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アル・シディク級ミサイル艇

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アル・シディク級ミサイル艇
517 ファイサル
基本情報
艦種 ミサイル艇
建造所 ピーターソン造船所[1][2][3]
運用者  サウジアラビア海軍[1][2][3]
就役期間 1980年 - 就役中[1][2][3]
建造数 9隻[1][2][3]
次級 バドル級コルベット
要目
基準排水量 425トン[3]
満載排水量 495トン[1][2]
全長 58.02 m[3]
最大幅 8.08 m[3]
吃水 1.95 m[3]
機関方式 CODOG方式[1][2][3]
主機
推進器 スクリュープロペラ×2軸
最大速力 38ノット[1][2]
航続距離 2,900海里(14ノット時)[2]
乗員 38名(うち士官5名)[1][2]
兵装
C4ISTAR リンクW 戦術データ・リンク
FCS Mk.92 mod.5 艦砲用[1][2][3]
レーダー AN/SPS-55 水上捜索/航海用[1][2]
光学機器 サファイア 前方監視赤外線センサー(後日装備)[1][2]
電子戦
対抗手段
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アル・シディク級ミサイル艇英語: Al-Siddiq-class missile boat)は[注 2]サウジアラビア海軍ミサイル艇の艦級[1][7]アメリカウィスコンシン州にあるピーターソン造船所によって9隻が建造された[1]

当初はPGG-1から9までの記号・数字のみで呼ばれていたが[3]、後にサウジアラビア王族の名前に由来する艦名が付与された[1]

設計

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1977年2月に発注されたミサイル艇であり、設計は同年にタコマ・ボート造船所に発注されたバドル級コルベットと同じく、PCFG(高速ミサイル哨戒艇)設計に基づいている[1]。バドル級と比較すると、推進機構成は同一だが兵装はやや縮小されており、対艦ミサイル搭載数は半分で対潜戦装備も搭載されていない[1]。艦型は中央船楼型で、高速戦闘艇としては珍しく煙突を装備している[7]。またフィンスタビライザーも設置されている[3]。なお建造にあたっては、設計排水量を超過してしまい、就役の遅延につながった[3]

機関はCODOG方式で、高速航行用の「LM2500 ガスタービンエンジン1基(23,000 shp)と巡航用のMTU 12V 652TB91ディーゼルエンジン2基(計3,485 bhp)を組み合わせて、2軸の可変ピッチプロペラを駆動している[1][2]。艇のサイズと比較すると極めて高出力の機関であり、速力は高速航行時で38ノット、巡航時で25ノットを発揮できる[1][2]。航続距離は14ノット時で2,900海里[2]、30ノットで600海里である[3]

装備

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本級は、艦砲用の射撃指揮システム(FCS)としてMk.92 mod.5を搭載するが、これはXバンド捕捉火器管制レーダーを備えており、アンテナ艦橋上部の球形レドーム内に収容されている[1][2][3]。このほか、水上捜索/航海レーダーとして、マストAN/SPS-55が搭載されている[1][2]。また電子戦・対抗装備として、AN/SLQ-32(V)1電波探知機と、Mk 137 6連装デコイ発射機2基を搭載している[1][2]

砲熕兵器としては、艦首甲板にMk 75 mod 0 62口径76mm単装速射砲オート・メラーラ社のコンパット砲をFMC社がライセンス生産した砲)を、艦尾にはMk 15(ファランクス・ブロック0) 20mmCIWSを搭載している[1][4][2][3]。また、上部構造物の艦尾側にはハープーン ブロック1B艦対艦ミサイルの連装発射筒2基を舷側に向けて設置している[1][4][2]。このほか、70口径20mm機関砲[3][注 1]、81mm迫撃砲2基、「Mk19」40mm自動擲弾銃2基を装備している[1][2]

本級はサウジアラビア海軍の軍務では概ね成功を収めており、就役以来大きな改良は行われていないが、「サファイア」前方監視赤外線装置リンクW データリンクシステムが後日装備されている[1][2]

同型艦

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一覧表

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番号 艦名 建造所 進水 就役 状況
511[2] アル・シディク[1][注 2]
Al Siddiq[2]
ピーターソン造船所[1] 1979年
9月22日[2]
1980年
12月15日[2]
現役[4]
513[2] アル・ファロウク[1]
Al Farouq[2]
1980年
5月17日[2]
1981年
6月22日[2]
515[2] アブドゥル・アジズ[1]
Abdul Aziz[2]
1980年
8月23日[2]
1981年
9月3日[2]
517[2] ファイサル[1]
Faisal[2]
1980年
11月15日[2]
1981年
11月23日[2]
519[2] クハリドゥ[1]
Khalid[2]
1981年
3月23日[2]
1982年
1月11日[2]
521[2] アミール[1]
Amyr[2]
1981年
6月13日[2]
1982年
6月21日[2]
523[2] タリク[1]
Tariq[2]
1981年
9月23日[2]
1982年
8月11日[2]
525[2] オクバー[1]
Oqbah[2]
1981年
12月12日[2]
1982年
10月18日[2]
527[2] アブー・オバイダー[1]
Abu Obaidah[2]
1982年
4月3日[2]
1982年
12月6日[2]

運用史

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「ファイサル」は1991年の湾岸戦争中に損害を受けたが、修理を受けて1994年に復帰した[1][2]

2009年時点で、「アミール」と「タリク」はジッダ、残りの艇はアル・ジュバイルを拠点としている[2]。2023年時点で全艇が現役である[4]

脚注

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注釈

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  1. ^ a b 80口径とする資料もある[1][2]
  2. ^ a b ネームシップの艦名の由来であるアブー・バクルは、「アル・スィッディーク」との表記が一般的である[5][6]

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar 『週刊ワールド・ウェポン No.91』デアゴスティーニ、2004年6月29日。 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as at au av aw ax ay az ba bb bc bd be bf bg bh bi bj bk bl bm bn bo bp bq Saunders 2015, p. 741.
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t Wertheim 2013, p. 648.
  4. ^ a b c d e f IISS 2023, p. 352.
  5. ^ 竹田 1999.
  6. ^ 光成 & 山本 2021.
  7. ^ a b 海人社 1995, p. 31.

参考文献

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