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地主共和商会

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コケコッコー共和国から転送)
株式会社地主共和商会
JINUSHI KYOWA SHOKAI CO.,LTD
本社(コケコッコー共和国)
本社(コケコッコー共和国)
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
519-2211
三重県多気郡多気町丹生4411番地3
北緯34度27分39.0秒 東経136度30分23.2秒 / 北緯34.460833度 東経136.506444度 / 34.460833; 136.506444座標: 北緯34度27分39.0秒 東経136度30分23.2秒 / 北緯34.460833度 東経136.506444度 / 34.460833; 136.506444
設立 1966年(昭和41年)1月[1]
業種 水産・農林業
法人番号 8190001010906
事業内容 鶏卵の生産・販売、直売所の運営ほか[2]
代表者 取締役社長 仲井幹郎[3]
資本金 18百万円[1]
売上高 694,820千円(2002年度)[4]
従業員数 55人[1]
支店舗数 3[5]
関係する人物 地主仙住郎(創業者)[3]
地主隆弘(2代目)[3]
地主佳代子(取締役会長)[6]
外部リンク kokekokko.jp/
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株式会社地主共和商会(じぬしきょうわしょうかい、英語: JINUSHI KYOWA SHOKAI CO.,LTD[注 1])は、日本養鶏業者。三重県多気郡多気町で「平飼い有精卵」を特徴とする鶏卵の生産・販売のほか、鶏卵・鶏肉加工品の販売、直売所コケコッコー共和国」の運営を手掛ける[2]

歴史

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創業家の地主家は、勢和村(現・多気町)で稲作クリ栽培を手掛ける農家であったが[9]、地主仙住郎が[3]1950年(昭和25年)に飼料・肥料の卸売・小売業を始め[4]1966年(昭和41年)に有限会社化した[9]1977年(昭和52年)に仙住郎の息子である地主隆弘が入社し[3]、家業のクリ栽培とその選別出荷作業が好きではないという理由から、翌1978年(昭和53年)から鶏卵の取り扱い(養鶏農家からの買取・販売[3])を開始した[9]。この頃、日本では養鶏業の寡占化が進み、小規模養鶏家への飼料販売では利益を出しにくくなりつつあった[3]。そこで隆弘は消費者の健康志向の時流に沿った平飼い有精卵による高付加価値化を構想[注 2]し、養鶏家に持ち掛けるも、ケージ飼いの手軽さから誰も参入しなかった[3]

そこで自ら[3]1989年(平成元年)に[2]養鶏業へ進出し、平飼いで3,000羽ほど飼養し始めた[2][3]。平飼いはニワトリが自由に運動できることからアニマルウェルフェアにかなう飼養方法であり、日本では先駆的な取り組みであった[2]。このため、先進地としてヨーロッパへ視察に出かけ、従業員らと試行錯誤を繰り返しながら、昼夜兼行で養鶏に挑戦した[3]1990年(平成2年)には資本金1000万円で株式会社化した[4]。生産の努力に加え、営業活動にも力を入れた結果、生活協同組合や自然食品の店などの販路が開け[注 3]、生産能力を超える注文を受けるほどに成長した[3]。この間、1995年(平成7年)にコケコッコー共和国を設立したほか[9]2001年(平成13年)9月には日本の平飼い養鶏業者としては初めて環境マネジメントシステムISO 14001」の認証を受けた[4]2003年(平成15年)11月7日には、中央畜産会と全国肉用牛協会が主催する平成15年度全国優良畜産経営管理技術発表会で、他の3経営者と共に最優秀賞を受賞し、農林水産大臣賞を授与された[10]。この時点では8つの鶏舎で約5万羽を飼育し[9]、収入の95%は加工・販売によるもので、残りは小売(山の駅よって亭)であった[4]

こうした中、隆弘は病に倒れ、56歳で逝去した[3]。病床にあっても財務諸表を手に部下へ指示を出していた夫を見ていた妻の地主佳代子は、それまで事務作業を手伝った程度であったが、事業継承を決意し、2010年(平成22年)にオーナーとして取締役会長に就任、社長職には営業部長だった仲井幹郎が就いた[11]

