成長の限界
成長の限界(せいちょうのげんかい、The Limits to Growth)とは、1972年の、限りある資源供給の中での指数関数的な経済成長と人口成長のコンピューターシミュレーションについての本です。著者は、デニス・メドウズら。
オリジナルのモデルでは5つの変数が調査されました。それらは、世界人口、工業化、汚染、食糧生産、資源消費です。著者は、三つのシナリオで、5つの変数の中の成長の傾向を変えることで達成されるであろう持続可能なフィードバックパターンを探ろうとしました。2つのシナリオは、21世紀の中盤から終わりまでにグローバルシステムは「行き過ぎて崩壊する」というもので、3つ目のシナリオは「均衡化された世界」になるというものです。
目的
「成長の限界」の目的は、特定の予測を作ることではなく、幾何級数的な成長が限りある資源にどのように作用するかを調べるものである。天然資源の大きさはわからないので、ただおおまかな結果が観察されえます。
この最初の簡単な世界モデルでは、我々は、人口と資本のシステムのだいたいの行動様式にしか興味がない。「行動様式」というのは、(例えば人口や汚染といった)システムの中での、時間の経過によって変わる変数の傾向を我々は意味する。変数は、増加、減少、一定に保つ、振動するか、それらの特徴的な様式を組み合わせたものになるかもしれない。・・・この振る舞いは多くの自然のシステムの中で観察されている。例えば、鹿かヤギは、自然の敵が存在しないとき、しばしば彼らの範囲を食い荒らし植生の侵食や破壊を引き起こす。
「予測」のさまざまな程度の中の違いはある簡単な例によってうまく説明されるかもしれない。もしあなたが空中に直球を投げると、その大まかな振る舞いがどうなるかの確信を予測できる。それは速度を減らしながら上昇し、方向を変え、地面に落ちるまで速度を増しながら落下するだろう。それは、永遠に上昇し続けることも、地球を回り始めることも、着地の前に3回宙返りすることもないことをあなたは知っている。このような行動様式の初歩的な理解こそが、現在の世界モデルによって我々が求めていることである。もし誰かがどのくらいボールが上がって、どこで、いつ地面に衝突するかを厳密に予測したいのなら、最初に投げた力、風、高度についての正確な情報に基づく詳細な計算をすることが必要だろう。同様に、もし我々が1993年の地球の人口を予測したいのなら、ここで説明したことよりも、ものすごくかなりの複雑なモデルが必要だろう。我々はまた今わかっていることよりもっと正確で広範囲の世界システムについての情報が必要だろう。
批評
成長の限界は1970年代初めに嘲笑された。発売後、いくつかの経済学者、科学者、政治家は成長の限界を批判した。彼らは、方法論、コンピューター、結論、修辞法、プロジェクトの背後にいる人々を批判した。イェール大学の経済学者ヘンリー・ウォーリックは、成長は漠然とは続かないだろうが、成長の自然な終わりは介入することが望ましいということに同意した。ウォーリックは、成長が予測された速度で続いたときのみであるが、メドウズが気にかけたすべての問題を技術が解決するだろうと述べた。あまりにも早く成長を止めることで、世界は「数十億の永久的な貧困を考えなければならない」だろうと、ウォーリックは警告した。
マサチューセッツ工科大のロバート・ソロウは、成長の限界の予測は、弱いデータの基盤に基づいていると主張した。(ニューズウィーク)未来の資源のアレン・クニーズとロナルド・リカーは、こう述べた:
著者はいくつかのことを幾何級数的に増大させて他はそうしないでこれらの問題について悩んでいる。人口、資本、汚染は全てのモデルにおいて成長するが、資源を広げ汚染を制御する技術は、分離した増大で成長が許可される...
受け継ついだもの
ローマクラブは成長の限界の後も主張し続け、5年ごとに広範囲の最新情報を多くの人に提供した。
1977年:5年後
1987年:15年後
1989年ニーダーザクセン州、ハノーファーで「限界を超えて:グローバル産業社会、展望か悪夢か」というシンポジウムが開かれた。
1992年:20年後
1993年、限界を超えてがオリジナルからの20年後の更新版として発売された。
2002年:30年後
2004年、成長の限界30年更新版が発売された。
2007年:35年後
2008年、オーストラリア連邦科学産業研究機構のグラハム・ターナーは、「30年間の現実と『成長の限界』との比較」という論文を発表した。 2009年、American Scientistの記事、「石油ピークの後の成長の限界を再び考える」では、「成長の限界で予想された数値と2008年の実際のデータはかなり近い」と記述された。
2014年:40年後
2012年、スミソニアン博物館は「成長の限界に関する視点」という題のシンポジウムを開いた。ニーダーザクセン州、ハノーファーでは、「すでに限界を越えたのか?」というシンポジウムが開かれた。
2012年、成長の限界は、公式な更新はなかったが、共著者の一人、ヨルゲン・ランダーズは、「2052年、次の40年のグローバル予報」を出版した。
2014年、グラハム・ターナーは「崩壊していくグローバルシステムに準備することが崩壊を避けようとすることよりいっそう重要かもしれない」と結論した。
関連図書
- ドネラ・H・メドウズ『成長の限界—ローマ・クラブ人類の危機レポート』(ダイヤモンド社、1972年)ISBN 978-4478200018
- 三浦義雄、『滅びのアテナ ~自然と人間社会とのかかわり~』(北樹出版、1998年)
関連項目
外部リンク