ゴッド・メイド・ザ・ラジオ〜神の創りしラジオ〜
『ゴッド・メイド・ザ・ラジオ〜神の創りしラジオ〜』 | ||||
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ザ・ビーチ・ボーイズ の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 |
カリフォルニア州ハリウッド オーシャン・ウェイ・レコーディング[2] テネシー州ナッシュビル ベンズ・スタジオ[2]イリノイ州バー・リッジ ワールド・ステージ・スタジオ[2] ネバダ州インクライン・ビレッジ ラヴ・シャック・スタジオ[2]イリノイ州シカゴ シカゴ・レコーディング・カンパニー[2] | |||
ジャンル | ロック、ポップス | |||
時間 | ||||
レーベル | キャピトル・レコード | |||
プロデュース |
ブライアン・ウィルソン Paul Fauerso (#7) | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
チャート最高順位 | ||||
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ザ・ビーチ・ボーイズ アルバム 年表 | ||||
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『ゴッド・メイド・ザ・ラジオ〜神の創りしラジオ〜』(原題:That's Why God Made the Radio)は、アメリカ合衆国のバンド、ザ・ビーチ・ボーイズが2012年に発表したスタジオ・アルバム。新曲により構成されたアルバムとしては20年ぶりの作品に当たる[20]。バンドは2011年12月16日、公式サイトを通じてブライアン・ウィルソン、マイク・ラヴ、アル・ジャーディン、ブルース・ジョンストン、デヴィッド・マークスというラインナップによる再結成を発表し[21]、本作はメジャー・デビュー50周年を記念してリリースされた。
背景
[編集]バンドは再結成の公表に先立ち、1968年のシングル・ヒット曲「恋のリヴァイヴァル」の再録音を行った[21]。ブルース・ジョンストンは、このセッションに関して、新曲を制作する上での「準備体操のようなものだった」とコメントしている[22]。「恋のリヴァイヴァル」の再録音ヴァージョンは、2012年5月1日にウォルマートを通じて限定発売されたセット『Limited Edition 50th Anniversary Collection 'ZinePak』(72ページの冊子、絵葉書、11曲入りのCDから成る)の付属CDで発表され[22]、本作の日本盤CDにもボーナス・トラックとして収録された。
「ゴッド・メイド・ザ・ラジオ〜神の創りしラジオ〜」は元々1998年に作られた曲で、この曲を共作したブライアン・ウィルソン、ジョー・トーマス、ラリー・ミラス、ジム・ピートリック(元サバイバー)の4人は、マイク・ラヴも加えて新曲「今がその時」を書き下ろすこととなった[23]。なお、ミラスとピートリックは「今がその時」のレコーディングにも参加している[2]。
「スプリング・ヴァケーション」は、ブライアン・ウィルソンがソロ・アルバム『イマジネーション』(1998年)制作時にジョン・トーマスと共作した未発表曲「レイ・ダウン・バーデン」(最終的に『イマジネーション』に収録された曲とは同名異曲)が原型となっており、マイク・ラヴが歌詞の一部を追加した[24]。
「海に輝く夜明け」は、マイク・ラヴが自身のソロ・アルバムを想定して1970年代に作った未発表曲である[25]。また、アル・ジャーディンは、カール・ウィルソン(1998年死去)のボーカルの録音が残された自作曲「ウェイヴス・オブ・ラヴ」を提供しようとしたが、本作への収録は見送られ[26]、この曲はジャーディンのソロ・アルバム『A Postcard from California』(2010年)が2012年4月に再発された際、ボーナス・トラックとして収録された[27]。
バンドは本作のリリース前の2012年4月24日、アリゾナ州ツーソンにおいて50周年記念ツアーを開始し[28]、同公演では「ゴッド・メイド・ザ・ラジオ〜神の創りしラジオ〜」も新曲として演奏された[29]。そして、4月25日には第1弾シングル「ゴッド・メイド・ザ・ラジオ〜神の創りしラジオ〜」がESPNラジオの番組「マイク・アンド・マイク・イン・ザ・モーニング」で初オン・エアされた[23]。
デヴィッド・マークス以外の4人はボーカル・コーラスに専念し、演奏はジェフリー・フォスケット(彼もビーチ・ボーイズのツアー・メンバーだった)やダリアン・サハナジャ、スコット・ベネットらブライアンのバック・バンドにジョン・カウシルやスコット・トッテンといった現ビーチ・ボーイズのツアー・メンバーが加わった面々が行なっている。このビーチ・ボーイズとブライアン・バンドによる合同バンドは4月から9月に行われた50周年ツアーにも参加していた。
反響・評価
[編集]アメリカのBillboard 200では3位に達し、ザ・ビーチ・ボーイズのアルバムとしては『15・ビッグ・ワンズ』(1976年)以来36年ぶりに全米トップ10入りを果たした[3][20]。なお、バンドは1963年のアルバム『サーフィン・U.S.A.』より通算49年と1週間にわたりBillboard 200でトップ10入りを果たしており、ビートルズの記録(47年7か月3週間)を抜いてグループ部門では史上最長の記録となった[20]。
ノルウェーでは2012年第24週のアルバム・チャートで初登場8位となり、同国においてはベスト・アルバム『Pure Gold』(1995年)以来17年ぶりのトップ10ヒットとなった[4]。
ジョン・ブッシュはオールミュージックにおいて5点満点中3.5点を付け「彼らは確かに、ここ35年来のザ・ビーチ・ボーイズにとっては最高傑作と言えるレコードを結束して作り出しており、驚くほど一枚岩で思慮深く聴きやすい」と評している[30]。
収録曲
