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へびつかい座12番星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
へびつかい座V2133星から転送)
へびつかい座12番星
12 Ophiuchi
仮符号・別名 へびつかい座V2133星[1]
星座 へびつかい座
見かけの等級 (mv) 5.77[2]
変光星型 りゅう座BY型[1]
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α)  16h 36m 21.4492997704s[3]
赤緯 (Dec, δ) −02° 19′ 28.512485729″[3]
視線速度 (Rv) -13.0 km/s[3]
固有運動 (μ) 赤経: 456.429 ミリ秒/[3]
赤緯: -309.261 ミリ秒/年[3]
年周視差 (π) 100.8111 ± 0.0788ミリ秒[3]
(誤差0.1%)
距離 32.35 ± 0.03 光年[注 1]
(9.92 ± 0.008 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) 5.8[注 2]
物理的性質
半径 0.84 R[4]
質量 0.93 M[4]
表面重力 38 G[5][注 3]
自転速度 1.5 ± 0.2 km/s[5]
自転周期 21.3 [6]
スペクトル分類 K0 V[5]
光度 0.49 L[4]
表面温度 5,255 K[5]
色指数 (B-V) 0.827[2]
色指数 (V-I) 0.87[2]
金属量[Fe/H] -0.01[5]
年齢 2.581 ×109[5]
他のカタログでの名称
BD-01 3220, FK5 1433, GJ 631, HD 149661, HIP 81300, HR 6171, LHS 3224, LTT 6632, SAO 141269[3]
Template (ノート 解説) ■Project

へびつかい座12番星(へびつかいざ12ばんせい、12 Ophiuchi、12 Oph)は、へびつかい座の方角に約32.4光年の距離にある変光星である[3]彩層活動が活発な恒星で、黒点の存在と自転により変光していると考えられる[7]太陽にみられるような、活動周期も報告されている[8]

特徴

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大きさの比較
太陽 へびつかい座12番星
太陽 Exoplanet

へびつかい座12番星は、太陽よりも一回り小さい恒星で、スペクトル型がK0 Vと分類されるK型主系列星である[4][5]金属量、即ちヘリウムより原子量が大きい元素の量は、太陽とほぼ同程度とみられ、ソーラーアナログとして挙げられることもある[5]。彩層に由来するカルシウムH・K線が強く、自転速度も太陽と同水準なので、比較的若い恒星と考えられ、年齢はおよそ26億年と見積もられている[9][5]

へびつかい座12番星は、太陽系から近い太陽型の恒星であり、NASATPF計画で、優先すべき観測目標の第85位に挙げられていた[10]。しかし、TPF計画は2011年に中止となっている[11]

変光・活動周期

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1982年に、ヴィラノヴァ大学天文台での観測から、へびつかい座12番星が0.02程度の弱い変光を示すことが明らかになった。へびつかい座12番星は、活動が活発な恒星なので、黒点の存在は十分考えられ、発見された変光は、黒点と恒星の自転によって無理なく説明できるものであった[7]。結局、へびつかい座12番星はりゅう座BY型変光星に分類され、確定した変光星としてへびつかい座V2133星という変光星名も与えられている[1]。へびつかい座12番星の変光は、自転周期に伴うものの他に、より急速な変光も観測されていて、それは自転とは別に黒点自体が変化したことによるものと推測されている[7]

へびつかい座12番星の彩層輝線は、時間によって強度が変わることが知られていたが、ウィルソン山天文台が長期にわたってその変化を監視した結果、太陽活動周期のような周期的な変化が存在することがわかった。太陽では、その周期は約11年だが、へびつかい座12番星には複数の周期が存在し、短い周期は4年、長い周期は17.4年と推定されている[8]。また、へびつかい座12番星の自転周期は、活動が活発だった1980年から1981年にかけて減速し、平均自転周期が2日近く延びたことが観測された。減速は、その後数年で解消されている。このような自転の変化は、太陽を点光源とみなした場合に、太陽活動周期に従って同じような変化が現れることから、これもまた、へびつかい座12番星が太陽と似たような活動を起こしていることを示唆するものと考えられる[6]

脚注

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注釈

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  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。小数第1位まで表記
  3. ^ 出典での表記は、

出典

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  1. ^ a b c Samus, N. N.; et al. (2009-01), “General Catalogue of Variable Stars”, VizieR On-line Data Catalog: B/gcvs, Bibcode2009yCat....102025S 
  2. ^ a b c ESA (1997), The HIPPARCOS and TYCHO catalogues. Astrometric and photometric star catalogues derived from the ESA HIPPARCOS Space Astrometry Mission, ESA SP Series, 1200, Noordwijk, Netherlands: ESA Publications Division, Bibcode1997ESASP1200.....E, ISBN 9290923997 
  3. ^ a b c d e f g h 12 Oph -- Variable of BY Dra type”. SIMBAD. CDS. 2020年2月20日閲覧。
  4. ^ a b c d Wright, Nicholas J.; et al. (2011-12), “The Stellar-activity-Rotation Relationship and the Evolution of Stellar Dynamos”, Astrophysical Journal 743 (1): 48, Bibcode2011ApJ...743...48W, doi:10.1088/0004-637X/743/1/48 
  5. ^ a b c d e f g h i Gray, R. O.; et al. (2015-12), “The Young Solar Analogs Project. I. Spectroscopic and Photometric Methods and Multi-year Timescale Spectroscopic Results”, Astronomical Journal 150 (6): 203, Bibcode2015AJ....150..203G, doi:10.1088/0004-6256/150/6/203 
  6. ^ a b Katsova, M. M.; et al. (2010-02), “Differential rotation of some HK-Project stars and the butterfly diagrams”, New Astronomy 15 (2): 274-281, Bibcode2010NewA...15..274K, doi:10.1016/j.newast.2009.08.003 
  7. ^ a b c Dorren, J. D.; Guinan, E. F. (1982-11), “Evidence for starspots on single solar-like stars”, Astronomical Journal 87: 1546-1557, Bibcode1982AJ.....87.1546D, doi:10.1086/113245 
  8. ^ a b Baliunas, S. L.; et al. (1995-01), “Chromospheric Variations in Main-Sequence Stars. II”, Astrophysical Journal 438: 269-287, Bibcode1995ApJ...438..269B, doi:10.1086/175072 
  9. ^ Soon, Willie; Frick, Peter; Baliunas, Sallie (1999-01), “Lifetime of Surface Features and Stellar Rotation: A Wavelet Time-Frequency Approach”, Astrophysical Journal 510: L135-L138, Bibcode1999ApJ...510L.135S, doi:10.1086/311805 
  10. ^ Brown, Robert A. (2005-05), “Single-Visit Photometric and Obscurational Completeness”, Astrophysical Journal 624 (2): 1010-1024, Bibcode2005ApJ...624.1010B, doi:10.1086/429124 
  11. ^ Mullen, Leslie (2011年6月6日). “In Hunt for Alien Planets, Frustration Lingers Over Canceled Missions”. Space.com. 2020年2月20日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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