カリディケー
カリディケー(古希: Καλλιδίκη, Kallidikē, 英: Callidice)は、ギリシア神話の女性である。主に、
が知られる。
ケレオスの娘
[編集]このカリディケーは、エレウシースの王ケレオスとメタネイラの娘で、クレイシディケー、デーモー、カリトエーと姉妹[1]。女神デーメーテールが娘のコレーを探して各地を放浪したのち、エレウシースの処女の井戸で休んでいると、彼女たちが水を汲むためにやって来て、女神に対して神とは気づかずに親切に接したために、デーメーテールは乳母としてケレオスの館に招かれ、王の幼い息子デーモポーンを火にくべて神のごとく育てようとしたと伝えられている[2]。
ダナオスの娘
[編集]このカリディケーは、アルゴスの王ダナオスの50人の娘(ダナイデス)の1人である。母の名前はクリノーであり、オイメー、ケライノー、ヒュペルヒッペーという姉妹がいた。彼女とその姉妹はそれぞれ、エジプト王アイギュプトスとヘーパイスティネーの息子たち、パンディーオーン、アルベーロス、ヒュペルビオス、ヒッポコリュステースと結婚したのち、他のダナイデスと同様に父の計略に従って結婚相手を殺害した[3]。
テスプローティア地方の女王
[編集]このカリディケーは、テスプローティアー地方の女王である。イタケー島の王オデュッセウスと結婚し、ポリュポイテースを生んだ[4]。
トロイア戦争後、無事にイタケー島に帰国し、ペーネロペーの求婚者たちを誅殺したオデュッセウスは、海神ポセイドーンの怒りをなだめるためにテスプローティアー地方に赴いて犠牲を捧げようとした。このときカリディケーはオデュッセウスと出会って愛するようになり、自分と結婚して国の王となることを求めた。オデュッセウスはこれに応じ、2人の間にポリュポイテースが生まれた。またオデュッセウスは王として近隣諸国を征服した[4]。散逸した叙事詩『テレゴネイア』によるとオデュッセウスが戦ったのは隣国との戦争であり、カリディケーはこの戦いで戦死した[5]。カリディケーの死後、オデュッセウスは王国を息子に譲り、イタケーに帰ったという[4][5]。
系図
[編集]ケパロス | プロクリス | ペルセウス | アンドロメダ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アルケイシオス | アウトリュコス | オイバロス | ゴルゴポネー | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ラーエルテース | アンティクレイア | テュンダレオース | イーカリオス | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
クティメネー | カリディケー | オデュッセウス | ペーネロペー | イプティーメー | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
カリュプソー | キルケー | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ナウシトオス | ナウシノオス | ポリュポイテース | テーレマコス | ラティーノス | テーレゴノス | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
脚注
[編集]参考文献
[編集]- アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫(1953年)
- ホメーロス『ホメーロスの諸神讃歌』沓掛良彦訳、ちくま学芸文庫(2004年)
- 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』、岩波書店(1960年)