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クレメンス・J・ゼッツ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
クレメンス・J・ゼッツ
Clemens J. Setz
誕生 (1982-11-15) 1982年11月15日(41歳)
オーストリアの旗オーストリア グラーツ
職業 作家翻訳家
言語 ドイツ語
国籍 オーストリアの旗オーストリア
署名
ウィキポータル 文学
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クレメンス・J・ゼッツ(Clemens J. Setz, Clemens Johann Setz[1], 1982年11月15日 - )は、オーストリア作家翻訳家

経歴

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1982年グラーツに生まれ、現在も在住している。2001年にグラーツ大学で数学とドイツ文学の教職課程に進んだが、修了していない[2]

勉学のかたわら翻訳家として働き、雑誌やアンソロジーで詩や小説を発表していた。また、文学グループ「Plattform」の創立メンバーでもある[3]

若い頃は文学にほとんど関心を持っていなかった。エルンスト・ヤンドルの本が、作家としてのキャリアの起爆剤になった[3]。2007年デビュー作である長編小説『Söhne und Planeten』がアスペクト文学賞 (aspekte-Literaturpreis) のショートリストに選出。2008年にインゲボルク・バッハマン賞 (Ingeborg-Bachmann-Preis) へ招かれ、短編小説『Die Waage』でエルンスト・ヴィルナー賞 (Ernst-Willner-Preis) を獲得した。2021年にゲオルク・ビューヒナー賞を受賞。

2009年に二作目の長編小説『Die Frequenzen』がドイツ書籍賞にノミネートされた。2010年にはベルリン国際文学祭 (Internationales Literaturfestival Berlin) に招聘された。2011年、作品集『Die Liebe zur Zeit des Mahlstädter Kindes』でライプツィヒ書籍見本市賞 (Preis der Leipziger Buchmesse) の文学部門を受賞。審査員は次のように評した。「人を惑わす隣人、芸術の暴動、狂っていく機械――これらの物語は優しさ、暴力、愛と下品さの迷宮に読者を誘い込む。」[4][5]

2011年以降は、文芸雑誌『Volltext』で著名な作家の絶版した作品について「Nicht mehr lieferbar」を連載している[6]。2012年出版の長編小説『Indigo』はドイツ書籍賞のショートリストに選ばれた[7]。ゼッツは、詩集『Die Vogelstraußtrompete』の中で、英語版ウィキペディアの「Reality Checkpoint」の記事などを文字通り引用し、コミックから学問まで現代の多様な現実を通して読者を詩的な探索に向かわせている[8]

2015年に出版した1000ページを超える長編小説『Die Stunde zwischen Frau und Gitarre』もドイツ書籍賞にノミネートされた。

ゼッツの同名の小説が基になった舞台『Frequenzen』の初演が、アレクサンダー・アイゼナハ (Alexander Eisenach) の演出で、2016年3月12日にグラーツのシャウシュピールハウス (Schauspielhaus Graz) で行われた。

2016年のイジョマ・マンゴルト (Ijoma Mangold) とのインタビューで、ゼッツは、音に色が見える自身の共感覚や以前あったパニック発作は精神的な理由で起こったのではなく、胃炎からくる食道痙攣によるものだったと語った[9]

邦訳作品

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  • 『インディゴ』犬飼彩乃 訳 国書刊行会 2021年6月

主な作品

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著書

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翻訳

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  • Der Mann aus dem Fegefeuer : das Doppelleben des Jack Unterweger. Residenz, St. Pölten 2008, ISBN 978-3-7017-3101-5; Heyne, München 2010, ISBN 978-3-453-43473-8(John Leake, Entering Hades : The Double Life of a Serial Killer のドイツ語訳)[10]

フィルモグラフィー

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受賞歴

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脚注

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  1. ^ Clemens J. Setz: „Nur der Agent“ seiner Bücher.”. Kleine Zeitung. 2008年6月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月10日閲覧。
  2. ^ Clemens J. Setz - Suhrkamp Insel Autoren Autorendetail”. Suhrkamp. 2018年10月10日閲覧。
  3. ^ a b Suhrkamp Verlag (2016-06-17), Clemens Setz: »Vielleicht ist es Zeit für etwas ganz Anderes!«, https://www.youtube.com/watch?v=J9L3pSGMytc 2018年10月10日閲覧。 
  4. ^ Die Liebe zur Zeit des Mahlstädter Kindes: Erzählungen von Clemens J. Setz - Suhrkamp Insel Bücher Buchdetail”. Suhrkamp. 2018年10月10日閲覧。
  5. ^ Clemens J. Setz: Gewinner in der Kategorie Belletristik 2011” (PDF). 2018年10月10日閲覧。
  6. ^ VOLLTEXT: Ausrichten, Anschwärzen, Entlarven”. 2012年6月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月10日閲覧。
  7. ^ Indigo: Roman von Clemens J. Setz - Suhrkamp Insel Bücher Buchdetail”. Suhrkamp. 2018年10月10日閲覧。
  8. ^ Wiesner, Herbert (2014年5月17日). “Das reimt sich mit dem Internet”. DIE WELT. https://www.welt.de/print/die_welt/literatur/article128110235/Das-reimt-sich-mit-dem-Internet.html 2018年10月10日閲覧。 
  9. ^ “Clemens J. Setz: Das war meine Rettung”. ZEITmagazin. (2016年2月11日). https://www.zeit.de/zeit-magazin/2016/05/clemens-j-setz-synaesthesie-panikattacken-gastritis-rettung 2018年10月10日閲覧。 
  10. ^ John Leake. Entering Hades: The double life of a serial killer” (英語). 2016年3月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月10日閲覧。
  11. ^ “Literaturpreis Steiermark geht an Clemens Setz”. (2017年3月16日). https://steiermark.orf.at/news/stories/2831478/ 2018年10月10日閲覧。 
  12. ^ “Thomas Pluch Drehbuchpreise 2018”. Diagonale – Festival des österreichischen Films | 13.–18. März 2018. http://www.diagonale.at/thomas-pluch-drehbuchpreise-2/ 2018年10月10日閲覧。 
  13. ^ Clemens J. Setz erhält den Berliner Literaturpreis 2019”. Suhrkamp. 2018年10月10日閲覧。

外部リンク

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