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コアマモ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
コアマモ
コアマモ
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: オモダカ目 Alismatales
: アマモ科 Zosteraceae
: アマモ属 Zostera
: コアマモ Z. japonica
学名
Zostera japonica
Ascheron et Graebner
シノニム

Zostera nana

和名
コアマモ

コアマモ(小甘藻、小海藻、学名Zostera japonica)は、アマモ科新エングラー体系ではヒルムシロ科アマモ属に分類される海草の一種である。浅海域に生育するが藻類ではなく種子植物(顕花植物)の仲間である。

特徴

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分布

主に温帯の沿岸域に分布するが、一部亜熱帯にも分布する。日本では北海道から本州四国九州南西諸島種子島奄美大島沖縄島宮古島石垣島西表島)に至る全域に分布し、日本国外ではサハリンカムチャツカ半島中国南部、ベトナム北アメリカ西岸等に分布する。

日本では全国的に分布する海草であるが、南西諸島においては沖縄島でごく小規模な群落が10数ヵ所確認されている一方で、種子島、奄美大島、宮古島及び石垣島では各1ヵ所でしか確認されておらず植物地理学上興味深い[1][2]。なお、西表島の分布状況は不明である[1]

形態

多年草沈水植物(根茎)は直径0.5-1.0mm程度で細く、砂泥中を匍匐して分岐し、いくつかの節(ふし)を付ける。節の間隔は1~3cmで、節から細かいを出して砂泥にからみつく。また節からは葉をつける枝と花序をつける枝も出る。は2列に互生し、長さ10~25cm、幅0.1~1.3mmの狭線形、葉縁は全縁、明瞭な2-3本の平衡脈を持つ。葉の先端は鈍く尖り、基部には長さ1.2~6cmの葉鞘をつける。雌雄同株。花期は6月頃。花序は長さ約2cm程度の肉穂花序で鞘状苞に包まれる。雄花は花序の先端に、雌花は花序の中央につける。種子は長さ2cmの楕円形。

名前の通り近縁種のアマモに比べ小型の植物で、葉が小さく、根茎の節の間隔が狭い。

生育環境

主に水深1-2m程度の浅海域の砂泥地に生育するが、一部汽水域でも生育する。また、他の海草類と比べて乾燥に強く[3]、低潮線付近まで見られ、干潮時には一部が水面から出る潮間帯でも生育することができ、ごく浅いところに小規模な藻場を形成する。当真(1999年)は河口域に繁茂する傾向があるとしている。

保護上の位置づけ

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日本のほぼ全域に分布しており、2007年に発表された環境省レッドリストではそれまでの情報不足(DD)からランク外にはずされた。しかし地域によっては、沿岸域の埋め立てによる個体及び生育地への影響や水質汚染による生息環境の悪化などにより個体数・生育地が減少しており、本州及び四国の太平洋側、九州・沖縄地方などの県のレッドデータブックに掲載されている。

脚注

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  1. ^ a b 横田昌嗣 「コアマモ」 『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(菌類編・植物編)-レッドデータおきなわ-』、沖縄県文化環境部自然保護課編 、2006年、185-186頁。
  2. ^ 鹿児島県環境生活部環境保護課編 『鹿児島県の絶滅のおそれのある野生動植物-鹿児島県レッドデータブック植物編-』 財団法人鹿児島県環境技術協会、2003年、571頁、ISBN 4-9901588-1-4
  3. ^ 当真(1999年)によると5時間以上空気中に葉が露出しても枯死しない。

参考文献

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  • 千原光雄 『標準原色図鑑全集 第15巻 海藻・海浜植物』 保育社、1970年、115頁。
  • 当真武 「琉球列島の海草‐I. 種類と分布」 『沖縄生物学会誌』37号、1999年、75-92頁。
  • 山下貴司 「コアマモ」 『福岡県の希少野生生物 -福岡県レッドデータブック2001- 』、佐賀県自然環境課、2001年。
  • 横田昌嗣 「コアマモ」 『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(菌類編・植物編)-レッドデータおきなわ-』、沖縄県文化環境部自然保護課編 、2006年、185-186頁。

外部リンク

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