シュザンヌ・マネ
シュザンヌ・マネ Suzanne Manet | |
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生誕 |
シュザンヌ・レーンホフ Suzanne Leenhoff 1829年10月30日 オランダ デルフト |
死没 |
1906年3月8日(76歳没) フランス共和国 パリ |
国籍 |
オランダ フランス |
職業 | ピアノ教師 |
配偶者 | エドゥアール・マネ |
シュザンヌ・マネ(Suzanne Manet, 1829年10月30日 - 1906年3月8日)、旧姓シュザンヌ・レーンホフ(Suzanne Leenhoff)は、フランスの画家エドゥアール・マネの妻。
概要
[編集]シュザンヌ・レーンホフは、1849年頃、ピアノ教師としてマネ家に呼ばれ、エドゥアール・マネの弟ウジェーヌ・マネとギュスターヴ・マネにピアノのレッスンをしており、エドゥアールとも知り合った。当時、シュザンヌは21歳、エドゥアールは19歳であった。2人は交際を始め、1952年、シュザンヌは私生児レオン・コエラ=レーンホフを生んだ。レオンは、エドゥアール・マネの子である可能性が大きいと考えられている[1]。
シュザンヌは、マネの『驚くニンフ』(1860-61年)のモデルとなっている[2]。
結婚に反対していたマネの父が亡くなって1年後の1863年10月、マネとシュザンヌは結婚した。マネの友人シャルル・ボードレールは、「彼の奥さんは美人で、とても気立てが良く、優れた芸術家だそうです。」、「1人の女性の中に、これほど多くの宝が隠されているとは、すごいことではないですか。」と書いている[3]。また、シュザンヌをよく知るマネの友人ジュゼッペ・デ・ニッティスは、「マネ夫人は、非常に独特の雰囲気を持っていた。善良で、気取りがなく、純真なところが魅力的だった。物事に動じない穏やかさがあり、ちょっとした言葉の中に、手に負えない子供のような夫に対する深い愛情が感じられた。」と書いている[4]。
マネの友人エドガー・ドガは、1868年-69年頃、マネとピアノを弾くシュザンヌの2人を描いた作品をマネに贈ったが、マネは絵画に描かれた妻の顔の部分から縦に切断してしまった。妻の顔が気に入らなかったとも[5]、夫婦に親密さが欠けていたためともいわれる。心理観察を得意とするドガは、夫婦間に漂う親密さとは異なる空気を鋭く捉えて描いたらしい[6]。ドガは絵の惨状をマネの家で目にして激怒し、描き直すためにキャンバスを右側に継ぎ足したが、結局描かれないまま終わった[7]。
1870年7月、普仏戦争が勃発すると、マネは、プロイセン軍のパリ侵攻に備えて、家族をピレネー山脈のオロロン=サント=マリーに疎開させた[8]。パリにとどまったマネは、シュザンヌに、パリの惨状を伝えつつ、「いとしいシュザンヌ、ぼくは長い時間をかけてきみの写真を探した。ようやく客間のテーブルの引き出しのなかにアルバムを見つけて、きみのいとしい顔を見ることができるようになった。今夜、ぼくはきみの声に呼ばれたと思って目が覚めた。パリに残っている人間は、非常に少なくなった。」と書いた手紙を送っている[9]。
マネは、普仏戦争後の第三共和政の時代もサロン・ド・パリへの出展を続けたが、1880年頃から左脚の壊疽に苦しみ、1883年、亡くなった。その当時、マネへの評価は高まっていたとはいえ、画壇の中では批判的な見方も多かった。
シュザンヌは、1888年末頃、お金に困り、『オランピア』をアメリカ人に売却しようとした。マネの代表作の国外流出を憂えたクロード・モネが募金活動を行い、『オランピア』を買い取った上でリュクサンブール美術館に寄贈した[10]。
シュザンヌがモデルとなったマネの作品
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『驚くニンフ』1860-1861年。油彩、キャンバス、146 × 114 cm。ブエノスアイレス国立美術館。
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『読書』1868年。
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『マネ夫人』1874-76年。ノートン・サイモン美術館。
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『温室のマネ夫人』1879年。
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『青いソファーのマネ夫人』1880年頃。
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『ベルヴューの庭のマネ夫人』1880年。メトロポリタン美術館。
脚注
[編集]- ^ カシャン (2008: 40)。
- ^ カシャン (2008: 40-41)。
- ^ カシャン (2008: 42-43)。
- ^ カシャン (2008: 43)、木村 (2018: 125)。
- ^ “マネとマネ夫人像”. 北九州美術館公式サイト. 2019年11月24日閲覧。[リンク切れ]
- ^ 辞典 (1994: 439)。
- ^ カシャン (2008: 104-05)。
- ^ 高橋 (2010: 32-33, 44-45)。
- ^ カシャン (2008: 143)。
- ^ 三浦 (2018: 218-19)。
参考文献
[編集]- フランソワーズ・カシャン『マネ――近代絵画の誕生』藤田治彦監修、遠藤ゆかり訳、創元社〈「知の再発見」双書〉、2008年(原著1994年)。ISBN 978-4-422-21197-8。
- 木村泰司『印象派という革命』筑摩書房〈ちくま文庫〉、2018年。ISBN 978-4-480-43547-7。
- 高橋明也『もっと知りたいマネ 生涯と作品』東京美術〈アート・ビギナーズ・コレクション〉、2010年。ISBN 978-4-8087-0867-2。
- 三浦篤『エドゥアール・マネ――西洋絵画史の革命』KADOKAWA〈角川選書〉、2018年。ISBN 978-4-04-703581-2。
- 黒江光彦監修『西洋絵画作品名辞典』三省堂、1994年。ISBN 978-4385154275。