コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

アカグツ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アカグツ
アカグツ(Halieutaea stellata
分類
: 動物Animalia
: 脊索動物Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: アンコウ目 Lophiiformes
亜目 : アカグツ亜目 Ogcocephalioidea
: アカグツ科 Ogcocephalidae
: アカグツ属 Halieutaea
: アカグツ H. stellata
学名
Halieutaea stellata
(Vahl, 1797)
シノニム

Halieutaea maoria Powell, 1937

和名
アカグツ
英名
Starry handfish
Red batfish
水底に伏せているのを頭部近くから見る。

アカグツ (赤苦津、赤靴、学名Halieutaea stellata)は、条鰭綱アンコウ目アカグツ科に分類されるアカグツ属英語版の1海水魚底生魚

名称

[編集]

アカグツ」という和名の由来は、「赤靴」という漢字表記があるのに反して、[アカ()+ クツ()]の転訛形ではなく、[アカ(赤)+ クク(かえる〉の古語)]からの転訛であるという。これについては、日本テレビ系列世界一受けたい授業』2005年(平成17年)2月19日放送回で、[誰?]が、「『アカ(赤)+ クツ(ひきがえる〉の古語)』」という旨の解説をしている[1]TBS系列マツコの知らない世界』の2020年(令和2年)1月21日放送回では、さかなクンに師事したアマチュア研究者・鈴木香里武[注 1][2]、やはり「『アカ(赤)+ クツ(蟇の古語)』」という旨の解説をした[2]。ただ、「カエル(蛙)」の古語が鳴き声由来の擬声語「クク」であって[3][4]「ヒキガエル(蟇)」だけを指す古語というわけではないため、本項ではこの部分を修正した。それでも、ヒキガエルの古名に「タニグク(谷蟇、谷蟆)[5][3]」があり、これは神「多邇具久」の名でもあるように[3]、「クク」とヒキガエルの関係性は非常に強い。 一般的に食用とされない。

形質

[編集]

本州以南の日本列島周辺海域、東シナ海南シナ海インド洋に分布する。大陸棚から大陸斜面にかけて生息する底生魚

体長は約20 - 約30センチメートル。体色は赤く円盤状で、背面には数多くのを具える。仔魚成魚ともに泳ぐことが苦手で[2]、成魚は四肢のように胸鰭と腹鰭、計4本を使って海底を歩くように移動する。仔魚は浮力を稼げる風船のような丸いカプセル状の膜に胴体を包まれた形で遊泳生活を送る[2]。体構造や動きの分かる映像記録としては、上述した鈴木香里武が世界で初めて撮影に成功している[6][2]

産経新聞大阪本社『産経WEST』2012年(平成24年)1月16日刊では、「カエルのようでカエルでない」と紹介している[7]

ギャラリー

[編集]
  • 1. アカグツの生物画。百科事典 "Iconographia Zoologica" 所収。1700-1880年間の作。アムステルダム大学特別収蔵品館収蔵 (Special Collections of the University of Amsterdam)。
  • 2. アカグツの生物画。表側(背側)。左に同じ。
  • 3. アカグツの生物画。裏側(腹側)。左に同じ。
  • 4. 川原慶賀画『アカアンカウ』/文政6年-12年(1823-1829年)間の作。鉛筆デッサンおよび水彩シーボルトコレクションナチュラリス生物多様性センター蔵。
  • 5. 4.に同じ。

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 鈴木香里武(すずき かりぶ)。自称は「岸壁幼魚収集家」。東京都出身。主な収集拠点は沼津駿河湾)。著書に『わたしたち、海でヘンタイするんです。海のいきもののびっくり生態図鑑』(世界文化社)がある。

出典

[編集]
  1. ^ 世界一受けたい授業”. 公式ウェブサイト. 日本テレビ (2005年2月19日). 2013年2月26日閲覧。Archived 2013-02-25 at the Wayback Machine.
  2. ^ a b c d e ワイヤーアクション (2020年1月21日). “「マツコの知らない世界」 2020年1月21日(火)放送内容『【実は可愛いくて、美味しい深海魚 & 流木インテリア】』”. 価格.com テレビ紹介情報. 株式会社ワイヤーアクション. 2020年3月31日閲覧。 “アンコウの仲間で丸くて赤い体とトゲトゲが特徴の「アカグツ」の深海を歩く様子を紹介。幼魚が風船に入っている世界初映像を紹介した。”
  3. ^ a b c 吉田 2009, pp. 54–55.
  4. ^ 『学研 全訳古語辞典』. “たに-ぐく【谷蟇】”. ウェブリオ. 2020年3月31日閲覧。
  5. ^ 谷蟇”. コトバンク. 2020年3月30日閲覧。
  6. ^ 荒木涼子「「深海アイドル図鑑」 100回記念&最終回、拡大版 赤ちゃんは岸壁にいた」『毎日新聞毎日新聞社、2019年7月18日 東京朝刊。2020年3月31日閲覧。
  7. ^ 「カエルのようでカエルでない…アカグツ、串本の水族館で展示」『MSN産経west』産経新聞大阪本社、2011年1月28日。Archived 2012-01-16 at the Wayback Machine.

参考文献

[編集]
  • 吉田邦博『古事記と日本の神々―日本の神話を完全図解で一挙に解読!!』学研プラス〈古事記と日本の神々〉、2009年10月14日。OCLC 457131720 ISBN 4-05-404342-9ISBN 978-4-05-404342-8

関連項目

[編集]