エルズワース・ハンティントン
エルズワース・ハンティントン Ellsworth Huntington | |
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生誕 |
1876年9月16日 アメリカ合衆国イリノイ州ゲイルスバーグ |
死没 |
1947年10月17日(71歳没) アメリカ合衆国コネチカット州ニューヘイブン |
国籍 | アメリカ合衆国 |
研究分野 |
地理学 経済学 |
研究機関 | イェール大学 |
出身校 | ハーバード大学、イェール大学 |
主な業績 | 環境決定論・経済成長論 |
影響を 与えた人物 | ウィリアム・モーリス・ディヴィス |
プロジェクト:人物伝 |
エルズワース・ハンティントン(Ellsworth Huntington、1876年9月16日 – 1947年10月17日)は、アメリカ合衆国の地理学者・経済学者。20世紀初頭のイェール大学の地理学の教授を務め、環境決定論・経済成長論・経済地理学の研究で知られる。1917年にアメリカ生態学会(Ecological Society of America)の会長、1923年にアメリカ地理学会の会長、1934年から1938年にかけてアメリカ優生学協会の理事長を務めた。地形輪廻で知られるウィリアム・モーリス・ディヴィスの弟子である[1]。
経歴
[編集]ハーバード大学とイェール大学で地質学を修める[2]。1897年から1901年にかけてトルコのユーフラテス・カレッジ(Euphrates College)で教鞭を執り、1903年にラファエル・パンペリー(Pumpelly)と、1905年から1906年にバレット(Barrett)とともに中央アジアの探検に出かけた。その体験は『トルキスタンでの探検』(Explorations in Turkestan、1905年刊)と『アジアの鼓動』(The Pulse of Asia、1907年刊)に綴られている。1907年からはイェール大学で地理学の授業を担当し、1915年まで続け、1917年からは同学の研究員として気候学と人文地理学(人類地理学)の研究に主に時間を費やした。1920年になるとハンティントンの著書『アジアの鼓動』(The Pulse of Asia)を読んで数学よりも地理学への興味が高まっていたリチャード・ハーツホーンとの文通が始まり、ハーツホーンにコロンビア大学・ペンシルベニア州立大学・シカゴ大学のいずれかで地理を専攻することを薦め、ハーツホーンはシカゴ大学大学院に進んだ[3]。この時、ハンティントンがイェール大学に来ることを薦めなかったのは、1915年にイェール大学が地理学科を閉鎖し、地理学の教授がハンティントン一人になったためである[3]。
1909年、ハンティントンはパレスチナへのイェール大学の探検隊を率いた。これは、彼の研究課題であった「地質構造、地形形成、現在と過去の気候が人類の進歩と歴史を規定する着実なプロセスと、いかなる物理的環境下においてもほとんど起こり得ない思想システムの発達における無数の部分がこのようにして展開されること」を証明すること[4]、すなわち環境決定論の確証をつかむことを目的としていた。
1941年よりハンティントンはサイクル研究財団(Foundation for the Study of Cycles)の創立時の委員となった。
環境決定論で知られるハンティントンではあるが、晩年には「気候変動は文明の興亡の一条件にすぎない」と述べている[5]。
著作
[編集]- 『アジアの鼓動:歴史の地理学的基礎で綴る中央アジア旅行』(The Pulse of Asia: A Journey in Central Asia Illustrating the Geographic Basis of History)1907年
- 『パレスチナとその変化』(Palestine and Its Transformation )1911年
- "気候と歴史の変動"(Changes of Climate and History)American Historical Review.18(2):213-232, 1913年
- 『気候要素』(The Climatic Factor)1914年
- 『文明と気候』(Civilization and Climate)1915年、1924年再版
- "気候変動とローマ陥落の要素としての農業的消耗"(Climatic Change and Agricultural Exhaustion as Elements in the Fall of Rome)Quarterly Journal of Economics.31(2):173-208, 1917年
- 『インディアンの大陸:アメリカ原住民年代記』(The Red Man's Continent: A Chronicle of Aboriginal America)1919年
- 『世界的強国と発展』(World-power and Evolution)1919年
- 『気候変動』Climatic Changes、Stephen Sargent Visherとの共著)1922年
- 『人種の特徴』(The Character Of Races)ISBN 040509955X 1924年
- 『太平洋の西』(West of the Pacific)1925年
- 『人類の居住地』(Human Habitat) (1927)
- "農業生産性と人口の圧力"(Agricultural Productivity and Pressure of Population)Annals of the American Academy of Political and Social Science(International Tensions).198:73-92, 1938年
- 『人文地理学の原理』(Principles of Human Geography、S. W. Cushingとの共編)1940年
- Huntington, Ellsworth (1943). “The geography of human productivity [人間生産性の地理学]”. Annals of the Association of American Geographers (Routledge) 33 (1): 1-31. doi:10.1080/00045604309357242 .
- 『文明の推進力』(Mainsprings of Civilization)1945年
関連文献
[編集]- Fonaroff, L Schuyler (1965). “Was Huntington right about human nutrition?”. Annals of the Association of American Geographers (Taylor & Francis) 55 (3): 365-376. doi:10.1111/j.1467-8306.1965.tb00525.x .
- Martin, Geoffrey J. (1973) "Ellsworth Huntington: His Life and Thought"
- Spate, OHK (1974). Ellsworth Huntington: A Geographical Giant. JSTOR. doi:10.2307/1797015 .
脚注
[編集]- ^ 『20世紀の地理学者』, p. 311.
- ^ 杉浦ほか(2005):36ページ
- ^ a b 『20世紀の地理学者』, p. 81
- ^ http://www.library.yale.edu/judaica/exhibits/webarch/front/Huntingtoncollection.html
- ^ 木内信蔵「書評.経済地理学の課題としての環境」『成城大學經濟研究』第50巻、成城大学経済学会、1975年7月、145-150頁、ISSN 03874753、CRID 1050282812449047680。
参考文献
[編集]- 竹内啓一, 杉浦芳夫, 山野正彦, 久武哲也, 秋山元秀, 林上, 榧根勇, 鈴木秀夫, 森川洋, 平川一臣, 山本健児, 高橋伸夫, Kishimoto Haruko, 三橋節子, 石光亨, 吉野正敏, 宮川泰夫, 手塚章, 阿部一, 礒部啓三, 水岡不二雄, 金田章裕, 矢野桂司『20世紀の地理学者』古今書院、2001年。ISBN 4-7722-6004-8。 NCID BA53596547 。
- 杉浦章介・松原彰子・武山政直・髙木勇夫『人文地理学-その主題と課題-』慶應義塾大学出版会、2005年4月20日、389pp. ISBN 4-7664-1132-3
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- Ellsworth Huntingtonの作品 (インターフェイスは英語)- プロジェクト・グーテンベルク
- The Secret of the Big Trees: Yosemite Sequoia and General Grant National Parks (1921) by Ellsworth Huntington
- Articles authored in Harper's Magazine
- Ellsworth Huntingtonの作品 (インターフェイスは英語)- プロジェクト・グーテンベルク
- エルズワース・ハンティントンの著作 - LibriVox(パブリックドメインオーディオブック)
- エルズワース・ハンティントンに関連する著作物 - インターネットアーカイブ
- Articles authored in Harper's Magazine
- Ellsworth Huntington Papers (MS 1). Manuscripts and Archives, Yale University Library.