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ふたご座タウ星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ふたご座τ星
τ Geminorum
星座 ふたご座
見かけの等級 (mv) 4.41[1]
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α)  07h 11m 08.3704210s[2]
赤緯 (Dec, δ) +30° 14′ 42.583108″[2]
視線速度 (Rv) 21.27 km/s[2]
固有運動 (μ) 赤経: -31.21 ミリ秒/[2]
赤緯: -48.92 ミリ秒/年[2]
年周視差 (π) 10.16 ± 0.25ミリ秒[2]
(誤差2.5%)
距離 321 ± 8 光年[注 1]
(98 ± 2 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) -0.56[3]
ふたご座τ星の位置(丸印)
物理的性質
半径 26.8 ± 0.7 R[3]
質量 2.3 ± 0.3 M[3]
表面重力 0.09 G[3][注 2]
自転速度 3.03 km/s[4]
スペクトル分類 K2 III[1] + K0 V[3]
光度 240 L[注 3]
表面温度 4,388 ± 25 K[3]
色指数 (B-V) 1.261[1]
色指数 (V-I) 1.25[1]
金属量[Fe/H] 0.14[4]
年齢 1.22 ± 0.76 ×109[3]
他のカタログでの名称
ふたご座46番星, BD+30 1439, HD 54719, HIP 34693, HR 2697, IRC +30178, NSV 3437, SAO 59858[2]
Template (ノート 解説) ■Project

ふたご座τ星(ふたござタウせい、τ Geminorum、τ Gem)は、ふたご座恒星である。見かけの等級は4.41と、肉眼でみえる明るさである[1]年周視差から推定した太陽系からの距離は、約321光年である[2]

特徴

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ふたご座τ星は、進化が進んだ橙色巨星で、スペクトル型はK2 IIIと分類される[1]質量太陽の2.3倍、半径太陽の27倍と推定される。表面温度は4,388Kと見積もられ、これは橙色に輝くK型星の特徴に合致する[3][5]光度太陽の240倍程度と計算される[注 3]

1958年に、ゾネベルク天文台英語版天文学者ゲルハルト・ヤキシュが0.05程度の変光を指摘したが、その後確認されず、変光星総合カタログでは新しい変光星候補止まりとなっている[6]

星系

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ふたご座τ星は、重星カタログではAからCの3つの恒星からなる三重星として収録される。ふたご座τ星Bふたご座τ星Cはいずれもシャーバーン・バーナムが発見した。元々ふたご座τ星として知られていた4等星はふたご座τ星Aで、ふたご座τ星Bはふたご座τ星Aから南東へ1.8離れた位置にある11等星、ふたご座τ星Cはふたご座τ星Aの北1程度の位置にある13等星である[7]。ふたご座τ星Cは、ふたご座τ星Aとは見かけだけの関係と考えられるが、ふたご座τ星Aとふたご座τ星Bは、固有運動が共通する連星であるという意見と、連星ではなさそうだという意見と両方がある[3][8]。ふたご座τ星Bは、ふたご座τ星Aと連星、つまり太陽からほぼ同距離であるとすれば、スペクトル型がK0 VのK型矮星であると予想され、連星間距離は187auに相当する[3]

ふたご座τ星 (A) は、視線速度の測定から、亜恒星天体が周りを公転していることがわかっている。2000年6月に観測が始まり、数年後にはこの伴天体の存在が示唆され、2013年に軌道要素と伴天体の質量が精度良く制限できるに至り、この天体が褐色矮星ふたご座τ星bと確定した[9][3]。ふたご座τ星bは、質量が木星の20.6倍以上、公転周期が305.5で、離心率は0.031と公転軌道はほぼ円形である[3]

ふたご座タウ星の惑星[3]
名称
(恒星に近い順)
質量 軌道長半径
天文単位
公転周期
()
軌道離心率 軌道傾斜角 半径
b ≥ 20.6 MJ 1.17 305.5 ± 0.01 0.031 ± 0.009

名称

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中国では、ふたご座τ星は五諸侯拼音: Wu Zhū Hóu)という星官を、ふたご座θ星ふたご座ι星ふたご座υ星英語版ふたご座φ星英語版と共に形成する。ふたご座τ星自身は、五諸侯二拼音: Wu Zhū Hóu èr)つまり五諸侯の2番星と呼ばれる[10]

脚注

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注釈

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  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
  2. ^ 出典での表記は、
  3. ^ a b シュテファン=ボルツマンの法則により計算。

出典

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  1. ^ a b c d e f ESA (1997), The HIPPARCOS and TYCHO catalogues. Astrometric and photometric star catalogues derived from the ESA HIPPARCOS Space Astrometry Mission, ESA SP Series, 1200, Noordwijk, Netherlands: ESA Publications Division, Bibcode1997ESASP1200.....E, ISBN 9290923997 
  2. ^ a b c d e f g h tau Gem -- Double or multiple star”. SIMBAD. CDS. 2020年6月18日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m Mitchell, David S.; et al. (2013-07), “Precise radial velocities of giant stars. V. A brown dwarf and a planet orbiting the K giant stars τ Geminorum and 91 Aquarii”, Astronomy & Astrophysics 555: A87, Bibcode2013A&A...555A..87M, doi:10.1051/0004-6361/201321714 
  4. ^ a b Hekker, S.; Meléndez, J. (2007-12), “Precise radial velocities of giant stars. III. Spectroscopic stellar parameters”, Astronomy & Astrophysics 475 (3): 1003-1009, Bibcode2007A&A...475.1003H, doi:10.1051/0004-6361:20078233 
  5. ^ The Colour of Stars”. Australia Telescope National Facility. Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation. 2020年6月25日閲覧。
  6. ^ Samus, N. N.; et al. (2009-01), “General Catalogue of Variable Stars”, VizieR On-line Data Catalog: B/gcvs, Bibcode2009yCat....102025S 
  7. ^ Mason, Brian D.; et al. (2019-10), “The Washington Visual Double Star Catalog”, VizieR On-line Data Catalog: B/wds, Bibcode2019yCat....102026M 
  8. ^ Roell, T.; et al. (2012-06), “Extrasolar planets in stellar multiple systems”, Astronomy & Astrophysics 542: A92, Bibcode2012A&A...542A..92R, doi:10.1051/0004-6361/201118051 
  9. ^ Mitchell, D. S.; et al. (2003-12), “Four Substellar Companions Found Around K Giant Stars”, Bulletin of the American Astronomical Society 35: 1234, Bibcode2003AAS...203.1703M 
  10. ^ 中國古代的星象系統 (77): 井宿天區” (中国語). AEEA 天文教育資訊網. 國立自然科學博物館 (2006年7月16日). 2020年6月26日閲覧。

関連項目

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外部リンク

[編集]

座標: 星図 07h 11m 08.3704210s, +30° 14′ 42.583108″