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ジチイン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
1,4-ジチインと1,2-ジチインの構造

ジチイン(Dithiin)は、複素環式化合物の分類の1つで、基本骨格の化学式(C2H2)2S2を持つものである。1,2-ジチインと1,4-ジチインの2つの異性体がある。シクロオクタテトラエンと類似する8π e-系の反芳香族性を持つ化合物である[1]ニンニクに含まれるビニルジチインは、3-ビニル-4H-1,2-ジチインにつけられた誤った名称であり、真の1,3-ジチインは知られていない。

1,4-ジチイン

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1,4-ジチインは、より熱心に研究されている。これらは、α-メルカプトカルボニルと等価な化合物の縮合により作られる。例えば、アセタールHSCH2CH(OEt)2を加熱すると1,4-ジチインが生成する。反芳香族性であるため、これらは非平面構造であり[1]、酸化されてラジカルカチオンになる。光分解により、[2+2]環化付加反応を経て二量化する[2]チアントレンは、ジベンゾ-1,4-ジチインである。

1,2-ジチイン

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1,2-ジチインは、ブタ-2-エン-ジチアールの異性体である。不安定であり、硫黄を失ってチオフェン誘導体を形成しやすい[3]

C4R4S2 → C4R4S + "S"

しばしば濃い赤紫色を呈し、キク科植物の花の色素になっているものもある[4]

出典

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  1. ^ a b 小林啓二「1,4-ジチインの化学」『有機合成化学協会誌』第40巻第7号、有機合成化学協会、1982年、642-650頁、doi:10.5059/yukigoseikyokaishi.40.642 
  2. ^ Keiji Kobayashia & Chhabi L. Gajurela "The Chemistry of 1, 4-Dithiins" Sulfur Reports, 1986, Volume 7, pp. 123-148. doi:10.1080/17415998609410046
  3. ^ Block, Eric et al, "Synthesis, Properties, Oxidation, and Electrochemistry of 1, 2-Dichalcogenins" Journal of the American Chemical Society (2000), 122(21), 5052-5064. doi: 10.1021/ja994134s
  4. ^ Block, Eric; Page, Jon; Toscano, John P.; Wang, Cun-Xiao; Zhang, Xing; DeOrazio, Russell; Guo, Chuangxing; Sheridan, Robert S.; Towers, G. H. Neil, "Photochemistry of Thiarubrine A and Other 1, 2-Dithiins: Formation of 2, 6-Dithiabicyclo[3.1.0]hex-3-enes" Journal of the American Chemical Society 1996, vol. 118, pp. 4719-20. doi:10.1021/ja960589v