[編集]特記なき楽曲はブライアン・ウィルソンとジョー・トーマスの共作。
CD
[編集]- あの頃に… - "Think About the Days" - 1:27
- ゴッド・メイド・ザ・ラジオ〜神の創りしラジオ〜 - "That's Why God Made the Radio" (Brian Wilson, Joe Thomas, Jim Peterik, Larry Millas) - 3:18
- 今がその時 - "Isn't It Time" (B. Wilson, Mike Love, J. Thomas, J. Peterik, L. Millas) - 3:45
- スプリング・ヴァケーション - "Spring Vacation" (B. Wilson, M. Love, J. Thomas) - 3:06
- ビルとスーの私生活 - "The Private Life of Bill and Sue" - 4:17
- シェルター - "Shelter" - 3:02
- 海に輝く夜明け - "Daybreak Over the Ocean" (M. Love) - 4:20
- 心のビーチ - "Beaches in Mind" (B. Wilson, M. Love, J. Thomas) - 2:38
- ストレンジ・ワールド - "Strange World" - 3:03
- バック・アゲイン - "From There to Back Again" - 3:23
- パシフィック・コースト・ハイウェイ - "Pacific Coast Highway" - 1:47
- 過ぎゆく夏 - "Summer's Gone" (B. Wilson, J. Thomas, Jon Bon Jovi) - 4:42
日本盤ボーナス・トラック
[編集]- 恋のリヴァイヴァル(2012ヴァージョン) - "Do It Again (2012 version)" (B. Wilson, M. Love) - 2:42
LP
[編集]- Side A
- "Think About the Days"
- "That's Why God Made the Radio" (B. Wilson, J. Thomas, J. Peterik, L. Millas)
- "Isn't It Time" (B. Wilson, M. Love, J. Thomas, J. Peterik, L. Millas)
- "Spring Vacation" (B. Wilson, M. Love, J. Thomas)
- "Beaches in Mind" (B. Wilson, M. Love, J. Thomas)
- "Daybreak Over the Ocean" (M. Love)
- Side B
- "Shelter"
- "The Private Life of Bill and Sue"
- "Strange World"
- "From There to Back Again"
- "Pacific Coast Highway"
- "Summer's Gone" (B. Wilson, J. Thomas, J. Bon Jovi)
参加ミュージシャン
[編集]- ブライアン・ウィルソン - ボーカル
- マイク・ラヴ - ボーカル
- アル・ジャーディン - ボーカル、ホイッスル
- ブルース・ジョンストン - ボーカル
- デヴィッド・マークス - ギター
アディショナル・ミュージシャン
- ジェフリー・フォスケット - ボーカル(all songs)、アコースティック・ギター(on #2, #4, #5, #6)
- ジョー・トーマス - ピアノ(on #1, #11, #12)、ハープシコード(on #6)、オルガン(#8)
- ジョン・ホブス - ピアノ(on #2, #5)、タック・ピアノ(on #6, #9, #10, #12)
- スコット・ベネット - ヴィブラフォン(on #1, #5, #12)、オルガン(on #2, #4, #8)、クラビネット(on #4, #8)
- ニック・ワルスコ - ギター(on #2, #4, #12)
- トム・ブコヴィック - ギター(on #2, #4, #6, #10)、アコースティック・ギター(on #5, #12)
- ニック・ロウ - ギター(on #2)
- ジェフ・バクスター - ギター(on #4, #8)
- ジム・ライリー - ギター(on #4, #8)
- スコット・トッテン - ギター(on #7)、アコースティック・ギター(on #7)
- プロビン・グレゴリー - フレンチ・ホルン(#1, #6, #11, #12)、アコースティック・ギター(on #5, #8)、バンジョー(on #5)、トロンボーン(on #6)
- マイケル・ローズ - ベース(on #2, #4, #9, #10, #12)
- ラリー・ミラス - ベース(on #3)
- ブレット・シモンズ - ベース(on #5, #8, #12)
- クリフ・ヒューゴ - ベース(on #7)
- デヴィッド・ストーン - ダブル・ベース(on #12)
- チャド・クロムウェル - ドラムス(on #2, #4, #9)
- ジョン・カウシル - ドラムス(on #5, #8)
- カート・ビスケラ - ドラムス(on #7)
- エディ・バイヤーズ - ドラムス(on #12)
- ジム・ピートリック - パーカッション(on #3)、ウクレレ(on #3)
- ネルソン・ブラッグ - パーカッション(on #5, #6, #9, #11, #12)、ティンパニ(on #5)
- ダリアン・サハナジャ - ヴィブラフォン(on #2, #5)
- ゲイリー・グリフィン - アコーディオン(on #9)
- ポール・マーテンズ - バリトン・サクソフォーン(on #5)、フルート(on #10, #11, #12)、ストリングス・アレンジ(on #9, #10, #11, #12)
- クリス・ブレス - オーボエ(on #12)
