており、事ある毎にエリート魔術師としての心構えを説いている。時にはそれをネタに優人に高級なエサをたかる事もある。ケルト神話の医神ディアン・ケトの力を受け継いでおり、彼自身も魔術を行使することができる。
- 長老
- 優人が所属する魔術師の協会「聖なる狩人たちの家(ホーリーハンターズ・ホーム)」の長老の一人で、日本支部長。普段は寂れた喫茶店を経営しているが、実はその地下に協会の日本支部がある。自称二百六十歳という超高齢だが、これは魔術を用いて寿命を引き伸ばした結果であり、さらに「あと二百年は生きる」らしい。協会でのコードネームは「時守(ときもり)の翁」。
- 宙野泉(そらの・いずみ)
- 四巻から登場の魔術師協会の新人。母方の先祖に占い師がいて本人にも才能があった為、スカウトされた。その際、母親から水晶球を貰っている。現在のところは電話受付と長老のお茶くみ(あまりに手際が良過ぎて長老がなかなか手放さないとか)。ほんわかした雰囲気のお嬢様だが、実は声優おたくという一面も持っている。
この他に、一巻ごとに交代するゲストにあたる主役がいる。「霊的なトラブルに悩まされる彼らの元に、優人がやってくる」という形で物語が始まる。
各巻のあらすじと主役
[編集]第一巻
[編集]- あらすじ
- ある高校の廃校舎で、一人の少年が投身自殺を遂げた。しかし、いじめられっ子だった彼の死を悲しんだ者は、ただ一人の女生徒だけだった。それ以降、その女生徒の周りで奇妙な事件が起き始める。
- 水野美香
- 自殺した男子生徒の同級生。学校内で唯一彼と親しく、唯一彼の死を悲しんだ生徒だった。他の話の主役たちは再登場しないが、彼女だけは例外的に最終巻で再登場する。
第二巻
[編集]- あらすじ
- あるニュータウンで、父親の暴力が原因で、息子が昏睡状態に陥るという事件が起きた。その日から、その家にはポルターガイスト現象が起き始め、また周辺の家々にも、「子供の泣き声が聞こえる」などの怪奇現象が相次ぐようになる。この事件を調べるため、優人が協会から派遣された。
- 受験戦争や教育パパ・教育ママ、児童虐待などに押しつぶされる子供たちを描いた作品。
- 神戸法子
- 昏睡状態に陥った少年の姉で、中学三年生。優等生を演じているが、厳格な両親が怖くて逆らえないだけだった。ポルターガイスト現象の原因を、両親の過剰な厳しさに耐えかねた弟の怒りではないかと疑っている。
第三巻
[編集]- あらすじ
- 真希は憧れの先輩に告白するが、彼は告白の返事をする前に交通事故で帰らぬ人となってしまった。「もう一度先輩に会いたい」という願いのため、有希はオカルトショップで、「願いの叶う人形」を購入する。だがその人形は、願いの代償に持ち主に不幸をもたらすといういわくつきの一品で、優人が別件の依頼で探していた品だった。
- 中里真希
- 普通の女子高生。憧れのサッカー部の先輩に、手作りのフェルト人形をプレゼントし告白するが、返事を聞く前に彼が亡くなってしまったため、その事を引きずる。「もう一度会って、彼の気持ちを確かめたい」という願いのあまり、オカルトショップで勧められた人形を購入。以来、原因不明の体調不良に悩まされていた。
第四巻
[編集]- あらすじ
- 売り出し中のアイドルタレント、栗山みずほの周辺で奇妙な出来事が頻発するようになる。優人はそれらを調べるため、みずほの付き人として雇われることになる。その事件には、みずほと親しかった先輩タレントと、人気俳優の南条達也が関わっていた。
- 栗山みずほ
- 「ラビット・プロ」所属の新人アイドルタレント。ルックスやスタイルは良いが、性格はお人よしで、芸能界向きの人間ではない。何もしていないのにシャンプーのボトルが倒れる、目を離した隙に紅茶が減っているなどの怪奇現象に悩まされ、優人に調査の依頼をしてきた。
第五巻
[編集]- あらすじ
- F市立不知火第八高校で、「夜間に血まみれの女生徒が現れる」という幽霊騒動が勃発。噂が広まる事を恐れた学校側の依頼で、優人が転校生として学校に潜り込む。しかし、「幽霊騒ぎについて、生徒に聞き回ってはいけない」という難しい条件を押し付けられ、捜査に行き詰る優人。その折、以前に街で知り合った女生徒が、この高校に在学している事を思い出した。
- 末広智子
- 優人の潜入先の高校の女生徒。優人の転入前、街で知り合っていた。一般人としては霊感が強く、幽霊を見ることができる。事件解決後は、優人の助手を目指し、街の地縛霊の除霊に取り組むようになるが、一度も成功例がない。
- 谷山耕作
- 不知火八高の国語教師。智子のクラス担任。大学を出たばかりの新米で、まだ学生気分が抜けきらず、生徒からも友人感覚で接されている。幽霊騒動と前後して、原因不明の体調不良や幻覚・幻聴に悩まされている。
第六巻
[編集]- あらすじ
- 優人は、声優オタクの泉に連れられて行った人気声優のイベントで、ホールの崩落事故に巻き込まれる。一般には建物の老朽化のためと片づけられたが、「協会」の調査により、何者かが魔術でホールを破壊していたことが判明。その影には、かつて「協会」に所属していながら、悪事に手を染めて逐電したはぐれ魔術師ニコライ・クラースヌイの存在があった。
- 宙野泉
- 詳細は主要登場人物の項を参照。優人と一緒に出かけた人気声優のイベントで、ホールの崩落事故に巻き込まれる。その際、偶然顔を合わせた少年に、亡き弟の面影を見て、落し物を届けるために彼の自宅を訪ねる。
第七巻
[編集]- あらすじ
- 優人は街を散策中、三年前の事件で知り合った水野美香と偶然に再会する。連絡先を交換して別れた直後、優人に調査指令が下る。街中で倒れた青年医師の遺体が、すでに腐敗していたという怪奇事件。さらに、街で頻発している通り魔事件が一本の線で繋がったとき、美香に危険が迫っていた。
- 水野美香
- 第一巻から再登場。一巻の時点からすでに三年の月日が経っており、大学一年生となっている。優人と偶然に再会した後、アルバイト先の博物館で怪奇事件に遭遇し、優人に相談の電話を入れる。以前から留学を考えていたが、今回の事件がきっかけとなり、解決後に留学への一歩を踏み出す。三年前のいじめ自殺事件への憤りから、教育学を専攻する。
単行本
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