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エンマノツノガイ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
エンマノツノガイ科
生息年代: 始新世現世
[1]
Campanile giganteum
分類
: 動物Animalia
: 軟体動物Mollusca
: 腹足綱 Gastropoda
亜綱 : 新生腹足類 Caenogastropoda
: 吸腔類 Sorbeoconcha
上科 : エンマノツノガイ上科 Campaniloidea
: エンマノツノガイ科 Campanilidae
学名
Campanilidae (Douvillé, 1904)

エンマノツノガイ科は、腹足類の分類によると、新生腹足類、吸腔類に属する巻貝の科である。今から約5千万年前、温暖で火山活動が活発で炭酸が豊富であった始新世に、テチス海で繁栄した種族である。
Campanile giganteumの化石がパリ盆地で見つかっており、螺旋に沿った殻の成長速度は60cm/年と速く、殻長は60cmに達した[1]。浅い海底の藻類を食べていたと考えられている。オニノツノガイ類と近縁であるが、近い時期に発生した植物食性のソデボラ科が広範囲に分化・分布したのとは対照的に、本科は現在ではエンマノツノガイ Campanile symbolicumのみが生息し、他の種は絶滅してしまった[2]
エンマノツノガイ雄性先熟ペニスはなく、精子には異型があり精夾に収められ、成熟したメスが受け取る。メスの輸卵管は開いていて他の新生腹足類に比べると生殖器の発達段階は古い(下表参照)[3]。ゼリー状の卵塊の中に管状の卵嚢がつつまれて産まれる。ベリジャー幼生期は卵塊のなかで進行し、稚貝は球状で表面は滑らか。このように浮遊幼生期を経ず直接巻貝として生まれるため、生息域はオーストラリア南西部に限られ、潮間帯下の砂底に生息する[2]

表 エンマノツノガイと比較的近い科の特徴[2][3][4][5]
項目 エンマノツノガイ オニノツノガイ科 タニシ
性別 雄性先熟 雌雄別あり 雌雄別あり
ペニス なし なし 右触角
精子の形態 精夾, 異型あり 精夾 異型あり
輸卵管 溝状に開く 同左 閉じる
産卵 卵塊 紐状卵塊 卵胎生
殻口 45度で切れ込む 水管溝あり 丸い

種類

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エンマノツノガイ科 Campanilidae にはエンマノツノガイ属 Campanile のみが属する。主な種を下表に示す[6][7][8][9]。なお†印は化石種を、単位のMaは百万年前を表す。

表 エンマノツノガイ科の貝
種名 時代 殻長 分布
C. auvertianum バートニアン始新世)41-38Ma 30cm以下
C. brookmani 暁新世 61Ma パキスタン
C. cornucopiae 始新世 5cm以下
C. giganteum 暁新世 56Ma-中新世 11Ma 60cm以下 イングランド-インドネシア
C. symbolicum 鮮新世 3Ma-現生 24cm以下 オーストラリア南西部

出典

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  1. ^ a b Niels J. de Winter et al. (2020). “The Giant Marine Gastropod Campanile Giganteum (Lamarck, 1804) as a High‐Resolution Archive of Seasonality in the Eocene Greenhouse World”. Geochemistry, Geophysics, Geosystems. doi:10.1029/2019GC008794. https://agupubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1029/2019GC008794 2021年9月20日閲覧。. 
  2. ^ a b c Richerd S. Houbrick (1981). “Anatomy, Biology and Systematics of Campanile Symbolicum with Reference to Adaptive Radiation of the Cerithiacea”. Malacologia 21: 263-279. https://hdl.handle.net/10088/6221 2021年9月23日閲覧。. 
  3. ^ a b Rachel Collin (2019). “Transistions in Sexual and Reproductive Strategies Among the Caenogastropoda”. Transitions Between Sexual Systems: 193-220. doi:10.1007/978-3-319-94139-4. https://link.springer.com/book/10.1007/978-3-319-94139-4 2021年9月24日閲覧。. 
  4. ^ 奥谷喬司『世界文化生物大図鑑『貝類』』世界文化社、2004年。ISBN 4-418-04904-5 
  5. ^ Joseph R. Houbrick (1971). “Some Aspects of the Anatomy, Reproduction, and Early Development of Cerithium nodulosum (Bruguiere) (Gastropoda, Prosobranchia)”. Pacific Science (University of Hawai'i Press) 25: 560-565. https://hdl.handle.net/10125/4291 2021年9月27日閲覧。. 
  6. ^ Campanilidae”. WoRMS. 2021年9月23日閲覧。
  7. ^ Campanile giganteum”. Mindat. 2021年9月20日閲覧。
  8. ^ Campanile symbolicum”. Mindat. 2021年9月20日閲覧。
  9. ^ Campanile symbolicum”. International Fossil Shell Museum. 2021年9月23日閲覧。

外部リンク

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