アッティラ・ゾラー
アッティラ・ゾラー Attila Zoller | |
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出生名 | Attila Cornelius Zoller |
生誕 | 1927年6月13日 |
出身地 | ハンガリー ヴィシェグラード |
死没 | 1998年1月25日(70歳没) |
ジャンル | ジャズ、フリー・ジャズ |
職業 | ミュージシャン、発明家、教育者 |
担当楽器 | ギター |
活動期間 | 1960年 - 1998年 |
レーベル | Enja |
アッティラ・ゾラー[1](Attila Zoller、1927年6月13日[2] - 1998年1月25日)[3]は、ハンガリーのジャズ・ギタリスト。第二次世界大戦後、ソビエト連邦によるハンガリー占領から逃れるため、山岳地帯を徒歩でオーストリアに逃れた。1959年にアメリカに移住し、ミュージシャンおよび教育者として余生を過ごした。
略歴
[編集]ゾラーはハンガリーのヴィシェグラードで生まれた[2]。子供の頃、プロのヴァイオリニストである父親からヴァイオリンを習った[2]。在学中はフリューゲルホルンとベースを演奏していたが、後にギターを選んだ[2]。ソビエト連邦がハンガリーを占領していた間、彼は学校を中退し、ブダペストのジャズ・クラブで演奏していた[2]。ソビエト連邦が共産主義の軍事政権を樹立していた1948年に、ハンガリーから逃亡した[2]。彼はギターを抱えて山道を歩いてオーストリアに逃れた[2]。ウィーンに定住し、オーストリア国籍を取得し、アコーディオン奏者のヴェラ・アウアーとジャズ・グループを結成した[3]。
1950年代半ば、ゾラーはドイツに移住し、ドイツ人ミュージシャンのユタ・ヒップやハンス・コラーと演奏した[2]。オスカー・ペティフォードやリー・コニッツなどのアメリカ人ジャズ・ミュージシャンがドイツを訪れた際、彼らは彼にアメリカに移住するよう説得した[2]。彼はレノックス・スクール・オブ・ジャズの奨学金を得てアメリカに移住した[2]。彼の教師の一人はギタリストのジム・ホールで、ルームメイトはオーネット・コールマンだった。このコールマンが彼にフリー・ジャズへの興味を抱かせた[3]。
1962年から1965年にかけて、ゾラーはフルート奏者のハービー・マン、その後はリー・コニッツ、アルベルト・マンゲルスドルフとのグループで演奏した[2]。長年にわたり、ベニー・グッドマン、スタン・ゲッツ、レッド・ノーヴォ、ジミー・レイニー、ハービー・ハンコック、ロン・カーター、シャーリー・スコット、カル・ジェイダー、ジミ・ヘンドリックスと共演し、レコーディングを行った。また、1960年代にはニューヨークのジャズ・クラブでピアニストのドン・フリードマンと共演した[4]。
1974年、バーモント州でアッティラ・ゾラー・ジャズ・クリニックを開設。後にバーモント・ジャズ・センターと改名され、1998年までそこで教鞭を執った。彼は双方向ピックアップを発明し[2]、弦とシグネチャーギター・シリーズをデザインした。1989年から1998年にかけては、ドイツのヴィブラフォン奏者ヴォルフガング・ラッカーシュミットと多く共演するようになり、レコーディングも一緒に行った[5]。1998年にバーモント州タウンゼンドで亡くなる3週間前には、ニューヨークでトミー・フラナガンやジョージ・ムラーツと共演した[3]。
受賞歴と栄誉
[編集]- 生涯功労賞(ニューイングランド芸術財団)[6]
- ギタリストのデヴィッド・ベッカーがコーディネートとプロデュースを手掛けたトリビュート・アルバム『メッセージ・トゥ・アッティラ~アッティラ・ゾラーに捧ぐ』には、ギタリストのジョン・アバークロンビー、ジーン・バートンシーニ、ピーター・バーンスタイン、パット・メセニー、マイク・スターンらが演奏するゾラーの楽曲が収録されている[7]。
ディスコグラフィ
[編集]リーダー・アルバム
[編集]- 『ザ・ホライゾン・ビヨンド』 - The Horizon Beyond (1965年、Emarcy)
- 『ZO-KO-SO』 - Zoller Koller Solal (1966年、SABA) ※with ハンス・コラー、マーシャル・ソラール
- 『カッツ・ウント・マウス』 - Katz & Maus (1967年、SABA)
- 『ZO-KO-MA』 - Zo-Ko-Ma (1968年、MPS) ※with リー・コニッツ、アルベルト・マンゲルスドルフ
- 『ジプシー・クライ』 - Gypsy Cry (1970年、Embryo)
- 『ギター・ジーニャス・イン・ジャパン』 - Guitar Genius In Japan (1970年、Overseas) ※ケニー・バレル、ジム・ホールとのスプリット盤
- 『デュオローグ』 - Duologue (1971年、Express) ※with 佐藤允彦
- 『会遇』 - A Path Through Haze (1972年、MPS/BASF) ※with 佐藤允彦
- 『ドリーム・ベルズ』 - Dream Bells (1976年、Enja)
- 『コモン・コウズ』 - Common Cause (1979年、Enja)
- 『ベック&ゾラー』 - Beck & Zoller (1979年、Progressive) ※with ジョー・ベック
- 『ジム&アイ』 - Jim & I (1980年、L+R) ※with ジミー・レイニー
- 『ザ・K&K・トリオ・イン・ニューヨーク』 - The K & K 3 in New York (1980年、L+R) ※with ハンス・コラー、ジョージ・ムラーツ
- 『コンジャンクション』 - Conjunction (1981年、Inner City)
- 『ジム&アイ・ライヴ』 - Jim & I Live (1981年、L+R) ※with ジミー・レイニー
- 『ジム&アイ・ライヴ・アット・クオシモード』 - Jim & I Live At Quasimodo (1986年、L+R) ※with ジミー・レイニー
- 『メモリーズ・オブ・パノニア』 - Memories of Pannonia (1986年、Enja)
