サライェヴォ・ハッガーダー
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サライェヴォ・ハッガーダー、(Sarajevo Haggadah)は、14世紀中葉のスペインで作られたハッガーダー。出エジプト記を記念する過越の日のための物語と祈りの言葉が記されている。中世の細密画が描かれたヘブライ語の本としては最古に属する。ボスニア・ヘルツェゴビナ博物館( National Museum of Bosnia and Herzegovina )に所蔵されている。
アンダルス時代以降のキリスト教が統治する土地で作られたとされ、レコンキスタの後はセファルディム系のユダヤ人に持ち出され、16世紀にはイタリアに存在した[1]。1894年にユダヤ人コーエン家からサラエヴォ博物館に売却された。オーストリア=ハンガリー帝国治下のウィーンに送られて再装丁・研究されたことで広く存在が知られた。
サラエヴォ博物館の蔵書となったのち、第二次世界大戦中はナチス・ドイツによる没収の危機にさらされ、カラメーメ ドビッツ、ペトロビッツ博士などによって秘匿保護された。 なかでも、ムスリムの学者であるデルヴィシュ・コルクトが命がけで守り、ブジャラスニカ山Mt. Bjelašnicaのモスクの中に戦後まで隠された[1][2]。ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争で博物館が攻撃された際に所在が不明となり、のちに発見された。ユダヤ教文書をムスリムが守ったという逸話は、「ニューヨーク・タイムズ」の記事にもなった[3][4]。
註
[編集]出典・参考文献
[編集]- カラメーメ ドビッツ, 秘本「ハガーダ」の運命, 芸術新潮 1971年11月号
- マリア・ロサ・メノカル 『寛容の文化―ムスリム、ユダヤ人、キリスト教徒の中世スペイン』 足立孝訳、名古屋大学出版会、2005年 - 294頁以降 ISBN 9784815805180
関連項目
[編集]- ジェラルディン・ブルックス - サライェヴォ・ハガダーをもとにした小説『古書の来歴』を執筆。
- 装飾写本
- コンベルソ