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サマンガーン州

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
サマンガーン州

سمنگان
北緯36度0分 東経67度40分 / 北緯36.000度 東経67.667度 / 36.000; 67.667座標: 北緯36度0分 東経67度40分 / 北緯36.000度 東経67.667度 / 36.000; 67.667
アフガニスタンの旗 アフガニスタン
州都 アイーバクペルシア語版ドイツ語版英語版
政府
 • 州知事 アブドゥル・ラーマン・ムスリム (ターリバーン)
面積
 • 合計 13,437.8 km2
標高 969 m
人口
(2012)[2]
 • 合計 368,800人
 • 密度 27人/km2
等時帯 UTC+4:30
ISO 3166コード AF-SAM
主要言語 ダリー語
ウズベク語
座標は[4]

サマンガーン州(サマンガーンしゅう、ペルシア語: سمنگان[5][4])は、アフガニスタン北部のである。面積は1万3438平方キロメートル[2](34州中18位)、総人口は約37万人(34州中28位)[2]、人口密度は27人/平方キロ(34州中22位)である[2]。州都はアイーバクペルシア語版ドイツ語版英語版サマンガン県[6]サマンガン州とも。

地理

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日本の福島県とほぼ同じ広さの州である。四方を山脈に囲まれ、中山間地と高山が8割を占める[7]。州の南北を弧を描くようにフルム川英語版が流れており、北部は複雑な形の盆地になっている。盆地には州都アイーバクがあり、アジアハイウェー76号線が走っている。

歴史

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古代

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クシャーナ朝の銅貨

1世紀頃のサマンガーン州はクシャーナ朝の領域だった。クシャーナ朝には表面に「ソーテール・メガス」(偉大なる救済者)と刻まれた銅貨があったが、発行した王の名は長いこと分からなかった。1993年にサマンガーン州のラバータク村で2世紀頃のカニシカ1世が残したラバータク碑文が発見され、無名王の名がヴィマ・タクトであることが分かった。クシャーナ朝は仏教国としても知られているが、1世紀から6世紀頃のサマンガーン州の人々も仏教を信仰しており、現在でもタフティ・ルスタム英語: Takht-i Rustam)と呼ばれる仏教遺跡が残っている。これは岩を掘って作った僧院付きの仏塔(ストゥーパ)で、バーミヤーンジャラーラーバードガズニーなどにある仏教遺跡と並ぶ、アフガニスタンでも最大級の物である[8]

中世

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サマンガーンという名は11世紀の「シャー・ナーメ」にも登場する。シャー・ナーメはイランがイスラム化する前の神話や伝説を集めた歴史書で、主人公の一人ロスタム(またはルスタム)はサマンガーンの王女タフミーネと結婚したと言う[9]スィースターンの王であるロスタムはサカ人、タフミーネはトゥーラーン人だったという説がある[9]。なおこの地域一帯は9〜10世紀はサーマーン朝の領域だった。

近代

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1845年、ドースト・ムハンマド・ハーンはアフガニスタン北部に軍を進めた。その頃のアフガニスタン北部の街はウズベク人のアミール達が支配しており、州都アイーバクもその1つだった[10]

冷戦時代

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サマンガーン州は1958年から1964年頃に独立した州になった[11]。1982年から1988年頃に北部をバルフ州に割譲し、ホルム市などが移管した[11]。1988年4月、一部をサーレポル州に割譲した[11]

アメリカ同時多発テロ事件以降

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2004年10月、第一回の大統領選挙が実施され、サマンガーン州ではユーヌス・カーヌーニー(約38%)が最多得票を得た[12]。2009年8月には第二回の大統領選挙が実施され、サマンガーン州ではアブドラ・アブドラ元外相が接戦を制して最多得票(約44%)を得た[13]。2012年6月、州都アイーバクで自爆テロが起き、アフマド・カーン・サマンガニ下院議員が殺害された[14]。サマンガニ下院議員が狙われたのはこれが二回目で、2007年5月にも暗殺未遂事件が起きている[15]。2012年12月、ISAF軍はサマンガーン州の治安権限をアフガニスタン軍に移譲した[6]。2014年4月、第三回の大統領選挙が実施され、サマンガーン州ではアブドラ・アブドラ元外相が最多得票(約61%)を得た[16]