2018年(平成30年)5月26日、平飼い有精卵・有精卵かすてら・贅沢たまごジャム新姫味の3点を伊勢神宮外宮に奉納した[12]

養鶏事業

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鶏舎

地主共和商会では平飼い有精卵の生産にこだわっている[2]。「誰もやっていないこと、新しいことが好き」だったという[2]当時の地主隆弘社長が1989年(平成元年)に開始した[3]。2022年(令和4年)現在、12万羽を飼育する日本最大の平飼い養鶏場である[2]

平飼いとはケージ飼いに対するものであり、ニワトリが敷地内を自由に動き回れるようにした飼養法である[2]。雌鶏100羽に対して雄鶏5羽以上を同一の鶏舎で飼育することで有精卵にしている[13]。飼料販売会社として創業したことを活かして、トウモロコシベースの独自配合飼料をエサとして与えている[2]。具体的には海藻米ぬか[2][14]牡蠣殻、ニンニクパプリカなどを含んでいる[14]。ニワトリにはワクチン以外の薬品投与を行っていない[9]ニワトリの品種英語版卵黄の色味は取引先の要望に応じて微調整を図っている[15]

ニワトリの高く暗い場所で産卵するという習性を利用して、ベルトコンベアを薄暗くすることで、そこに卵を産ませ、自動的に卵を工場へ運搬している[2]。ベルトコンベア以外の場所で産卵してしまった場合、その卵は出荷しない[2]。工場では、洗卵に薬品を使用せず電気分解水(強アルカリ水・強酸性水)で洗浄したり、自動ヒビ卵検査装置でひび割れを検知したりしている[2]。卵は「有精美容卵」のブランド名で[9]東北地方から九州地方まで各地へ出荷される[2]。自社で消費者へ直販もするが、主力の流通ルートは健康食品を取り扱う店への卸売・小売である[4]。また、三重県農林水産物・食品輸出促進協議会に加盟し[16]台湾香港へ卵を輸出している[15]

養鶏場で排出された鶏糞は、堆肥に加工して農家へ出荷する[15]。農地に散布しやすいよう、鶏糞を粒状に加工する施設を養鶏場に造成している[15]。当初は鶏糞の処理場を設けず、鶏舎内で乾燥ダクトによって乾燥させ、糞置き場に茶農家などがトラックで引き取りに来ていた[9]

コケコッコー共和国

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コケコッコー共和国は地主共和商会の直売所である[2]。1995年(平成7年)に設立し、2001年(平成13年)に売店「山の駅よって亭」を開業した[4]。養鶏場の隣にある「山の駅よって亭」は、卵かけご飯や鶏肉の焼肉[注 4]を提供するレストランと自社製品を販売する売店から成る[2]。卵かけご飯は卵が食べ放題になっている[14]。焼肉で提供される鶏肉は、採卵の役目を終えた約600日間飼養したニワトリであり、歯ごたえがある[注 5]のが特徴である[15]。鶏肉は周辺地域で親しまれている味噌だれで味付けされており[注 4]、地主隆弘が調合したタレを受け継いでいる[15]。売店の商品はカステラプリンシュークリーム[2]、卵、卵かけご飯用の醤油、鶏そぼろ冷凍食品などである[13]。特に平飼い鶏の卵を使った[17]シュークリームが評価を得ており[2]、多気町役場が発行する「多気スイーツマップ」にも山の駅よって亭のシュークリームが掲載されている[17]。地元住民を中心に、ここで育った鶏肉を求める来客がある[15]。また、ツーリングの目的地となっており、三重県外からバイクで訪れる客もいる[2]。敷地内には公園もある[13]

山の駅よって亭以外に、伊勢自動車道多気パーキングエリア下り線に「多気パーキング店」を、勢和多気インターチェンジそばのファミリーマート勢和多気店の敷地内に露店形式で「勢和多気店」を出店している[5]。多気パーキング店では、カステラや落花せんべいなどの自社商品を販売し、勢和多気店では、たまごカステラなどをその場で焼いて提供している[5]

以上のほか、松阪ショッピングセンターマームに「たまごかけご飯のお店 松阪マーム店」を出店していたが、2021年(令和3年)1月31日に閉店した[18]

