サイエンスSARU
種類 | 株式会社 |
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本社所在地 |
日本 〒180-0001 東京都武蔵野市吉祥寺北町3丁目1番1号[1] 北緯35度42分34.1秒 東経139度34分25.9秒 / 北緯35.709472度 東経139.573861度座標: 北緯35度42分34.1秒 東経139度34分25.9秒 / 北緯35.709472度 東経139.573861度 |
設立 | 2013年2月4日[1] |
業種 | 情報・通信業 |
法人番号 | 1012401023791 |
事業内容 |
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代表者 | 代表取締役 チェ・ウニョン |
資本金 | 200万円[1] |
従業員数 | 51名 |
主要株主 | 東宝 100% |
関係する人物 | 湯浅政明(創業者) |
外部リンク |
www |
株式会社サイエンスSARU(サイエンスサル、英: Science SARU Inc.)は、日本のアニメ制作会社。東宝株式会社の完全子会社。
概要
[編集]2013年、亜細亜堂を経てフリーの監督・演出家として活動していた湯浅政明と同じくフリーのアニメーター・演出家として活動していたチェ・ウニョンが共同で設立[2]。僅か4人の小さなオフィスからのスタートだった[3]。
アニメーション作品の企画から制作、販売までを一貫して行い、ワールドワイドなマーケットに向けて提供している[2]。
設立のきっかけは、湯浅がアメリカ・カートゥーン ネットワークの世界的人気シリーズ『アドベンチャー・タイム』の1エピソードで監督をオファーされたことだった[4]。その際、アメリカの制作チームから「会社単位でないと依頼できない」と言われ、ちょうど自身もウニョンと自分たちのスタジオ設立の話をしていたところだったので、これを機に一気に立ち上げることにした[4][5][注 1]。ウニョンは2006年の『ケモノヅメ』以来、たびたびアニメーターとして湯浅の作品に参加しており、過去にマネジメントの経験があってプロデュースにも興味を持っている上、イギリス留学を経験して海外スタッフの対応に必要な英語が堪能だったので、湯浅は会社の設立とその管理を任せることにした[4][5]。
会社名の由来は、湯浅がよく描いていた猿のようなキャラクターの自画像[2]。「猿よりは賢い会社にしたい」と『猿』の前に『サイエンス』を付け、本能と知識を併せ持つ万能な会社になればという想いから名付けられた[2]。
2017年4月公開の森見登美彦の小説を劇場アニメ化した『夜は短し歩けよ乙女』で会社として初の元請制作を行う[6]。同年5月には初めての完全オリジナル劇場用新作となるアニメ映画『夜明け告げるルーのうた』が公開される[7]。
2019年春、業務拡大に伴い、設立当初から東京都武蔵野市吉祥寺南町3丁目30番4号に構えていた本社を同市吉祥寺北町3丁目1番1号に移転[3]。
2020年3月25日付で湯浅政明が代表取締役を退任[3][8]。4月2日、取締役だったチェ・ウニョンが湯浅の後任として代表取締役に就任することが発表された[8]。また湯浅は、2021年に公開予定だった[注 2]『犬王』の監督は継続すること、そしてその後は休養に入って次回作の準備を始めることを発表した[9]。
2020年10月23日、NetflixがサイエンスSARUを含む日本と韓国のアニメスタジオ4社と包括的業務提携を結んだことを発表[10][注 3]。
2021年、日本の7つのアニメーションスタジオが参加したスター・ウォーズシリーズのオリジナル短編アニメーション集『スター・ウォーズ: ビジョンズ』の制作にスタジオSARUも参加[11]。全9作の内、『T0-B1』(アベル・ゴンゴラ監督)と『赤霧』(チェ・ウニョン監督)の2エピソードを担当した[12]。
2019年より、京都アニメーション放火殺人事件以降に同スタジオを退社した山田尚子がサイエンスSARUへ軸足を移しており[13]、『平家物語』(2022年)や『きみの色』(2024年)などで監督を務めている。