2021年8月9日、アフガニスタン軍が撤退した為、ターリバーンは州都アイーバクを占領した[17]

行政区分

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サマンガーン州の郡

1市6を擁する。

  1. en:Aybak District - 州都: アイーバクペルシア語版ドイツ語版英語版
  2. Darah Sof Balla
  3. Darah Sof Payan
  4. en:Feroz Nakhchir District
  5. en:Hazrati Sultan District(ハズーラテ・スルターン郡[4]
  6. en:Khuram Wa Sarbagh District(フラム・ワ・サール・バーグ郡[4]
  7. en:Ruyi Du Ab District

主要都市

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州都アイーバクは約10万人である。

産業

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農業

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サマンガーン州の農作物 (2012年度)[18]
種類 生産量 順位
小麦 19万8000トン 10位
大麦 1万2857トン 16位
3659トン 15位
アーモンド 2211トン 2位
ザクロ 1000トン 2位
グレープフルーツ 243トン 15位
りんご 137トン 12位
とうもろこし 128トン 34位
綿花 55トン 12位
20トン 18位

サマンガーン州の農業は家計収入の3分の1程度(36%)だが[7]、特にアーモンド(34州中2位)やザクロ(34州中2位)の生産量は全国的に見ても多い。また小麦(34州中10位)の生産量も比較的上位にあり、農業収入を増やす為にピスタチオの森の再生も行っている[19]

鉱業

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  • ダライソープ炭鉱(Dara-i-Suf)[20]

住民

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民族

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サマンガーン州の多数派はウズベク人タジク人だと言われている。その他にはパシュトゥーン人ハザーラ人アラブ人タタール人が続く[7]

言語

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サマンガーン州の主要言語はダリー語(73%)であり、ウズベク語話者(22%)が続く[7]。識字率は23%である[7]

宗教

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主な出身者

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脚注

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  1. ^ Afghan Biographies - Anosh, Khairullah Anush Anoosh”. Afghanistan Online. 2014年2月26日閲覧。
  2. ^ a b c d e Area and Administrative and Population”. Islamic Republic of Afghanistan (2013年). 2014年2月3日閲覧。
  3. ^ Topological Information About Places On The Earth”. topocoding.com. 2014年3月9日閲覧。
  4. ^ a b c d The U.S. Board on Geographic Name”. U.S. Department of the Interior. 2014年2月14日閲覧。
  5. ^ ペルシア語ラテン翻字: Samangān
  6. ^ a b アフガニスタン:治安情勢”. 外務省. 2014年2月6日閲覧。
  7. ^ a b c d e Ministry of Rural Rehabilitation and Development (2013年). “Samangan Provincial Profile”. Islamic Republic of Afghanistan. 2014年2月3日閲覧。
  8. ^ ヴィレム・フォーヘルサング『アフガニスタンの歴史と文化』明石書店、2005年、229, 243頁。ISBN 978-4750320700 
  9. ^ a b 「アフガニスタンの歴史と文化」P306
  10. ^ 「アフガニスタンの歴史と文化」P394
  11. ^ a b c "Provinces of Afghanistan". Statoids. 2014年3月2日閲覧
  12. ^ Samangan Province”. Independent Election Commission of Afghanistan. 2014年3月10日閲覧。
  13. ^ Samangan Province”. Independent Election Commission of Afghanistan. 2014年2月17日閲覧。
  14. ^ Afghanistan suicide bomb kills prominent MP at wedding”. BBC NEWS (2012年6月14日). 2014年3月23日閲覧。
  15. ^ Fears over Afghan factional clash”. BBC NEWS (2007年5月31日). 2014年3月23日閲覧。
  16. ^ 2014 Elections Results”. Independent Election Commission of Afghanistan. 2015年2月24日閲覧。
  17. ^ Samangan’s Center Aybak Falls to Taliban” (英語). TOLOnews. 2021年8月9日閲覧。
  18. ^ Agriculture Development”. Islamic Republic of Afghanistan (2013年). 2014年2月5日閲覧。
  19. ^ Improving livelihoods in Afghanistan through the management of pistachio forests”. UNOPS (2010年6月24日). 2014年2月26日閲覧。
  20. ^ アフガニスタンニュース 10月号”. 駐日アフガニスタン大使館 (2012年11月18日). 2015年3月27日閲覧。

関連事項

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