脚注

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注釈
  1. ^ 公式YouTube動画のタイトルによる[7]国税庁法人番号公表サイトでは「チヌシキョウワショウカイ」で登録されている[8]
  2. ^ 倒産・廃業する畜産農家を見て、相場に左右される小作人を脱却し、価格決定権のある自作農となる必要性を感じたという[4]
  3. ^ 養鶏開始から数年間は「なぜ価格が高いのか」を消費者に理解されず、苦しい経営を強いられた[4]
  4. ^ a b 多気町を含む松阪市周辺では、鶏肉の焼肉(とり焼肉)が住民に親しまれている[14]。松阪市周辺では、味噌だれで焼肉を食べるのが一般的である[14]。(「松阪市の肉文化」を参照。)
  5. ^ 親鶏またはヒネ鶏と呼ばれ、肉質が硬いため、硬い肉が苦手な人のために若鶏も用意している[14]。また、塩麴に漬け込んだ鶏肉もある[14]
出典
  1. ^ a b c 株式会社地主共和商会”. FUMA. プレインワークス. 2024年9月22日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 濵津実奈 (2022年11月10日). “地主共和商会へ行ってきました”. D&DEPARTMENT PROJECT. ディアンドデパートメント. 2024年9月22日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n 青山 2020, p. 20.
  4. ^ a b c d e f g h i 常に新しい夢にチャレンジ。若者に魅力のある自作農家になりたいと願って。”. 三重の畜産広場. 三重県畜産協会 (2003年). 2024年9月22日閲覧。
  5. ^ a b c コケコッコー共和国 山の駅よって亭”. 旅色. ブランジスタメディア. 2024年9月22日閲覧。
  6. ^ 青山 2020, p. 19.
  7. ^ Cage-free eggs, JINUSHI KYOWA SHOKAI CO.,LTD 【Japan】”. コケコッコー共和国. YouTube (2018年11月2日). 2024年9月22日閲覧。
  8. ^ 株式会社地主共和商会の情報”. 国税庁 社会保障・税番号制度 法人番号公表サイト. 国税庁 (2019年11月12日). 2024年9月22日閲覧。
  9. ^ a b c d e f g h 畜産コンサルタント誌編集部 (2003年). “農林水産大臣賞・最優秀賞/三重県勢和村 (株)地主共和商会”. 中央畜産会. 2024年9月22日閲覧。
  10. ^ 平成15年度全国優良畜産経営管理技術発表会”. 中央畜産会. 2024年9月22日閲覧。
  11. ^ 青山 2020, pp. 19–20.
  12. ^ 株式会社 地主共和商会”. 伊勢神宮外宮奉納市. 伊勢商工会議所. 2024年9月22日閲覧。
  13. ^ a b c 山田梨果 (2023年11月2日). “多気町の『コケコッコー共和国』 最高のたまごとの出会い”. 山田梨果の三重リポート. 三重エフエム放送. 2024年9月22日閲覧。
  14. ^ a b c d e f g 平飼い有精卵のたまご食べ放題ごはん390円、とり焼肉ランチ550円!コケコッコー共和国は、鶏好きのパラダイスか!”. メシ通(ホットペッパーグルメ). リクルート (2018年3月12日). 2024年9月12日閲覧。
  15. ^ a b c d e f g 青山 2020, p. 21.
  16. ^ 三重県農林水産物・食品輸出促進協議会 会員名簿”. 三重県農林水産物・食品輸出促進協議会事務局(三重県雇用経済部県産品振興課内) (2024年9月18日). 2024年9月22日閲覧。
  17. ^ a b TAKI SWEETS”. 多気町役場環境商工課 (2016年10月). 2024年9月22日閲覧。
  18. ^ shimashima (2021年1月14日). “【松阪市】突然のお知らせ…『コケコッコー共和国 松阪マーム店』が閉店します。”. 号外NET松阪市. 本氣メディア. 2024年9月22日閲覧。

参考文献

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  • 青山浩子「農と食の邂逅 地主佳代子さん 三重県多気郡多気町」『AFCフォーラム』第68巻第2号、日本政策金融公庫農林水産事業本部、2020年5月1日、19-21頁、CRID 1523106605121609344 

関連項目

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外部リンク

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