2014年アフガニスタン大統領選挙
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地域別投票結果(第1回) アブドラ ガニー | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
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2014年アフガニスタン大統領選挙(2014ねんアフガニスタンだいとうりょうせんきょ、パシュトー語: د 2014 کال ولسمشریزو ټاکنو)は、2014年に行われたアフガニスタン・イスラーム共和国の大統領を選出する選挙である。
2014年4月5日に第1回投票、同年6月14日第2回投票(決選投票)が実施された。当選者はアシュラフ・ガニー・アフマドザイ。
概要
[編集]ハーミド・カルザイ大統領は、憲法の3選禁止規定により立候補出来ない。
決選投票の暫定結果は7月2日、最終結果は同月22日に発表される予定だった[1]が、不正疑惑が浮上し、すべての票の点検・再集計作業が行われた。
アメリカの仲介もあり、選挙に敗れた側も重要なポストを担うことで合意していたが、ポストの権限についてまとまらず、再集計終了が発表された後も選挙結果が発表されていなかった[2]が、両者が9月21日に挙国一致の政権づくりに向けた合意文書に署名。同日、ガニーが新大統領となることが発表された[3]。
選挙制度
[編集]第1回投票で過半数を得票する者がいなかった場合には、上位2名による決選投票が実施される。
有権者は18歳以上。
候補者
[編集]立候補者
[編集]27人が立候補の届け出を行い、11人が独立選挙委員会による資格審査を通過し立候補を認められた[4]。
- アブドラ・アブドラ(アブドッラー・アブドッラー) - 元外務大臣
- ダーウード・スルターンゾイ - 元人民議会議員
- アシュラフ・ガニー・アフマドザイ - 元財務大臣
- ザルマイ・ラスール - 前外務大臣
- クトゥブッディーン・ヒラール - 元副首相
- グル・アーガー・シェールザイ(モハンマド・シャフィーク) - 前ナンガルハール州知事
- アブドゥルラッブ・ラスール・サイヤーフ - 国会議員
- ヒダーヤト・アミーン・アルサラー - 元副大統領、元財務大臣
選挙戦から撤退した候補者
[編集]- アブドゥルカイユーム・カルザイ - カルザイ大統領の兄
- アブドゥッラヒーム・ワルダク - 前国防大臣
- サルダール・モハンマド・ナディール・ナイーム - ムハンマド・ダーウード・ハーンの甥
選挙活動
[編集]2013年11月20日、資格審査を通過し立候補を認められた11人が発表された[4]。
3月5日、アブドゥルカイユーム・カルザイが選挙戦からの撤退を発表(ザルマイ・ラスールを支持)[7]。
3月16日、アブドゥッラヒーム・ワルダクが選挙戦からの撤退を表明[8]。
3月26日、サルダール・モハンマド・ナディール・ナイームが選挙戦から撤退(ザルマイ・ラスールを支持)[9]。
4月5日、投票が実施された。ターリバーンが選挙の妨害を予告しており、実際にテロが発生、4月5日の投票当日だけで各地のテロで20人が死亡した[10]。しかし、妨害の規模は想定を下回るもので、投票率は前回より高いものとなった[11]。
4月26日、開票率100%の暫定結果が発表された。確定結果は5月14日に発表[12]。
候補者名 | 第1回投票 | |
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得票 | % | |
アブドッラー・アブドッラー | 2,973,706 | 44.9% |
モハンマド・アシュラフ・ガニー・アフマドザイ | 2,082,417 | 31.5% |
ザルマイ・ラスール | 759,540 | 11.5% |
アブドゥルラッブ・ラスール・サイヤーフ | 468,340 | 7.1% |
クトゥブッディーン・ヒラール | 180,859 | 2.7% |
モハンマド・シャフィーク・グル・アーガー・シェールザイ | 106,673 | 1.6% |
モハンマド・ダーウード・スルターンゾイ | 30,737 | 0.5% |
ヒダーヤト・アミーン・アルサラー | 15,394 | 0.2% |
合計 | 6,617,666 | |
無効票 | 275,150 | |
投票総数 | 6,892,816 |
5月3日、グル・アーガー・シェールザイが、決選投票でのアブドッラー・アブドッラーに対する支持を表明[15]。
5月11日、ザルマイ・ラスールが、決選投票でのアブドッラー・アブドッラーに対する支持を表明[16]。
5月15日、第1回投票の最終結果が発表された。決選投票は6月14日に実施[17]。
6月14日、決選投票が行われた。
7月2日、独立選挙委員会が、透明性確保を理由に暫定結果発表を同月7日に延期すると発表した[18]。
7月7日、決選投票の暫定結果が発表された。第1回投票で1位であったアブドッラー・アブドッラーの陣営は不正があったとして結果の受け入れ拒否を表明した[19]。
7月13日、アブドッラー、ガニー両陣営が、全票の再集計の実施することで合意した[20]。再集計作業は同月17日から開始され、9月5日に再集計の終了が発表された[21]。
9月21日、両候補が挙国一致政権の枠組みに関する合意文書に署名し[22]、同日、独立選挙委員会によりアシュラフ・ガニーの当選が発表された[23]。
選挙結果
[編集]候補者 | 所属政党 | 第1回投票 | 第2回投票 | |||
得票数 | 得票率 | 得票数 | 得票率 | |||
アシュラフ・ガニー | 無所属 | 2,084,547 | 31.56% | 4,485,888 | 56.44% | |
アブドラ・アブドラ | 国民連合 | 2,972,141 | 45.00% | 3,461,639 | 43.56% | |
