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くじら座9番星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
くじら座9番星
9 Ceti
星座 くじら座
見かけの等級 (mv) 6.39 [1]
変光星型 りゅう座BY型[2]
分類 G型主系列星
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α)  00h 22m 51.79s [3]
赤緯 (Dec, δ) −12° 12′ 34.0″ [3]
視線速度 (Rv) -2.47 km/s [4]
固有運動 (μ) 赤経:394 ミリ秒/年[3]
赤緯:60 ミリ秒/年[3]
年周視差 (π) 49.05±0.91 ミリ秒 [1]
距離 66.5±1.3 光年
20.4±0.4 パーセク
絶対等級 (MV) 4.84
物理的性質
半径 1.00±0.04 R[5]
質量 1.06±0.03 M[5]
表面重力 (log g) 4.45 [4]
自転周期 7.756±0.081[2]
スペクトル分類 G3V [4]
光度 0.96±0.09 L [6]
表面温度 5767 K [4]
色指数 (B-V) 0.659±0.004 [1]
金属量[Fe/H] +0.16 [4]
年齢 <1.8×109[5]
他のカタログでの名称
くじら座BE星, HIP 1803, HD 1835, GJ 9012, GJ 17.3, HR 88, BD-13 60, SAO 147237. [3]
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くじら座9番星 (9 Ceti, 9 Cet) とは、太陽系からくじら座の方角に67光年離れた位置にある太陽に似た恒星である。HD 1835くじら座BE星 (BE Ceti) とも呼ばれる。

概要

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くじら座9番星はスペクトル型がG3Vの主系列星で、質量光度半径表面温度などの基本的な性質は太陽とほとんど同じである。一方で、金属量が多く、自転周期が短く、年齢が若いといった点で太陽と異なっている[5][4]。また、くじら座9番星には7-8日周期の変光が観測されており、表面の黒点によって明るさを変えるりゅう座BY型変光星に分類されている[2]

黒点の活動

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くじら座9番星の変光が最初に発見されたのは1980年のことで、当初から黒点の存在によるものだと推測されていた[7]。その後スペクトル中に一酸化チタン一水素化カルシウムといった高温では存在できない化合物の吸収線が発見され、くじら座9番星に低温の領域(黒点)が存在する有力な証拠となった[8]

長期の観測では、くじら座9番星には6.7年(±0.7年)周期の活動サイクルが見られる。また、黒点の自転に伴う変光周期が時間と共に少しずつ短くなり、あるときに元の長い周期にリセットされるという現象も起きている。これは、黒点が自転周期の長い高緯度帯から短い低緯度帯に向けて移動し、新しい活動サイクルが来ると再び高緯度に現れるというパターンを繰り返しているためと解釈できる[2]。同様の黒点の移動は太陽にも見られる。

惑星系

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1999年までに太陽系近傍の76個の恒星を対象に行われた観測では、くじら座9番星の周りに質量の大きい太陽系外惑星は見つからなかった。仮に軌道半径1AUの惑星が存在すればその質量は木星の2倍以下、5AUの軌道なら5倍以下と見積もられている。より低質量の惑星や、大きな軌道を持つ惑星は、精度と観測期間の限界でよく分かっていない[9]

赤外線天文衛星 (IRAS) の観測によると、くじら座9番星の周囲にデブリ円盤が存在することが示唆されている[10]

参考文献

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  1. ^ a b c ESA (1997年). “The Hipparcos and Tycho Catalogues”. VizieR, CDS. 2009年11月28日閲覧。
  2. ^ a b c d Messina, S. & Guinan, E. F. (2003). “Magnetic activity of six young solar analogues II. Surface Differential Rotation from long-term photometry”. Astronomy and Astrophysics 409: 1017-1030. https://ui.adsabs.harvard.edu/abs/2003A%26A...409.1017M/abstract. 
  3. ^ a b c d e 9 Ceti, SIMBAD query result”. SIMBAD, CDS. 2009年11月28日閲覧。
  4. ^ a b c d e f Soubiran, C. et al. (2008年). “Galactic disk stars vertical distribution. IV.”. VizieR, CDS. 2009年11月28日閲覧。
  5. ^ a b c d Takeda, G. et al. (2007年). “Stellar parameters of nearby cool stars”. VizieR, CDS. 2009年11月28日閲覧。
  6. ^ Valenti J. A. & Fischer, D. A. (2005年). “Spectroscopic properties of cool stars. I.”. VizieR, CDS. 2009年11月28日閲覧。
  7. ^ Chugainov, P. F. (1980). “A new variable star of BY DRA type - HD 1835”. Krymskaia Astrofizicheskaia Observatoriia, Izvestiia 61: 124-126. https://ui.adsabs.harvard.edu/abs/1980IzKry..61..124C/abstract. 
  8. ^ Campbell, B. & Cayrel, R. (1984). “Spectroscopic Evidence for Starspot in the G dwarf HD 1835”. The Astrophysical Journal 283: L17-L20. https://ui.adsabs.harvard.edu/abs/1984ApJ...283L..17C/abstract. 
  9. ^ Cumming, A. et al. (1999). “The Lick Planet Search: Detectability and Mass Thresholds”. The Astrophysical Journal 526 (2): 890-915. https://ui.adsabs.harvard.edu/abs/1999ApJ...526..890C/abstract. 
  10. ^ Greaves, J. S. & Wyatt, M. C. (2003). “Some anomalies in the occurrence of debris discs around main-sequence A and G stars”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 345 (4): 1212-1222. https://ui.adsabs.harvard.edu/abs/2003MNRAS.345.1212G/abstract. 

関連項目

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外部リンク

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  • BE Ceti” (英語). SolStation. 2009年11月28日閲覧。