すやり霞
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すやり霞(すやりがすみ)は、大和絵特有の、ある種の表現手法の通称である。槍霞(やりがすみ)ともいう。
画面の随所に“霞”を描き込むことによって、余白的効果をもたらして画面が煩雑になるのを避けたり、 日本的な遠近法として、画面の上方が標高が高いという約束ごとを積層する霞で表現する時に用いられる[1]。
絵巻物などでは、同一画面内で複数のシーンを共存させ、シーンからシーンへと自然な形で遷移させるような効果をもつ。 また、ストーリーの終端を暗示的に終わらせる手法としても用いられる[1]。
元来野山にかかる雲や霞を不定形のもやもやで表現したものであったが、絵巻物などに多用されるなかで次第に様式化され、一定のフォルムをもつに至った。同時に「雲」や「霞」という本来の意味は失われ、もっぱら画面構成上の手法として、ときには単なる“お約束”として、描かれるようになったものである。
脚注
[編集]- ^ a b 日高薫『日本美術のことば案内』小学館 2003 ISBN 4096815411 p.18-25.