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シス-ジクロロビス(エチレンジアミン)コバルト(III)塩化物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
シス-ジクロロビス(エチレンジアミン)コバルト(III)塩化物
cis-Dichlorobis(ethylenediamine)cobalt(III) chloride
シス-ジクロロビス(エチレンジアミン)コバルト(III)塩化物の骨格式
識別情報
CAS登録番号 14040-32-5 チェック
PubChem 166987
ChemSpider 360279 チェック
特性
化学式 C4H16Cl3CoN4
モル質量 285.49 g mol−1
外観 菫色の固体
融点

分解

への溶解度 可溶
危険性
GHSピクトグラム 急性毒性(低毒性)
GHSシグナルワード 警告(WARNING)
Hフレーズ H315, H319, H335
Pフレーズ PP261, PP264, PP271, PP280, PP302 + P352, PP304 + P340, PP305 + P351 + P338, PP312, PP321, PP332 + P313, PP337 + P313, PP362, PP403 + P233, PP405
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

シス-ジクロロビス(エチレンジアミン)コバルト(III)塩化物英語: Cis-Dichlorobis(ethylenediamine)cobalt(III) chloride)は、[CoCl2(en)2]Cl(en = エチレンジアミン)の化学式を持つ塩である。この塩は、カチオン配位錯体と塩化物アニオンからなる。水に可溶な菫色反磁性固体である。この塩の塩化物イオンの一つは容易にイオン交換を起こすが、他の二つの塩化物イオンは金属中心に結合しているため反応性が低い。

合成および光学分割

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シス-ジクロロビス(エチレンジアミン)コバルト(III)塩化物は、トランス-ジクロロビス(エチレンジアミン)コバルト(III)塩化物の溶液を加熱することにより得られる[1]。例えば、蒸気浴を用いる。

ラセミ体は、d-α-ブロモカンファ-π-スルホン酸塩の形成により、二つのエナンチオマー(ΛおよびΔ)に光学分割できる。ジアステレオマー塩は再結晶により分離される。精製後、個々のジアステレオマーは氷冷塩酸との反応により塩化物塩に戻される[1]

trans-[CoCl2(en)2]+からcis異性体への変換の様々な段階におけるUV-visスペクトル。

関連錯体

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この塩は、鈍い緑色の異性体であるtrans-ジクロロビス(エチレンジアミン)コバルト(III)塩化物よりも溶解度が低い。この異性体対は、配位化学の分野の発展において重要な役割を果たした。キラルなシス異性体は、トランス異性体を加熱することで得られる。ジクロロビス(エチレンジアミン)コバルト(III)の両方の異性体は、立体化学的研究でよく用いられてきた。

トリス(エチレンジアミン)コバルト(III)塩化物は、ビス(エチレンジアミン)錯体とは対照的に置換反応を起こさない。

参考文献

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  1. ^ a b John C. Bailar, Jr. (1946). “Cis - and trans -Dichlorobis-(ethylenediamine)cobalt(III) Chloride and the Resolution of the cis Form”. Cis- and Trans-Dichlorobis-(Ethylenediamine)Cobalt(III) Chloride and the Resolution of the Cis Form. Inorganic Syntheses. 2. pp. 222–225. doi:10.1002/9780470132333.ch71. ISBN 9780470132333