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アドバンテーム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

アドバンテーム(Advantame)とは、アスパルテームの誘導体であり、人工甘味料の1つである。砂糖の約14000~48000倍[1]の甘さを持つ。E番号は、E969。CAS登録番号は、714229-20-6。

構造

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アドバンテームの構造。メタノールフェニルアラニンアスパラギン酸脱水縮合しているところまでは、アスパルテームと同じであることが見て取れる。
(参考)アスパルテームの構造。

アドバンテームはアスパルテームの誘導体である。アスパルテームが持つアミノ基が化学修飾され、第1級アミンだったものが、第2級アミンに変化している。この化学修飾されたアミノ基は、アスパルテームの部分構造であるアスパラギン酸のアミノ基である。アスパラギン酸とフェニルアラニンは、アミド結合でつながっているわけだが、これは一般的なタンパク質と同様のペプチド結合である。

なお、参考までに、アスパルテームを経口投与すると、消化管内で加水分解を受けて、メタノール、フェニルアラニン、アスパラギン酸にまで分解され、フェニルアラニン、アスパラギン酸は一般的なアミノ酸と同様に代謝されること、すなわち、タンパク質の材料にされたり、脱アミノ化されてエネルギー源にされることが判っている[2][3]

歴史

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アドバンテームは味の素株式会社が開発した人工甘味料である[4]2014年アメリカ食品医薬品局欧州委員会から食品添加物としての認可を受け[5]、EU諸国ではE番号「E969」が与えられた。日本でも2014年に厚生労働省から認可を受けた[6]。アドバンテームを味の素はスクロースの2万倍の甘味を持った甘味料だと売り出し[7]、「パルスイートカロリーゼロ」の液体タイプに用いている[8]

用途

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アドバンテームは人工甘味料であり、乳製品氷菓飲料チューインガムなどに使用されることが想定されている[9]

危険性と安全性の評価

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アドバンテームは、動物実験発がん性と発生毒性が存在するという証拠は、見つかっていない[10]

なお、参考までに、アドバンテームもアスパルテームと全く同じ、構造中に有毒なメタノールを遊離させ得る部分を持っている(双方1分子につき1メタノールの遊離が発生しうる)。そしてアスパルテームを経口投与すると、メタノールを遊離することも判っている。

ただ、スクロースの200倍程度の甘味しか持たないアスパルテームの場合でも、食品添加物として普通に使うアスパルテームの量は微量であるため[11]、健常であれば、遊離されたメタノールによる急性毒性は、事実上問題にならない[12][13]

出典

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  1. ^ アドバンテームの食品添加物の指定に関する部会報告書(案) (PDF) |厚生労働省 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会 なお、この資料表1からは、砂糖等価甘味度が低い場合において砂糖比の甘味倍率が高く、砂糖等価甘味度が高い場合において砂糖比の甘味倍率が低くなる傾向にある事が分かる。
  2. ^ Opperman JA et al; J NUTR 103 (10): 1460-6 (1973)
  3. ^ Trefz F et al; Human Genetics 93 (4): 369-74 (1994)
  4. ^ “FDA Approves New No-Calorie Sweetener”. Medscape. (May 21, 2014). http://www.medscape.com/viewarticle/825427 22 May 2014閲覧。 
  5. ^ 味の素(株)の新甘味料「アドバンテーム」欧州と米国で食品添加物認可を取得、2014年5月27日、味の素、2017年10月8日閲覧
  6. ^ 味の素/新甘味料「アドバンテーム」、日本でも認可取得、2014年6月18日、2017年10月8日閲覧
  7. ^ Food Additives & Ingredients - Additional Information about High-Intensity Sweeteners Permitted for Use in Food in the United States”. 14 January 2018閲覧。
  8. ^ 商品ガイドブック―パルスイートカロリーゼロ、味の素
  9. ^ =Ajinomoto - Advantame Home
  10. ^ Otabe, A.; Fujieda, T.; Masuyama, T.; Ubukata, K.; Lee, C. (November 2011). “Advantame – An overview of the toxicity data”. Food and Chemical Toxicology 49: S2–S7. doi:10.1016/j.fct.2011.06.046. 
  11. ^ Butchko, H; Stargel, WW; Comer, CP; Mayhew, DA; Benninger, C; Blackburn, GL; De Sonneville, LM; Geha, RS et al. (2002). “Aspartame: Review of Safety”. Regulatory Toxicology and Pharmacology 35 (2 Pt 2): S1–93. doi:10.1006/rtph.2002.1542. PMID 12180494. 
  12. ^ Henkel, John (1999). “Sugar Substitutes: Americans Opt for Sweetness and Lite”. FDA Consumer Magazine 33 (6): 12–6. PMID 10628311. オリジナルの2007年1月2日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20070102024642/http://www.fda.gov/fdac/features/1999/699_sugar.html. 
  13. ^ Magnuson, B. A.; Burdock, G. A.; Doull, J.; Kroes, R. M.; Marsh, G. M.; Pariza, M. W.; Spencer, P. S.; Waddell, W. J. et al. (2007). “Aspartame: A Safety Evaluation Based on Current Use Levels, Regulations, and Toxicological and Epidemiological Studies”. Critical Reviews in Toxicology 37 (8): 629–727. doi:10.1080/10408440701516184. PMID 17828671.