コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

ギボウシ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
うるいから転送)
ギボウシ属
Hosta fortunei 'Picta'
レンゲギボウシ Hosta fortunei 'Picta'
(2005年7月11日、カナダ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: キジカクシ科 Asparagaceae
亜科 : リュウゼツラン亜科 Agavoideae
: ギボウシ属 Hosta
学名
Hosta Tratt.
タイプ種
Hosta plantaginea (Lam.) Asch.
和名
ギボウシ属
英名
plantain lily
亜属
  • H. subg. Hosta
  • H. subg. Bryocles
  • H. subg. Giboshi

ギボウシ(擬宝珠[1])は、キジカクシ科リュウゼツラン亜科ギボウシ属学名: Hosta)の総称。山間の湿地などに自生する多年草[2]食用となり、が美しく、日陰でもよく育つため、栽培される。

新エングラー体系及びクロンキスト体系ではギボウシ属はユリ科 Liliaceae に含められていた。

名称

[編集]

「ギボウシ」は擬宝珠(ぎぼうしゅ)の転訛であるが[3]、これはこの植物のつぼみ、または包葉に包まれた若い花序が擬宝珠に似ることに由来する。ギンボ青森県)、タキナ高知県)などの地方名がある。英語plantain lily は「オオバコユリ」という意味であるが、これはギボウシのオオバコに似ているためである。

地方により、アメフリバナ、ウリッパ、オオバコ、ギボウシュ、ミズウルイ、ヤチウリなどの別名でもよばれている[1]

形態・生態

[編集]

葉は根元から長楕円形の葉柄が伸び、太い中央脈がある[2]

花期はで、長い花茎を伸ばして総状花序をつくり、青色白色品種もある)の細長いラッパ状の花を咲かせる[1]マルハナバチなど大型のハナバチの訪花によって受粉される。

果実は朔果で3裂するが、栽培品種には結実しないものもある。

分布

[編集]

東アジア原産。雑木林、草原、谷間などに生える[1]

人間との関わり

[編集]

食材

[編集]

日本にはオオバギボウシHosta montana または Hosta sieboldiana var. gigantea)など20種ほどが野生し、いずれも東北地方から中部地方の一部などで[4]ウルイ、ギンボ、タキナなどの名で山菜として若葉や葉柄などが利用される[2]。ただし、若葉が毒草バイケイソウに似ており、誤食事故が多いので注意を要する[2]。スジギボウシ(Hosta undulata)やその他雑種などが栽培される。栽培品の主な産地は山形県で、薄い黄緑色の若芽を出荷し、サラダ浅漬け油炒め、味噌和え、酢味噌和え味噌汁混ぜご飯巻き寿司などに利用する[4]。食味に癖はなく、噛むと少しぬめりがある。花は天ぷら酢の物に利用できる[1]。茎葉を乾燥させたものは「やまかんぴょう」という[1]

ただし、新芽は有毒植物のバイケイソウシュロソウ科)に似ているため、注意を要する[1]

園芸

[編集]

江戸時代の日本で変異個体が多数園芸品種として固定され、さらにこれがシーボルトらによってヨーロッパに紹介されてヨーロッパでも多くの品種が育成された。

花言葉は「落ち着き」「沈静」「静かな人」。

岩崎灌園 本草図譜 第3冊 巻23 毒草類3 1828年
トウギボウシ(Hosta sieboldiana)NDLJP:1287133/15
スジギボウシ(Hosta Undulata)NDLJP:1287133/18
タマノカンザシ(Hosta plantaginea)NDLJP:1287133/16
カビタンギボウシ(Hosta sieboldii 'Kabitan')NDLJP:1287133/20
イワギボウシ(Hosta longipes)NDLJP:1287133/17
種名不詳、フクリンギボウシや文鳥香などの説があるNDLJP:1287133/19

下位分類

[編集]

40ほどがあるが、種間雑種ができやすく(特に栽培品種には多い)、分類には諸説ある。

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e f g 篠原準八 2008, p. 18.
  2. ^ a b c d ギボウシ類”. 農林水産省. 2023年1月1日閲覧。
  3. ^ 新村出編 編『広辞苑』(第5版)岩波書店、1998年、666頁。ISBN 4-00-080111-2 
  4. ^ a b 農山漁村文化協会編、『日本の食事事典Ⅰ 素材編』、1993年、p72、東京、農山漁村文化協会、ISBN 4-540-92005-7

参考文献

[編集]
  • 篠原準八『食べごろ 摘み草図鑑:採取時期・採取部位・調理方法がわかる』講談社、2008年10月8日、18頁。ISBN 978-4-06-214355-4 
  • 平野隆久写真「ギボウシ属 Hosta」『野に咲く花 : 写真検索』林弥栄監修、門田裕一改訂版監修(増補改訂新版)、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2013年、78-79頁。ISBN 978-4-635-07019-5 
  • 永田芳男写真 著「ギボウシ属 Hosta」、畔上能力編・解説 編『山に咲く花 : 写真検索』門田裕一改訂版監修(増補改訂新版)、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2013年、148-150頁。ISBN 978-4-635-07021-8 

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]