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ジュライ (バンド)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジュライ
July
出身地 イングランドの旗 イングランド イーリング
ジャンル サイケデリック・ロックサイケデリック・ポップ
活動期間 1968年 - 1969年2009年 -
レーベル メジャー・マイナーアリオラエピック
メンバー トム・ニューマン
ピーター・クック
クリス・ジャクソン
アラン・ジェームス
旧メンバー トニー・デューイ
ジョン・フィールド

ジュライ[1]July)は、ロンドンイーリング出身のサイケデリック・ロック・バンドで、1968年から1969年にかけてプロとして活動し、2009年に再結成された[2]。バンドの音楽は、サイケデリック・ロックとサイケデリック・ポップのブレンドとなっており、豊かなハーモニー、アコースティックギター、キーボード、複雑なリードギターによる作品が特徴となっている[2][3]。バンドのレコードはイギリスアメリカでチャート入りすることができなかったが、ジュライは今日、多くのコンピレーション・アルバムに収録されている「マイ・クラウン」「Dandelion Seeds」「The Way」といった曲で最もよく記憶されている[2][4][5]

略歴

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バンドの起源に関していくつかの論争がある。百科事典の著者であるコリン・ラーキン、オールミュージックのウェブサイト、およびその他の多くの情報源によると、バンドの起源は1950年代後半のスキッフル・グループである「Playboys」にまでさかのぼることができる。このスキッフル・グループは後にR&Bバンドへと移行し、名前を「The Thoughts」に変更。それは最終的に「The Tomcats」になる前のこととされている[2][4][6][7]。しかし、2009年のポッドキャスト・インタビューで、バンド・メンバー自身がこの歴史に異議を唱え、それは「誤解」であるとした[8]。バンドによると、彼らは初め1960年代初頭に「The Dreamers」として結成され、シャドウズエヴァリー・ブラザースなどの影響を受けた音楽を演奏し始めた[8]。しかし当時、フレディ&ザ・ドリーマーズが全国的に成功していたため、「The Dreamers」はすぐに名前を「The Tomcats」に変更し、チャック・ベリーボ・ディドリーなどの影響を受けて、よりハードなR&Bを演奏するようになっていった[8]。オリジナルの「The Tomcats」のラインナップには、ギタリストで歌手のトム・ニューマン、ベーシストのアラン・ジェームス、リードギタリストのピーター・クック、ドラマーのクリス・ジャクソンが在籍していたが、これを前身とするバンドは1965年に解散した[8]。アラン・ジェームスによると、「The Tomcats」を新しいバンド名に提案したのはニューマンの父親であり、グループはそれを使用したのだと述べている[8]

一方、ロンドンを拠点とする別のR&Bグループである「Second Thoughts」が、1965年に結成された[9]。「Second Thoughts」には、コンガ奏者で、フルート奏者にしてキーボーディストのジョン・フィールド、ギタリストのトニー・デューイ、リードシンガーのパトリック・キャンベル・ライオンズ、後にサンダークラップ・ニューマンのメンバーとなるジョン・"スピーディ"・キーンがメンバーとして在籍していた[8][9]。「The Tomcats」のように、「Second Thoughts」も1965年に解散し、歌手のパトリック・キャンベル・ライオンズは脱退して、アレックス・スパイロポロウスとサイケデリック・ロック・バンドのニルヴァーナを結成した[9]。その後すぐに「The Tomcats」の新しいラインナップが集まり、オリジナルのバンド・メンバーと「Second Thoughts」の元メンバーが集結。ボーカルはニューマン、ギターはデューイ、フルート/キーボードはフィールド、ベースはジェームス、ドラムはジャクソンが担当した[2][9]。その後、「The Tomcats」はスペインに活動の場を移し、1966年に「Los Tomcats」として成功を収め、マドリード、バルセロナ、カナリア諸島におけるギグで演奏したり、一連のEPでスペインのチャート入りを果たした[2][4][8]

ロンドンに戻った後、ニューマンと彼の友人であるピーター・クック(「The Tomcats」の最初のラインナップに在籍)[9]は、R&Bの影響が少なく、本質的にサイケデリックなグループのために新しいマテリアルを書き始めた。バンドは1968年に名前をジュライへと変更し[2]、その直後にメジャー・マイナー・レコードとレコーディング契約を結んだ[3]。今やスペンサー・デイヴィスによってマネージメントされるようになったバンドは、1968年に最初のシングルとして「マイ・クラウン」(裏面「Dandelion Seeds」)をリリースしたが、全英シングルチャートには到達しなかった[3][4]。バンドは1968年にセルフタイトルのアルバムも発表したが、これもチャート入りできなかった[4]。ニューマンは後に(1975年のインタビューにて)、あるレビュアーによる「これは今まで聴いた中で最悪のアルバムであり、完全にプラスチックの浪費だった」という解説を覚えていると述べた[10]。発売以来、ジュライのアルバムはイギリスのサイケデリアのコレクター間ではレアな作品として非常に人気があった[4][11]。アルバム未収録の曲「Hello, Who's There?」「The Way」を組み合わせたセカンド・シングルがリリースされたが、このリリースも商業的な失敗となった[4]

