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オウシュウヨモギ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
オウシュウヨモギ
オウシュウヨモギ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : キク亜綱 Asteridae
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
亜科 : キク亜科 Asteroideae
: ヨモギ属 Artemisia
: オウシュウヨモギ Artemisia vulgaris
学名
Artemisia vulgaris
L.1753
シノニム
和名
オウシュウヨモギ

オウシュウヨモギ(欧州蓬、学名: Artemisia vulgaris)は、ヨモギ属である[1]

温帯ヨーロッパアジアアフリカ北部、アラスカに自生し、外来種としてアメリカ北部に帰化している[2]。道端などの窒素含有土壌に生える非常に一般的な植物である。日本にも帰化し自生している。

英語では一般的に mugwort と呼ばれるが、elon herbchrysanthemum weedwild wormwoodold Uncle Henrysailor's tobacconaughty manold manSt. John's plant[注 1]など、多くの別名を持つ[3]Mugwort の語源は、古高ドイツ語の根を意味する wurz と、古ノルド語の植物を意味する urt を由来として、古英語で成立したと考えられる[4]

特長

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花と葉の形状

オウシュウヨモギは、高さ1-2 m(稀に2.5 m)に育つ多年草草本植物である。葉は5-20 cmの長さで、濃い緑、下側全体に白い毛を持ち、特徴的な葉形状を持っている。茎には溝があり、しばしば赤紫がかった色合いをしている。花は5mm程度で、黄色か暗赤色で放射状で対称性のある形状である。

用途

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鉄器時代の初期には、香りのある飲み物として飲用されていた[5]精油には毒性のあるツジョンを含み、防虫剤として効果がある。特に幼虫に効果がみられる[6]

葉の裏の毛は、火口として使われる。

食料

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花をつける前に採取した芽や葉は、肉や魚に苦めの風味を付けるのに利用された。ビールホップが導入される前に、風味を付けるのに使用されていた[5][7]

薬草

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10世紀の異教徒の書物「九つの薬草の呪文」に Mucgwyrt とあるように薬草として知られる[8]。中世ヨーロッパでは、魔除けのハーブとして使われた。庭には、虫よけとして植えられた。古来から旅行者の疲労回復と、悪霊と動物避けに用いられた。ローマの兵士たちは、疲労対策にサンダルに入れた[9]

グリーブの『近代ハーブ』(A Modern Herbal:1931)には、「中世において、Cingulum Sancti Johannis聖ヨハネの帯)と呼ばれていた。バプテスマのヨハネが荒野でそれの腰巻を身に着け、聖ヨハネの前夜祭にこれの束で作った冠をかぶり、魔から身を守ったと信じられていたことによる。オランダドイツでは、この由来から St. John's Plant と呼び、聖ヨハネの前夜祭に身に着け、厄や病気から身を守る信仰がある。」と記されている[10]

アレルギー

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この植物の花粉は、北ヨーロッパ、北米、アジアの一部の花粉症アレルギー喘息の原因の一つとされている[11][12]。9-11時に最も空気中の濃度が高くなる[13]

地名

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1986年に原子力発電所事故が起こったことで知られるチョルノービリは、「黒い草(又は茎)」という意味があり、本種に由来するとされる[注 2]

脚注

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注釈

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  1. ^ オトギリソウ属(セントジョンズワート)ではない
  2. ^ ただし、ニガヨモギと混同されていることもある。

出典

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  1. ^ BSBI List 2007” (XLS). Botanical Society of Britain and Ireland. 2015年2月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月17日閲覧。
  2. ^ USDA PLANTS Database, "Profile for Artemisia vulgaris"
  3. ^ Ohio Perennial and Biennial Weed Guide: Mugwort Artemisia vulgaris”. 著:オハイオ州農業研究開発センター, オハイオ州立大学. 19 May 2011時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月12日閲覧。
  4. ^ Merriam Webster Dictionary
  5. ^ a b Edwards, Lin (17 January 2011). “Brewery from 500 BC reveals its secrets”. Archeology & Fossils. Physics News. doi:10.1007/s12520-010-0049-5. 17 January 2011閲覧。
  6. ^ Lust, J. (2005) The Herb Book 604.
  7. ^ Llewellyn's 2010 Herbal Almanac by Llewellyn
  8. ^ Stephen Pollington "Leechcraft: Early English Charms, Plantlore and Healing"
  9. ^ Wright, Colin, Ed. (2002). Artemisia. London; New York: Taylor & Francis. pp. 144. ISBN 0-415-27212-2. https://books.google.co.jp/books?id=t0MtnKDvLLwC&pg=PA144&lpg=PA144&dq=roman+soldiers+mugwort&redir_esc=y&hl=ja 
  10. ^ Grieve, Maud (1971). A Modern Herbal: The Medicinal, Culinary, Cosmetic and Economic Properties, Cultivation and Folk-lore of Herbs, Grasses, Fungi, Shrubs, & Trees with All Their Modern Scientific Uses, Volume 2 
  11. ^ http://www.fasebj.org/cgi/content/full/17/1/106
  12. ^ http://www.weather.com/outlook/health/allergies/common/allergens/AK-allergen-192?from=allergy_allergenstate_more
  13. ^ http://www.allergia.com/index.phtml?s=849