- Jessica Bish - ボイス(on #5)
- エイドリアン・ベイカー - ボーカル(on #7)
- クリスチャン・ラヴ - ボーカル(on #7)
- ヘイリー・ラヴ - ボーカル(on #7)
脚注・出典
[編集]- ^ a b “ビーチ・ボーイズの新作詳細発表!『ゴッド・メイド・ザ・ラジオ〜神の創りしラジオ〜』、6月4日発売!”. CDJournal. 音楽出版社 (2012年4月6日). 2017年7月14日閲覧。
- ^ a b c d e f CD英文ブックレット内クレジット
- ^ a b c “The Beach Boys - Awards”. AllMusic. 2016年7月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年7月14日閲覧。
- ^ a b norwegiancharts.com - The Beach Boys - That's Why God Made The Radio
- ^ danishcharts.com - The Beach Boys - That's Why God Made The Radio
- ^ swedishcharts.com - The Beach Boys - That's Why God Made The Radio
- ^ the-beach-boys | full Official Chart History | Official Charts Company - 「ALBUMS」をクリックすれば表示される。
- ^ “ゴッド・メイド・ザ・ラジオ〜神の創りしラジオ〜 - ザ・ビーチ・ボーイズ”. ORICON NEWS. 2017年7月14日閲覧。
- ^ The Beach Boys - That's Why God Made The Radio - dutchcharts.nl
- ^ australian-charts.com - The Beach Boys - That's Why God Made The Radio
- ^ finnishcharts.com - The Beach Boys - That's Why God Made The Radio
- ^ ultratop.be - The Beach Boys - That's Why God Made The Radio
- ^ The Beach Boys - That's Why God Made The Radio - hitparade.ch
- ^ The Beach Boys | Longplay-Chartverfolgung - musicline.de
- ^ italiancharts.com - The Beach Boys - That's Why God Made The Radio
- ^ The Beach Boys - That's Why God Made The Radio - austriancharts.at
- ^ ultratop.be - The Beach Boys - That's Why God Made The Radio
- ^ spanishcharts.com - The Beach Boys - That's Why God Made The Radio
- ^ lescharts.com - The Beach Boys - That's Why God Made The Radio
- ^ a b c Trust, Gary (2012年6月14日). “Beach Boys Beat the Beatles for Billboard 200 Record”. Billboard. 2017年7月14日閲覧。
- ^ a b Swanson, Dave (2011年12月16日). “Beach Boys Confirm 50th Anniversary Reunion Tour And Album”. Ultimate Classic Rock. Diffuser Network. 2017年7月14日閲覧。
- ^ a b Graff, Gary (2012年4月20日). “Exclusive: Beach Boys Get a 'ZinePak for 50th Anniversary”. Billboard. 2017年7月14日閲覧。
- ^ a b “That's Why God Made the Radio by The Beach Boys”. Songfacts. 2017年7月14日閲覧。
- ^ Romano, Andrew. “The Joe Thomas Interview: On Brian Wilson, The Beach Boys Reunion, and That's Why God Made the Radio”. 2017年7月14日閲覧。
- ^ 日本盤CD (TOCP-71311)ライナーノーツ(宇田和弘、2012年5月)
- ^ Fine, Jason (2012年6月21日). “The Beach Boys' Last Wave”. Rolling Stone. 2017年7月14日閲覧。
- ^ Al Jardine* - A Postcard From California (CD, Album) at Discogs - 2012年再発盤の情報。
- ^ Graff, Gary (2012年4月23日). “Beach Boys Album: 'It's All Brand New'”. Billboard. 2017年7月14日閲覧。
- ^ Powell, Mike (2012年4月25日). “Beach Boys Kick Off 50th Anniversary Tour in Tucson”. Rolling Stone. 2017年7月14日閲覧。
- ^ Bush, John. “That's Why God Made the Radio - The Beach Boys”. AllMusic. 2017年7月14日閲覧。