ジュライは1969年に解散し[2]、デューイはユニット4+2というバンドで演奏した後、フィールドとボーカリストのグリン・ハヴァードと合流してジェイド・ウォリアーを結成した[9]。ニューマンは多くのソロ・アルバムをリリースし[12][13]マイク・オールドフィールド(『チューブラー・ベルズ』『チューブラー・ベルズII』『ヘヴンズ・オープン』等)を含む他のアーティストのためにいくつかのアルバムをプロデュースした[2][13]

バンドの終焉以来、ジュライのアルバムはさまざまなレコード・レーベルから何度も再発されてきた[4][7]。バンドからリリースされた2枚のコンピレーション・アルバムもある。1987年の『Dandelion Seeds』は、ジュライのアルバム全曲とシングル「Hello, Who's There?」の両面をフィーチャーしている。1995年の『The Second of July』には、これまでにリリースされていない別バージョンとアウトテイクが収録された[2][4]。さらに、ジュライによる曲は、『The British Psychedelic Trip, Vol. 2』『It's Only a Passing Phase』『Electric Psychedelic Sitar Headswirlers, Vol. 1』『The Great British Psychedelic Trip Vol 3: 1965–1970』『Acid Drops, Spacedust & Flying Saucers: Psychedelic Confectionery』『Insane Times: 25 British Psychedelic Artefacts from the EMI Vaults』など、さまざまなアーティストをまとめたコンピレーション・アルバムに収録されている[4][5][14]

2009年、トム・ニューマン、ピーター・クック、クリス・ジャクソン、アラン・ジェームスは、ジュライを再結成した[8][15]

メンバー

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  • トム・ニューマン (Tom Newman) – リード・ボーカル、ギター
  • クリス・ジャクソン (Chris Jackson) – ドラム、オルガン
  • アラン・ジェームス (Alan James) – ベース
  • ピーター・クック (Peter Cook) – ボーカル、ギター
旧メンバー
  • トニー・デューイ (Tony Duhig) – リード・ギター、オルガン
  • ジョン・フィールド (Jon Field) – ボーカル、フルート、オルガン

ディスコグラフィ

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アルバム

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  • 『スーパー・サイケデリック!』 - July (1968年、Major Minor SMLP 29)
  • Dandelion Seeds (1987年、Bam Caruso KIRI 097) ※コンピレーション
  • The Second of July (1995年、Essex 1008) ※未発表曲、別バージョンのコンピレーション
  • Resurrection (2013年、Neddysongs Recordings)
  • The Wight Album (2020年、Grapefruit)
  • Temporal Anomaly (2020年)
  • 『ザ・コンプリート・レコーディングス』 - The Complete Recordings (2020年、Grapefruit) ※『スーパー・サイケデリック!』のモノラル盤、ステレオ盤、未発表作『Temporal Anomaly』、『The Second of July』、再結成後の『Resurrection』、『The Wight Album』を収録した6CDコンピレーション

シングル

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  • 「マイ・クラウン」 - "My Clown"/"Dandelion Seeds" (1968年、Major Minor MM 568)
  • "Hello, Who's There?"/"The Way" (1968年、Major Minor MM 580)

脚注

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  1. ^ かつては「ジュリー」の表記もあった。
  2. ^ a b c d e f g h i j Eder 2010a
  3. ^ a b c Cruickshank 1993[要ページ番号]
  4. ^ a b c d e f g h i j Joynson 1998[要ページ番号]
  5. ^ a b AMG & 1
  6. ^ Larkin 1998, pp. 2910
  7. ^ a b Eder 2010b
  8. ^ a b c d e f g h Barnard 2009
  9. ^ a b c d e f Platt & Wilkinson 2007
  10. ^ Dellar 1975
  11. ^ McDonald 2010
  12. ^ AMG & 2
  13. ^ a b Larkin 1998, pp. 2911
  14. ^ AMG & 3
  15. ^ July. “July”. Facebook. 2010年7月3日閲覧。

参考文献

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  • The Way album appearances”. Allmusic. Rovi Corporation. 2010年3月4日閲覧。
  • Tom Newman Album Discography”. Allmusic. Rovi Corporation. 2010年7月3日閲覧。
  • Dandelion Seeds album appearances”. Allmusic. Rovi Corporation. 2010年3月4日閲覧。
  • Barnard, Jason (2009年). “July — Magical Days”. The Strange Brew Podcast. 2021年2月26日閲覧。
  • Cruickshank, Dinnes (1993). The Great British Psychedelic Trip Volume 3: 1965–1970 (CD booklet). Various artists. See for Miles Records.
  • Dellar, Fred (8 February 1975). “Tom Newman: The Man Who Taped the Tubular Bells”. NME 
  • Eder, Bruce (2010a). “July Biography”. Allmusic. Rovi Corporation. 2010年7月3日閲覧。
  • Eder, Bruce (2010b). “Tom Newman Biography”. Allmusic. Rovi Corporation. 2010年2月26日閲覧。
  • Joynson, Vernon (1998). The Tapestry of Delights. Borderline Productions. ISBN 1-899855-09-2 
  • McDonald, Stephen (2010年). “July Review”. Allmusic. Rovi Corporation. 2010年2月26日閲覧。
  • Larkin, Colin [in 英語] (1998). "July". The Encyclopedia of Popular Music 4: Herbal Mixture – Louvin Brothers (3rd ed.). Macmillan. pp. 2910 et seq. ISBN 978-0-333-74134-4
  • The Journey”. Jade Warrior Official Website (2007年). 2010年2月26日閲覧。

外部リンク

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