2024年6月19日付で東宝が全株式を取得し子会社化[14]。
特色
[編集]独特なスタイルのフラッシュアニメの導入を図っている[5]。アメリカのアニメスタジオの待遇の良さや徹底した作業の効率化を目の当たりにしたチェ・ウニョンは、「日本のアニメ業界が持つ魅力を失わないためにも、私たちのような小さいスタジオが率先して作業効率を上げる工夫をして、作品のクオリティは落とさずに、労働環境をよくすることが可能だということを示していきたいと思っている」として、日本のスタジオの作業効率化を図ろうとした[5]。その策のひとつとして導入されたのがAdobe Flash(現:Adobe Animate)である[5][15]。そのメリットについて湯浅政明は、「従来のアニメーションの作業プロセスでは、レイアウト、原画、動画、彩色といった4つの段階を経て撮影に至るが、各プロセスが分業であり、ひとつの仕事が終わると制作がそれを受け取って次の担当へ引き渡さないといけないためにスタッフの負担が大きく、何より非効率的。フラッシュを用いればそのプロセスを集約して作画から動画・彩色まで一人で完結させることができる」と語っている[5][15]。
作品履歴
[編集]テレビアニメ
[編集]開始年 | 放送期間 | タイトル | 監督 | シリーズ構成 | アニメーション プロデューサー |
原作 |
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2020年 | 1月 - 3月 | 映像研には手を出すな! | 湯浅政明 | チェ・ウニョン | 漫画 | |
2022年 | 1月 - 3月 | 平家物語[16] | 山田尚子 | 吉田玲子 | 崎田康平 | 古典 |
7月 - 9月 | ユーレイデコ | 霜山朋久 | 佐藤大 | オリジナル | ||
2024年 | 3月 | オオクニヌシとスクナビコナ[17] | 横山彰利 | 崎田康平 橋本拓明 | ||
MOON[18] | 木下絵李 | |||||
パンテオンの鳥[19] | チェ・ウニョン 村越麻海 | |||||
10月 - 12月 | ダンダダン | 山代風我 | 瀬古浩司 | 番匠彩子 橋本拓明 |
漫画 | |
2025年 | 7月 - | ダンダダン season2 | 山代風我 Abel Gongora |
未公表 | ||
2026年 | 未公表 | 攻殻機動隊(仮)[20] | 未公表 | |||
未公表 | SANDA |
劇場アニメ
[編集]公開年 | タイトル | 監督 | 脚本 | アニメーション プロデューサー |
原作 |
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2017年 | 夜は短し歩けよ乙女 | 湯浅政明 | 上田誠 | チェ・ウニョン | 小説 |
夜明け告げるルーのうた | 吉田玲子 湯浅政明 |
オリジナル | |||
2019年 | きみと、波にのれたら | 吉田玲子 | |||
2022年 | 犬王 | 野木亜紀子 | 小説 | ||
四畳半タイムマシンブルース[21] | 夏目真悟 | 上田誠 | 崎田康平 | ||
2024年 | Garden of Remembrance | 山田尚子 | 山田尚子 | — | オリジナル |
きみの色 | 吉田玲子 | 崎田康平 |
Webアニメ
[編集]発売年 | タイトル | 監督 | アニメーション プロデューサー |
原作 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
2018年 | DEVILMAN crybaby[22] | 湯浅政明 | チェ・ウニョン | 漫画 | Netflixより全世界配信 |
2019年 | SUPER SHIRO[23] | 湯浅政明 霜山朋久 |
キャラクター | AbemaTV、ビデオパスで独占配信 | |
2020年 | 日本沈没2020[24] | 湯浅政明 許平康 |
小説 | Netflixより全世界配信 | |
2021年 | スター・ウォーズ: ビジョンズ「AKAKIRI(赤霧)」 | チェ・ウニョン | — | 映画 | Disney+より独占配信 |
