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お荷物小荷物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
お荷物小荷物
ジャンル テレビドラマ
脚本 佐々木守
監督 西村大介
井尻益次郎
製作
プロデューサー 山内久司
制作 朝日放送
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1970年10月17日 - 1971年2月13日
放送時間土曜22:00-
回数18
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お荷物小荷物』(おにもつこにもつ)は、1970年10月17日から1971年2月13日まで、朝日放送(ABC)製作でTBS系列で放送されていたドラマである。

概要

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シュールなブラックユーモアをちりばめ「脱・ドラマ」[1]「脱・ホームドラマ」[2]と呼ばれたアバンギャルドなテレビ番組と評される[3]。「脱ドラマ」と言われるように、ドラマ中に主演の中山がハンドマイクを持って共演者やスタッフにインタビューする場面もあり、プロデューサーの山内久司が顔出しして中山からインタビューを受けたことがあった。また沖縄県の基地問題アイヌ問題・天皇制などを題材にするなど社会派作品としての面も持つ[1]。テレビドラマの約束事を打ち破る手法で人気を博したが、当時の有識者からは「有害番組」と評された[1]

作品のキャッチフレーズは「超えてる人たちです」でフランス映画『彼女について私が知っている二、三の事柄』から影響を受けているとされる[1]。各話にはサブタイトルが付けられていて、1話は主な舞台になった「滝沢運送店」店主の忠太郎、忠太郎の息子である孝太郎および、孝太郎の5人の息子たちの家族構成から「男だらけ」。2話から11話まで運送業界での専門用語を交えた一方で、12話から最終回まではストーリーに関連した3つの単語を並べていた。

最終回には「18・19、最終回」というサブタイトルが付けられた。1回分の放送枠に18話と19話(最終話)を構成したことによるもので、実際には、出演者が最終回に向けた意気込みをテレビカメラの前で語ったVTR、翌週から放送枠を引き継ぐ連続ドラマ『おも舵とり舵』の予告映像、18話を順次放送したうえで、放送枠の残り15分間を最終話に充てていた。最終話は、18話までと全く違うストーリーで、滝沢家の五兄弟が戦場に向けて突如出征。「日本国憲法第9条の削除」「自衛隊の軍隊昇格」「徴兵制の施行」という設定の下に、ブラックユーモアを交えながら戦争の不条理を描いていた。さらに、滝沢家の倒壊シーンで実際にセットを引き倒した[2]後に、セットが跡形もなくなったスタジオへ出演者が集合。その場で続編(『お荷物小荷物・カムイ編』)の制作を発表するという異例の展開で幕を閉じた。

全話を通じて、制作局・朝日放送(ABC)の本社があったABCセンター[注釈 1]で収録[注釈 2]。ABCは放送当時TBS系列の準基幹局であった[注釈 3]ため、本作品は東京放送(TBS)をはじめ、他のTBS系列局(中部日本放送RKB毎日放送など)でも流された。

本作品を放送した当時の業務用2インチビデオテープは非常に高価で大きかったため、VTR収録番組の映像の多くは、テープの再利用を前提に、本放送を終えた後で消去されていた。本作品も、最終回以外の映像は現存しない[4]。最終回の映像は横浜の放送ライブラリーで閲覧できるほか、TBSで1989年10月1日に放送された『テレビ探偵団』ゲストに招いた清水ミチコの思い出の作品として紹介された。

脚本を担当した佐々木守によれば、最初から「脱・ドラマ」を意識していたわけではなく、脚本を制作側で膨らませるにつれて、自身もエスカレートしていったという[2]。滝沢家の次男・義(よし)役の浜田光夫は、本作品で初めてテレビドラマでの手応えを感じたことから佐々木を敬愛。後に、佐々木の脚本による『アイアンキング』へ出演した[1][5]

あらすじ

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東京の下町にある「滝沢運送店」は、滝沢忠太郎を頭とする男7人家族が営む男尊女卑をモットーとする運送店である。この店に米国統治下の沖縄から上京した「田の中菊」が、住み込みのお手伝いとして働き始めた。

菊は実は「今帰仁菊代(なきじん・きくよ)」という名であり、4年前に滝沢家でお手伝いをしていた「洋子」の実妹である。洋子は仁と恋に落ち、結婚の許しを仁と忠太郎に請うのだが、一方的に捨てられてしまった。失意のうちに沖縄へ戻った洋子は、仁との間にできた子供(仁一)を産むとすぐに死んでしまった。菊代(菊)は姉の復讐を果たすとともに仁一を滝沢家に認知させるために、素性を隠して滝沢家に潜り込んだのだった。菊は男たちのしごきに耐え、得意の空手を駆使しながら、男たちを手玉にとり、次第に彼らを懐柔していくのだった。

スタッフ

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キャスト

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メインキャスト

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その他

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サブタイトル

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  1. 男だらけ
  2. 天地無用です
  3. 横積禁止です
  4. 御報参上します
  5. 運賃着払いです
  6. われもの注意です
  7. 手かぎ無用です
  8. 迅速ていねいです
  9. 危険物禁止です
  10. かけヒモ注意です
  11. 重量制限守ります
  12. 初荷初夢宝船
  13. 花嫁・花婿・花女中
  14. 迫害・裏切り・こんにちは
  15. 荷妻・新床・新体験
  16. 獄門・はりつけ・絞首台
  17. 嗚咽・慟哭・しのび泣き
  18. 18・19、最終回

テーマ曲について

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本作の劇中音楽は、アメリカから帰国して間もない新進気鋭のジャズピアニストにして作曲家の佐藤允彦によるもので、中でもオープニングに流れるテーマ曲は、小西康陽などと言った有名なアーティストに少なからず影響を与えた。後に小西康陽はNHKの「トップランナー」で「小西康陽とGroove Room Orchestra」としてこの曲を演奏し、さらにワックワックリズム・バンドもこの曲をカバーした。このテーマ曲を含むサウンドトラックは2012年7月25日に「『お荷物小荷物』音楽編」として発売された。

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脚注

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注釈

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  1. ^ 2008年6月22日までの社屋。
  2. ^ そのため、ABCセンターの正面玄関前がロケ地に使われる事も少なくなかった。これは続編の「カムイ編」も同じである。
  3. ^ 1975年3月31日に、毎日放送とのネットチェンジによってNET(現在のテレビ朝日)系列へ移行した。
  4. ^ 山内の「出世作」となり、その後の「必殺シリーズ」につながる。
  5. ^ オープニングテロップでは「ドレスコンサルタント」と表記。

出典

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  1. ^ a b c d e 石橋春海「宣弘社番組のヒーローたちInterview 浜田光夫」『伝説の昭和特撮ヒーロー 宣弘社全仕事』コスミック出版〈COSMIC MOOK〉、2014年7月9日、82頁。ISBN 978-4-7747-5934-0 
  2. ^ a b c 岩佐陽一 2001, pp. 114–121, 「RESPECT 佐々木守
  3. ^ 志賀信夫『テレビヒット番組のひみつ : 「ジェスチャー」から「おしん」まで』日本放送出版協会、1984年8月1日、175 - 177頁。NDLJP:12275392/91 
  4. ^ CD「テレビドラマ『お荷物小荷物』音楽編」解説書、39頁
  5. ^ 岩佐陽一 2001, pp. 111–113, 「RESPECT 浜田光夫」.

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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ABC制作・TBS 土曜22:00枠
前番組 番組名 次番組
お荷物小荷物