コムカデ綱
コムカデ綱 | ||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
分類 | ||||||||||||
| ||||||||||||
学名 | ||||||||||||
Symphyla Ryder, 1880 | ||||||||||||
和名 | ||||||||||||
コムカデ(コムカデ類) | ||||||||||||
科 | ||||||||||||
|
コムカデ綱、または結合綱(Symphyla)とは、多足亜門(多足類)に属する節足動物の分類群である。コムカデ(コムカデ類)と総称され、細長い体と多数の足をもっている土壌動物である。名前と姿が似通うものの、ムカデではない。
特徴
[編集]全体の外見がムカデに似るため、ムカデの幼生と誤認される場合もある。同じく多足類ではあるが、コムカデはムカデ(ムカデ綱)に属しておらず、自ら独立の綱(コムカデ綱)をなし、様々な点がムカデとは異なっている。
多くは1cm以下であり、全身が白っぽく、柔らかい。成体の胴部は14体節からなるが、背板はそれより多く15-24枚あり、歩脚は10-12対ある。頭部には長く数珠状の特徴的な触角が1対生えている。口器として大顎(mandible)1対と小顎(maxilla)2対があり、そのうち第2対の小顎は昆虫の下唇のように癒合していた[1]。生殖孔は他の前性類(ヤスデとエダヒゲムシ)と同様に、腹面の前半部に開く。胴部後端には、ムカデのような曳航肢ではなく、紡糸腺をもつ1対の突起が上後方に大きく突き出し(第13体節の器官)、目立たないが感覚器官とされる1対の長い触毛が下後方に出る(第14体節の器官)。
習性
[編集]足が速く動きは敏捷だが、肉食性ではなく、植物、腐植などを食べる。土壌中にごく普通に見られ、石や朽木をめくると時たま走りだす姿を見られる。海外では農業害虫として被害の報告もある。
分類
[編集]コムカデと他の多足類の類縁関係について、かつてはムカデに類縁(共にTrignatha をなす)との説はあったが、ヤスデやエダヒゲムシと共に単系統群の前性類Progoneata を構成する説の方が生殖口の位置と分子系統学に有力視される[2][3]。前性類の中で、コムカデはヤスデとエダヒゲムシからなる単系統群Dignatha の姉妹群[4]、もしくはエダヒゲムシの姉妹群である(共にEdafopoda をなす)[2][5][6]という2説がある[7][3]。
世界で約200種が知られる。日本からは、ナミコムカデ科のナミコムカデ(Hanseniella caldiaria)とミゾコムカデ(Scutigerella nodicera)、ヤサコムカデ科のヤサコムカデ(Symphyllela vulgaris)、の2科3属3種が以前から報告されているが、研究が進んでおらず、これらの種以外のコムカデも多く採集される。
下位分類
[編集]参考文献
[編集]- 青木淳一編著 (1999)『日本産土壌動物 : 分類のための図解検索』東海大学出版会 ISBN 448601443X
脚注
[編集]- ^ “Figure 12.8: Comparison of maxillula (first maxilla) and maxilla...” (英語). ResearchGate. 2019年7月4日閲覧。
- ^ a b Cunningham, Clifford W.; Martin, Joel W.; Wetzer, Regina; Bernard Ball; Hussey, April; Zwick, Andreas; Shultz, Jeffrey W.; Regier, Jerome C. (2010-02). “Arthropod relationships revealed by phylogenomic analysis of nuclear protein-coding sequences” (英語). Nature 463 (7284): 1079–1083. doi:10.1038/nature08742. ISSN 1476-4687 .
- ^ a b Edgecombe, Gregory D.; Giribet, Gonzalo (2019-06-17). “The Phylogeny and Evolutionary History of Arthropods” (English). Current Biology 29 (12): R592–R602. doi:10.1016/j.cub.2019.04.057. ISSN 0960-9822. PMID 31211983 .
- ^ Giribet, Gonzalo; Edgecombe, Gregory D.; Fernández, Rosa (2018-01-08). “Phylogenomics illuminates the backbone of the Myriapoda Tree of Life and reconciles morphological and molecular phylogenies” (英語). Scientific Reports 8 (1): 83. doi:10.1038/s41598-017-18562-w. ISSN 2045-2322 .
- ^ Dong, Yan; Sun, Hongying; Guo, Hua; Pan, Da; Qian, Changyuan; Hao, Sijing; Zhou, Kaiya (2012-8). “The complete mitochondrial genome of Pauropus longiramus (Myriapoda: Pauropoda): Implications on early diversification of the myriapods revealed from comparative analysis” (英語). Gene 505 (1): 57–65. doi:10.1016/j.gene.2012.05.049 .
- ^ Gai, Yong-Hua; Song, Da-Xiang; Sun, Hong-Ying; Zhou, Kai-Ya (2006-12). “Myriapod Monophyly and Relationships Among Myriapod Classes Based on Nearly Complete 28S and 18S rDNA Sequences” (英語). Zoological Science 23 (12): 1101–1108. doi:10.2108/zsj.23.1101. ISSN 0289-0003 .
- ^ Miyazawa, Hideyuki; Ueda, Chiaki; Yahata, Kensuke; Su, Zhi-Hui (2015-5). “Molecular phylogeny of Myriapoda provides insights into evolutionary patterns of the mode in post-embryonic development” (英語). Scientific Reports 4 (1). doi:10.1038/srep04127. ISSN 2045-2322 .