スター・ウォーズ:ビジョンズ「T0-B1」 | Abel Gongora | ||||
2023年 | スコット・ピルグリム テイクス・オフ[25] | 崎田康平 | 漫画 | Netflixより全世界配信 |
制作協力
[編集]協力年 | タイトル | 制作元請 | 備考 |
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2014年 | アドベンチャー・タイム | フレドレター・スタジオ カートゥーン ネットワーク・スタジオ |
話数制作・アニメーション協力・OPアニメーション制作[26] |
ピンポン THE ANIMATION | タツノコプロ | フラッシュアニメーション | |
スペース☆ダンディ | ボンズ | 制作協力 | |
牙狼-GARO- -炎の刻印- | MAPPA | OPアニメーション制作 | |
クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん | シンエイ動画 | 作画協力 | |
2015年 | 妖怪ウォッチ | OLM | EDアニメーション原画(アイドルはウーニャニャの件) |
クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃 | シンエイ動画 | 作画協力 | |
みんなのどうよう | 制作協力 | ||
2016年 | OK K.O.! めざせヒーロー | カートゥーン ネットワーク・スタジオ | |
2017年 | 四畳半神話大系 特別放送 | マッドハウス | EDアニメーション制作 |
牙狼-GARO- -VANISHING LINE- | MAPPA | OPアニメーション制作 |
関連人物
[編集]アニメーター・演出家
[編集]- 湯浅政明(監督・演出家・アニメーター、元代表取締役、共同創業者)
- 山田尚子(監督・演出家)
- 伊東伸高(アニメーター)
- 松本憲生(アニメーター)
- 霜山朋久(アニメーター)
- 小島崇史(アニメーター)
- 浅野直之(アニメーター)
- 山代風我(演出家・アニメーター)
- アベル・ゴンゴラ Abel Góngora(監督・フラッシュアニメーター[5])
- ホアンマヌエル・ラグナ Juan Manuel Laguna(フラッシュアニメーター[5])
制作
[編集]- チェ・ウニョン(代表取締役、共同創業者)
- 崎田康平
- 橋本拓明
- 番匠彩子(トムス・エンタテインメント出身[27])
その他
[編集]- 牛尾憲輔(音楽家)
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c “株式会社サイエンスSARUの求人・中途採用情報”. リクナビNEXT. リクルート. 2022年3月17日閲覧。
- ^ a b c d “STAFF”. 映画『夜明け告げるルーのうた』公式サイト. 2017年1月24日閲覧。
- ^ a b c “代表取締役交代と新体制について”. sciencesaru (2020年4月3日). 2020年4月4日閲覧。
- ^ a b c “アドベンチャー・タイム「フードチェーン」湯浅政明監督&チェ・ウニョンインタビュー 作品のため会社も設立!”. アニメ!アニメ!. (2015年1月1日) 2017年1月24日閲覧。
- ^ a b c d e f g h “アニメ『ピンポン』の斬新さは、Flash使いに秘密があった! Science SARUへ行く”. WIRED.jp. (2014年9月10日) 2017年1月24日閲覧。
- ^ “星野源×湯浅政明「夜は短し歩けよ乙女」劇場アニメ化、「四畳半」メンバー再集結”. 映画ナタリー. 2017年1月24日閲覧。
- ^ “『四畳半神話大系』や『ピンポン』を手掛けた湯浅政明監督初のオリジナル作品『夜明け告げるルーのうた』が公開決定!”. アニメイトタイムズ. 2017年1月24日閲覧。
- ^ a b “湯浅政明がサイエンスSARU社長を退任、「犬王」監督は引き続き担当”. 映画ナタリー. 2020年4月4日閲覧。
