庵点
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(〽から転送)
庵点(いおりてん、〽)は、日本語で、歌のはじめなどに置かれる約物のひとつ。合点[1]、歌記号[2]ともいう。古来、能の謡本や連歌などにおいて目印として使われていた。ユニコードではU+303Dのコードを、JIS X 0213では1-3-28のコードを持つ。
概要
[編集]形態については、図のように山が二つあるものを「庵点」、山が一つの「へ」のような形のものを「長点」といい、両者を「合点」(がってん)とも呼ぶ[1][3]。
沿革
[編集]奈良時代には使用が確認されており、近世に入ってからは、俳諧などにおける批評の採点、謡本などにおいて段落や音声を示すための使用が確認されている[4]。
謡本においては、能の役柄であるシテ、ワキ、地謡などの役割がかわるところで、語句の頭に使われる。少なくとも明治時代以降の謡曲本では「へ」の字型のものが使われ、2020年現在もそれを踏襲している。「庵点」と「合点」の使い分けがされていたのか、同じものを「合点」「庵点」と呼んでいたのかは、明らかではない。
現代文では、散文中に歌詞を記述する際に、歌詞部分の冒頭に配置して散文との区分とする用法が一般的。ただし、コンピューター上では、庵点が文字コード規格のJIS X 0208に含まれなかったことから、ウェブや電子メールなどにおいて、JIS X 0208に含まれている「♪」が歌記号として用いられることが多い。
庵点は近代になって『「』(始め鉤括弧)の元になったといわれている。[誰によって?]
符号位置
[編集]記号 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 名称 |
---|---|---|---|---|
〽 | U+303D |
1-3-28 |
〽 〽 |
歌記号、庵点 |
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 竹岡正夫『かざし抄新注』風間書房、1973年1月31日。ISBN 9784759903973。
- 藤井史果「噺本における会話体表記の変遷 ―安永期江戸小咄本を中心に―」『青山語文』第35巻、青山学院大学、2005年3月、38-53頁、doi:10.34321/10115。