ザルマイ・ラスール | 無所属 | 750,997 | 11.37% | |||
アブドゥル・ラスル・サイヤフ | イスラム宣教機構 | 465,207 | 7.04% | |||
クトゥブッディーン・ヒラール | 無所属 | 181,827 | 2.75% | |||
グル・アーガー・シェールザイ | 無所属 | 103,636 | 1.57% | |||
モハンマド・ダーウード・スルターンゾイ | 無所属 | 30,685 | 0.46% | |||
ヒダーヤト・アミーン・アルサラー | 無所属 | 15,506 | 0.23% | |||
有効票(有効率) | 6,604,546 | 7,947,527 | ||||
無効票(無効率) | ||||||
投票総数(投票率) | ||||||
棄権者数(棄権率) | ||||||
有権者数 | 100.0% | 100.0% | ||||
出典:外務省 |
脚注
[編集]- ^ “Presidential Election Runoff Timeline 2014”. Independent Election Commission of Afghanistan. 2014年6月15日閲覧。
- ^ “アフガニスタン 新大統領選出へ”. NHK. (2014年9月21日) 2014年9月22日閲覧。
- ^ 新大統領にガニ氏 自立と安定が課題 NHK NEWSWEB 2014年9月22日付
- ^ a b “アフガン大統領選は大混戦 ポスト・カルザイに11人”. 朝日新聞. (2013年11月20日) 2014年2月3日閲覧。
- ^ “Presidential Candidates - List of Nominees”. Pajhwok Afghan News 2014年2月3日閲覧。
- ^ “アフガン、本格的な選挙戦に 4月5日投票へ混戦模様”. 日本経済新聞. (2014年2月2日) 2014年2月3日閲覧。
- ^ “Karzai's brother withdraws from election, backs ex-minister”. Today's Zaman. (2014年3月6日) 2014年3月8日閲覧。
- ^ “Gen. Abdul Rahim Wardak withdraws from presidential election”. Khaama Press. (2014年3月16日) 2014年3月21日閲覧。
- ^ “Nadir Naeem Withdraws in Favor of Zalmai Rassoul”. Tolo News. (2014年3月26日) 2014年4月6日閲覧。
- ^ “アフガン大統領選、投票を1時間延長 妨害で死者20人”. CNN. (2014年4月6日) 2014年4月6日閲覧。
- ^ “アフガニスタンで大統領選が終了、タリバンの妨害は想定より小規模”. ロイター. (2014年4月7日) 2014年4月11日閲覧。
- ^ “アフガン大統領選、暫定結果でアブドラ氏首位 ガニ氏と決選投票”. 産経新聞. (2014年4月27日) 2014年4月27日閲覧。
- ^ “Preliminary Results of 2014 Presidential Election”. Independent Election Commission of Afghanistan (2014年4月26日). 2014年4月30日閲覧。
- ^ “Afghan presidential election goes to second round”. Pajhwok Afghan News. (2014年4月26日) 2014年4月27日閲覧。
- ^ “Gul Agha Sherzai endorses Abdullah in second round of election”. Khaama Press. (2014年5月3日) 2014年5月12日閲覧。
- ^ “Zalmai Rassoul endorses Abdullah in election runoff”. Khaama Press. (2014年5月11日) 2014年5月12日閲覧。
- ^ “Final Afghan vote results released”. Khaama Press. (2014年5月15日) 2014年5月15日閲覧。
- ^ “IEC to Announce Preliminary Results on Monday”. Tolo News. (2014年7月2日) 2014年7月3日閲覧。
- ^ “アフガン大統領選、次点の元外相陣営「暫定結果、受け入れない」”. 産経新聞. (2014年7月8日) 2014年7月8日閲覧。
- ^ “アフガン大統領選 票の再集計で両候補合意”. 日テレNEWS24. (2014年7月13日) 2014年9月21日閲覧。
- ^ “Afghanistan election audit and recount process completed”. Khaama Press. (2014年9月5日) 2014年9月22日閲覧。
- ^ “アフガン大統領にガニ氏 挙国一致の合意文書に署名”. 日本経済新聞. (2014年9月21日) 2014年9月22日閲覧。
- ^ “IEC Announces Ghani as President”. Tolo News. (2014年9月21日) 2014年9月22日閲覧。
外部リンク
[編集]- Independent Election Commission of Afghanistan(英語、ダリー語、パシュトー語)
- 山内聡彦「アフガニスタン ポスト・カルザイ時代へ - ウェイバックマシン(2014年4月13日アーカイブ分)」(NHK解説委員室 時論公論、2014年4月11日)
- 田中浩一郎「アフガニスタン 新時代への期待と課題 - ウェイバックマシン(2014年5月2日アーカイブ分)」(NHK解説委員室 視点・論点、2014年4月17日)