- ^ “湯浅政明監督、「サイエンスSARU」代表取締役社長を退任 「休みながら次の準備を始めるつもりです」”. ねとらぼ. アイティメディア (2020年4月1日). 2022年8月21日閲覧。
- ^ “About Netflix - Netflix、日本と韓国の大手製作スタジオ4社と新たに提携を結び、アニメ番組を強化”. About Netflix (2020年10月23日). 2021年5月14日閲覧。
- ^ “「スター・ウォーズ」とプロダクションIG、TRIGGERなど日本のアニメスタジオがタッグ! 短編アニメ配信”. cinemacafe.net. イード (2021年7月4日). 2022年8月21日閲覧。
- ^ “これがサイエンスSARUの描く「スター・ウォーズ」だ! 「赤霧」「T0-B1」あらすじ&場面カット公開”. アニメ!アニメ!. イード (2021年9月16日). 2022年8月21日閲覧。
- ^ 『キネマ旬報 8月号』キネマ旬報社、2024年。
- ^ “東宝、アニメスタジオのサイエンスSARUを買収…アニメ制作能力を強化、成長中のアニメ事業の拡大スピードをさらに加速へ”. gamebiz (gamebiz). (2024年5月23日) 2024年5月24日閲覧。
- ^ a b 渡辺麻紀 (2022年1月21日). “湯浅政明 挑戦から学んだこと 第7回 『四畳半神話大系』あっての『夜は短し歩けよ乙女』 (1/2)”. ぴあ 2022年8月23日閲覧。
- ^ “TVアニメ『平家物語』最新PV&ビジュアル公開 特番放送が決定”. スパイス. (2021年12月8日) 2023年4月19日閲覧。
- ^ オリジナルショートアニメ大作戦!「サイエンスSARU所属クリエイターが90秒のアニメを制作、MBSの全国ネットで放送」『コミックナタリー』ナターシャ、2024年2月2日。2024年10月9日閲覧。
- ^ オリジナルショートアニメ大作戦!「サイエンスSARU所属クリエイターが90秒のアニメを制作、MBSの全国ネットで放送」『コミックナタリー』ナターシャ、2024年2月2日。2024年10月9日閲覧。
- ^ オリジナルショートアニメ大作戦!「サイエンスSARU所属クリエイターが90秒のアニメを制作、MBSの全国ネットで放送」『コミックナタリー』ナターシャ、2024年2月2日。2024年10月9日閲覧。
- ^ “攻殻機動隊の新作TVアニメ、サイエンスSARU制作で2026年に放送 士郎正宗の原画展開催”. コミックナタリー. (2024年5月25日) 2024年5月26日閲覧。
- ^ “森見登美彦『四畳半タイムマシンブルース』特設サイト”. 2021年8月12日閲覧。
- ^ “湯浅政明監督の手で『デビルマン』がアニメ化! 今まで一度も実現していなかった原作漫画の結末までをアニメーションで描く!”. アニメイトタイムズ. アニメイト (2017年3月16日). 2023年8月31日閲覧。
- ^ “『SUPER SHIRO(スーパーシロ)』公式サイト”. 2019年7月11日閲覧。
- ^ “湯浅政明が「日本沈没」をNetflixでアニメ化!2020年のオリンピック直後が舞台”. コミックナタリー (2019年10月9日). 2019年10月9日閲覧。
- ^ “'Scott Pilgrim' Anime Series in the Works From UCP, Netflix (Exclusive)”. ハリウッド・リポーター (2022年1月7日). 2023年8月31日閲覧。
- ^ “「アドベンチャー・タイム」ミニシリーズを日本初放送 OPは湯浅政明率いるサイエンスSARU”. WIRED.jp. (2016年6月29日) 2017年1月26日閲覧。
- ^ 「【アニメ業界就職講義#2 イベントレポート 】制作進行職の仕事の幅広さと会社ごとの多様性が浮き彫りに!」『W@KU WORK』ワクワーク、2019年7月22日。2024年10月9日閲覧。
外部リンク
[編集]- 公式ウェブサイト
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