- 『オーヴァーカム』 - Overcome (1988年、Enja)
- Live Highlights '92 (1992年、Bhakti)
- 『ホエン・イッツ・タイム』 - When It's Time (1995年、Enja)
- Thingin (1996年、hat ART) ※with リー・コニッツ、ドン・フリードマン
- Lasting Love (1997年、Acoustic Music)
- 『ザ・ラスト・レコーディングス』 - The Last Recordings (2000年、Enja)
- Common Language (2002年、Acoustic Music)
- Jazz Soundtracks (2013年、Sonorama)
参加アルバム
[編集]- 『イン・スダメリカ』 - Doldinger in Sud Amerika (1965年、Philips)
- Dreams and Explorations (1965年、Riverside)
- 『メタモルフォーシス』 - Metamorphosis (1966年、Prestige)
- Exclusiv (1963年、SABA)
- 『トリニティ』 - Trinity (1979年、L+R) ※with ローランド・ハナ
- 『デュエット』 - Albert Mangelsdorff and His Friends (1977年、MPS)
- Mainhattan Modern Lost Jazz Files (2015年、Sonorama)
- The Jazz Sextet (2017年、Moosicus)
- 『ライヴ・アット・ニューポート』 - Herbie Mann Live at Newport (1963年、Atlantic)
- 『マイ・カインダ・グルーヴ』 - My Kinda Groove (1965年、Atlantic)
- 『アワ・マン・フルート』 - Our Mann Flute (1966年、Atlantic)
- 『中東の印象』 - Impressions of the Middle East (1967年、Atlantic)
- 『ビート・ゴーズ・オン』 - The Beat Goes On (1967年、Atlantic)
- The Oscar Pettiford Quartet (1958年、Ex Libris)
- The Legendary Oscar Pettiford (1975年、Black Lion)
その他
- ゲイリー・クロスビー : Gary Crosby (1957年、World Pacific)
- ラヨシュ・ドゥダシュ : Monte Carlo (1981年、Rayna)
- エミール・マンゲルスドルフ : 『メディテーション』 - Meditation (1994年、L+R)
- デイヴ・パイク : Manhattan Latin (1964年、Decca)
- シャーリー・スコット : 『ビッグ・バンズ・コレクション』 - Roll 'Em: Shirley Scott Plays the Big Bands (1966年、Impulse!)
- トニー・スコット : Tony Scott (1968年、Verve)
- カル・ジェイダー : Soul Burst (1966年、Verve)
- マイケル・ウルバニアク : We'll Remember Komeda (1973年、MPS/BASF)
参考文献
[編集]- Simon Géza Gábor: Mindhalálig gitár - Zoller Attila élete és művészete. Budapest, 2002. ISBN 963-204-716-8
- Géza Gábor Simon: Immens gut, Attila Zoller. Sein Leben und seine Kunst. Budapest 2003. ISBN 963-206-928-5
- Heinz Protzer: Attila Zoller. Sein Leben, seine Zeit, seine Musik. Erftstadt 2009. ISBN 978-3-00-026568-6
- Géza Gábor Simon: Guitar Forever - Attila Zoller Discography, Budapest 2011
脚注
[編集]- ^ 「アッティラ・ゾラ」の表記もある。
- ^ a b c d e f g h i j k l Colin Larkin, ed (1992). The Guinness Who's Who of Jazz (First ed.). Guinness Publishing. p. 444. ISBN 0-85112-580-8
- ^ a b c d “Attila Zoller | Biography & History”. AllMusic. 6 November 2016閲覧。
- ^ “Attila Zoller Recording Credits”. AllMusic. 2010年10月23日閲覧。
- ^ “Attila Zoller & Wolfgang Lackerschmid: Live Highlights '92 (remastered) (LP) – jpc” (ドイツ語). Jpc.de. 2021年6月23日閲覧。
- ^ “Zoller Receives Lifetime Achievement Award”. Enjarecords.com. 2011年6月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年10月23日閲覧。
- ^ “Message to Attila: The Music of Attilla Zoller”. AllMusic. 6 November 2016閲覧。
外部リンク
[編集]- Attila Zoller discography at JazzDiscography.com(アーカイブ)
- Vermont Jazz Center on Zoller(アーカイブ)
- アッティラ・ゾラー - Discogs